『風来のシレン6』レビュー:ローグライクゲームの代表作は初心者や復帰勢に刺さる要素がてんこ盛り

ローグライクゲームの代表作とも言われる「不思議のダンジョン」シリーズから、『風来のシレン』としてはナンバリングタイトルの第6作目となる、『不思議のダンジョン 風来のシレン6 とぐろ島探検録』が発売となった。

まず改めて、本シリーズがどんなゲームか振り返る。入るたびに自動生成される斜め見降ろし画面のダンジョンの中では、「自分が動く」とそれに呼応して「敵も動く」ターン制で冒険が進んでいく。序盤でも不用意に攻めかかれば攻撃ミスを連発し、雑魚敵から返り討ちに遭うこともある。特に武器や盾も序盤で手に入るとは限らず、いわゆる丸腰での戦いは常に危険と隣り合わせだ。

ダメージを受けた際、HPはターン経過で自然回復する。だが「満腹度」は常に下がり続け、ゼロになると今度はターン経過と共にダメージを受けるように。満腹度を回復させる「おにぎり」も、どこで手に入るかわからない。

ダンジョンの形やアイテム・敵の配置まで、すべてがランダムだ。しかも倒れると、持っていた道具やお金は失い、レベルも1に戻される。

己を強くするのはただ知識と経験だけ。また後半にいくにつれて現れる強敵の数々に「無理ゲー」と思えるような場面の連続となる。そうして、やがて最終階層までたどり着いたとき、得も言われぬ興奮と達成感が待っている。

初代「シレン」以降、シリーズはさまざまなシステムが追加され、一時は「倒れてもレベルを維持する」仕様に変わったり、「昼と夜でモンスターの強さが変わる」などの要素が加わったこともあった。だが今回は「原点回帰」を謳い、「レベル維持」も「昼夜システム」も排除された。

これこそ初代に近いと感じられることに加え、ところどころブラッシュアップされた点も多い。「弓」や「石」が複数のボタンに割り当てられるようになったり、「ライブ表示」で常に所持品やステータスを確認できるようになったり。またネットの公式情報で知ったが、シレンのHP自然回復のスピードが上がったという話も。言われてみると、バトルのテンポが非常によくなったのもそのおかげかと思う。代わりに敵の攻撃力は全体的に高く調整されたそうで、スリルも増している。

また一方で、新たに加わった要素もある。大型モンスターの「デッ怪」や、シレンの新しい状態「ドスコイ」などだ。

デッ怪は、図体が大きいだけでなく攻撃力も非常に高くなっており、かなり厄介な敵だ。倒したところで多くの経験値や貴重なアイテムを獲得することもない。ただ、それゆえに「近づかない方がマシ」という判断もしやすい。

デッ怪の姿は、視界が狭いダンジョンでも遠くから姿が見えるようになっており、移動速度も遅いので迂回しやすい。ただ、やつらが出てくる「デッ怪ホール」は、ターン経過とともに場所を変える。

一度デッ怪から距離を取ろうと逃げ回っている最中、いきなり近くにホールが現れて挟み撃ちにされたこともあった。慌てて敵が攻撃できなくなる「聖域の巻物」を地面に置いたが、デッ怪が攻撃してこない代わりに、敵もバリアがある正面を向いているので、こちらの攻撃も効かない。ターン経過と共に消えてくれるまで身動きが取れないという苦い経験もあった。

続いて、満腹度が150以上になった際、シレンの見た目がふとましくなるドスコイ状態について。筆者はこれを、本編クリア後に挑めるようになる「ドスコイダンジョン」で初めて目撃した。序盤から強敵が現れるこのダンジョンでは、自身のレベルが低くても「ちゃんこおにぎり」を食べてドスコイ状態になることで、攻撃力やHPがアップして戦えるようになる。

また、ドスコイになると厄介な罠を踏んでも起動せず、罠自体が壊れるようになる。さらに「つるはし」を持っていなくても壁が掘れて、隠れているアイテムを手に入れたりできるようになる。メリットが多い分、ドスコイ状態では満腹度が減るスピードが早くなり、数値が120を下回ると元の状態に戻ってしまうので維持するのが難しい。

加えて、ドスコイ状態でピンチに陥った際、逃げようと思って「高飛び草」や「飛びつきの杖」など自分の体を遠くに移動させるアイテムを使っても、体が重すぎて無効となってしまう。なかなか面白い要素となっている。

最後に、本編クリア後に宿場浜に現れる「怪しくない店」について言及しておきたい。「シレン」をやっていて特に心が折れるのが、何度も鍛えた武器や盾をロストしてしまうことだろう。前作の『風来のシレン5 フォーチュンタワーと運命のダイス』では、大切な武器や盾にタグを付けることで、失ったとしてもギタンを支払って取り戻すことができた。今作ではこれに似たシステムとして、ダンジョン内でロストした武器や盾を、この怪しい行商人が売ってくれるようになった。

筆者はスーパーゲイズの催眠攻撃によって、大事な盾を「お香」で焚かれてしまうというショッキングな経験をしてしまったが、その盾も行商人を経由して取り返すことができた。鍛えていたら鍛えていた分、かなり高額なお金をせびられてしまうが、二度とお目にかかれなくなるよりはマシだ。高額すぎて買えない場合も「取り置き」してもらうこともできるので、いずれ取り返せるときがくるだろう。

今作は「不思議のダンジョン」シリーズファンはもちろん、新規のユーザーにも大変遊びやすくなっている。早速、初心者の方々が「難しい」という声をSNSで上げているのも何度も目にしたが、その難しさこそが何度も挑戦したくなる要素でもある。まだ遊んだことがない方は、ぜひとも今作から「シレン」の沼にハマってみてはいかがだろうか。

文/平原学

ガジェット通信ゲーム班

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