何気なく使っている辞書、いや、今や辞書を片手に言葉の意味を調べる人たちは激減しているだろう。かく言う私も国語辞書は日本から持ってきていても、今やネットの辞書で調べているので辞書に手を伸ばすことはない。
ただ、辞書は好きである。過去の職場で文章を作成していた時には、職場の据え置きの広辞苑を”殆ど見る人がいない”という理由で自分の傍に置いておき、推敲するたびに広辞苑を手繰り寄せた。言葉の量の比は他社を圧倒的に引き離している辞書におけるキングの称号を広辞苑は得ていると思う。
さて、アメリカでも動画やYoutubeで日本のバラエティーが見られるが、最近知った朝日放送の『ビーバップ!ハイヒール』の過去の放送を見て驚いて、笑って、感心した”辞書”を扱った回では、著作権がない辞書は意外に辞書でも個性がでるということであった。特筆するのは『新明解・国語辞典』であると紹介し、言葉の意味を読み上げるとシニカルというか、なんと言うか、実にウィットに富み、また人生をよ~く見ているのがわかり、この辞書の作成にあたり主幹の山田忠雄氏は従来の辞書とは違うものを作りたかったようだ。
番組内で紹介された言葉をこの新明解・国語辞典で調べてみると….
【凡人】
自らを高める努力を怠ったり、功名心を持ち合わせなかったりして、他に与える影響力のないまま一生を終える人。
【公僕】
[権力を行使するのではなく] 国民に奉仕するための公務員の称。〔但し実情は理想とは程遠い〕
凡人の意味があまりにもキツイので、きっと山田忠雄氏は凡が嫌いと見えたので、他にも凡のつく言葉を調べてみた(たまたま私の持っている辞書が好運というかこの『新明解・国語辞典(三省堂)』であった!)。
【凡主】
これといった才能も無く、また何に情熱を燃やすでも無い、ただそのポストに収まっているだけの君主。
番組を見て笑って、また手元でこれらの言葉を調べて再度面白がったが、世の中の多くが凡人であると思う。その中の一人である凡人の私がなんか小ばかにされているように思え、ちょっとした発奮材料になった。
辞書、それにはこうして個性ある辞書があることを知る。
『読書の秋』 には辞書を愛読してみたいとしみじみ思う。
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