“名は体(たい)を表す”という言葉がある。
それは、名そのものが、意味を持ち、示唆しているということだ。
また、“言霊(ことだま)”というものもある。
口から発する声を文字で表す言葉にすることで、特別な力が得られると古より信じられた。
これは、奇しくも洋の東西を問わない。どの文化圏でもみられる。
呪文や経文は、特定の言葉を組み合わせ、羅列することで、より力を増すと考えられた。
古き日本では、万葉集で歌われた。
“そらみつ大和の国は、言霊の幸ふ国と語り継ぎ言ひ継がひけり”
“言霊の幸ふ国(ことだまのさきわうくに)”とは、文字通り、言葉の呪力によって、幸福がもたらされる国ということである。
ここでいう、呪力とは、のろうことではない。
吉兆を呼び込む、超自然的な力というべきものである。
この“名”と“言葉”というものは相関している。
それが最も顕著にあらわれるのが、地名である。地名は必ず、何かしらの由来がある。
天孫降臨、神話に彩られた大和の地には、その痕跡が多い。
神話、伝説、伝承、或いは特記すべき内容により、地名は決まる。特記すべき内容とは、例えば、山や川や石などの自然物からの命名、職業集団の定住による、その職業名からの命名、産出物からの命名など様々である。
地名は一度決まると延々と引き継がれる。まず、変わることはないものだ。
そして、人の氏名の氏は地名から取ることが多い。
2014年に消費税の増税を目論んでいる、安倍内閣は、これから風雲急を告げそうである。
経済再生をマニフェストに掲げ、アベノミクスの真価がこれから問われることになる。
内閣総理大臣 安倍晋三氏は、陰陽師の安倍晴明(あべのせいめい)と同じ氏である。
勿論、出生筋からいっても、なにも関係はないはずだが、そう多くはない苗字なので興味深い一致である。
安倍晴明は、大阪の阿倍野で生まれたという伝承がある。
阿倍野で生まれたため、氏が安倍(あべの)なのだとされている。それを裏付けるように、阿倍野には、安倍晴明神社がある。
歴代総理には、系譜が高貴であろう方が多いのも事実である。
日本国を代表する者を選ぶ上で、それは選択肢に含まれていてもおかしくない。
まだ、そう古くない平成の歴代総理を見ても頷けるのである。
第76代内閣総理大臣の海部総理
第79代内閣総理大臣の細川総理
第80代内閣総理大臣の羽田総理
第96代内閣総理大臣の安倍総理
などである。
ここで挙げたのは、政治手腕がどうこうの話ではない。
あくまで系譜のことである。
だが、第二次安倍内閣に期待している者も多いだろう。
一度目は失敗したことは間違いない。その後、下野し、西部邁氏など第一級の知識人とのディスカッションを行い、己の方向性を確立した上での、今回の第二次組閣だと思う。今のところは、うまく行っている。
是非、安倍晋三氏には、安倍晴明のような超人的とはいかなくとも、あらゆる対抗勢力と戦い尽力し、初志貫徹してもらいたいものだ。