昨日の夜、ITジャーナリストの松村太郎さんの案内による『発売直前Windows Phoneに触ろう』というイベントがあって、赤坂まで見に行ってきた。
ちょうど25日発売というニュースが出たところで、結局はあと2日待てば自慢するネタではなくなっちゃったりするのだが、こういうイベントはパネリストや参加者がガジェット道をひたすら求道している場合が多く、意見を聞くだけでも楽しい。
案内された席に座ると、目の前に端末がお出迎え。この縦書きの日付表示にのっけから心を奪われる。はっきり言えばMSらしくない。(笑
会場には国内初のWindows Phone 7.5搭載スマートフォンである富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製の『Windows Phone IS12T』が10台以上置かれていて触り放題になっている。
まずは噂のヌルヌル感を体験。仕様や機能についてのレビューはすでにあちこちで書かれているので省くが、とにかく国内初登場なのにヌルヌルの完成度が高い。実は以前に某所でこっそり触ったことがあるので、この端末を触るのは2回目だが、まさしく指に吸い付くように画面が動く。AndroidがiPhoneに劣るポイントとして端末のヌルヌル感をあげる人が多いが、この端末を触る限りでは、iPhoneよりむしろ上だと感じた。
イベントでは、まずブロガーのいしたにまさきさんより、開発中の『Evernote』のWindows Phone版のリーク情報。残念ながらここの部分は撮影不可なので写真はないが、見た感じではWindows Phoneの特徴であるタイポグラフィを目立たせたデザインが新鮮に感じた。
いしたにさん曰く、「Evernoteは、どのプラットフォームに対応するときも、やるならここまでやって初めて対応しているって言うんだよ、ってところまで攻めてくる」とのことだが、私も同じ感想をもった。ちなみにタイポグラフィ中心っていうのは、こんな感じのデザイン。ここから想像を膨らませて欲しい。
そして、議論の中心はやはり、『People Hub』。一言でいうと他のプラットフォームに比較してのWindows Phone最大の特徴であり、SNSやメールごとに分散するアドレスをひとまとめにして、人というくくりで全部の発言を集めてしまうという発想で実装された機能である。
そもそも名刺管理に始まり、メールソフト(サービス)ごとのメールアドレス管理に、mixiやTwitter、facebookなどSNSごとの友達管理にと、気が付けばよくやり取りする人はかならずいくつものところでつながっている。「ああ、あの件ってどこで話していたっけ?」と探す際に、複数のSNSやメールを検索しまくることは、私でなくても最近はよくあると思う。
People Hubでは、それぞれのSNSやメアドの名寄せをやってくれ、人ごとの発言ややり取りを一覧で見せてくれるため、その人に関する情報がすぐにわかるというわけだ。
ディスカッションの中では、テレビのリモコンに例えて「テレビを見るのではなく、1chを観たい場合、1chを先に押してからテレビの電源を入れる動作が自然だ」という話が出たり、「名刺交換という行為はもう古い。アドレスブックが欲しいわけではなく、人ごとのすべての情報が欲しい」という話が出ていたが、一番笑えたのは、「嫁に一連の行動を把握される」というくだり。
確かに、People Hubの考え方で情報を整理されると、SNSやメールの相手ごとに無意識に使い分けていた自分のタイムラインがまとめられて、アリバイが成立しなくなってしまう。
まさしく、「Windows Phoneは嫁に持たすな!」である。
People Hubをもつことで、Windows Phoneは初めてのソーシャルネイティブなスマートフォンとなった。Windows Phoneを触っていると、嫁の話だけではなく、ビジネスにおいても大きな変化を予感させてくれる。
今までは、会社から支給された「組織」に属する「個人」という立場を我々は使い分けてきたが、ピープルセントリックな考え方では、「人」が属する「いろんな組織やコミュニティ」に変わる。facebookが、転職支援ツールといわれていることからも明らかなように、今後はソーシャルにおける自分の情報が、会社を替わろうと、プライベートだろうと自分を保証してくれる、もしくは証明されてしまう情報になってゆくだろう。同窓会的なコミュニティに始まったソーシャルなやり取りは、とうとうワークスタイルの根幹までも変えようとしている。
そんなことをつぶやいていると、同世代の友人に「最近、インターネットが怖くて仕方が無い」というコメントをもらった。デジタルネイティブ以前のバブル世代としては、大なり小なりみな同じ感想を持っているのかもしれない。
Windows Phone端末を触って、世代の将来にまで思いをはせるなんて、我ながら飛躍しすぎとは思うけど、この第3のスマートフォンのインパクトはそれくらいのパワーを秘めていると思う。