この記事の執筆時には遠隔操作の真の犯人とされる人が逮捕されてされています。警察が提示した証拠は多くありますが、決定的なものは「米国サーバに残っていたウイルスに容疑者の勤務先情報」が残っていたという部分です。一見、確かな証拠ですがこれらの文字は好きな文字を入れられることは一般には知られていません。また、ソフトウェアを製造する「装置」についても多くの誤解があります。
ソフトウェアを作る「開発環境」の入手は容易
たとえば『任天堂Wii』や『プレイステーション』などの開発を行う場合には、ゲーム機を販売しているメーカーと特別な契約を結んで手に入れる必要があります。このため、「『Wii』で動作するソフトを作成した=ゲーム機メーカーと契約した特別な人、会社」という考え方ができます。一方、Windowsのソフト開発は、誰でも開発するためのソフトを手に入れて開発することが可能です。『Visual Studio Express 2012 for Windows Desktop』という開発環境は誰でも無料でダウンロードできてプログラムを作成することが可能です。誰でもWindowsで動作するプログラムを作成できます。
開発環境(ウイルスなどを作成する環境)を使うには『Microsoft ID』の取得が必要ですが、足がつかないメールアドレスで登録すれば開発環境から個人が特定されることはほどんとありません。
プログラム=アプリ=ウイルス
ほかの誤解として、ウィルスは特別な開発環境が必要なのではというものがあります。これも間違いで、ウイルスは悪意を行うプログラム一種であり、ゲームソフトやユーティリティソフトと何ら変わりありません。大雑把に例えると、運転手も職人も営業職も同じ人間であり、殺人犯も同じ人間であることと変わりません。
勤務先情報?
勤務先情報はプログラムを作る時に、文字列として入力することができます。文字列であれば何でも構わないので「株式会社ソニー」、{寺平長由」、「ガジェット通信」など、どのようなものでも組み込むことが可能です。今回の事件の場合は、何者かが容疑者の勤務先を知っていれば入力可能です。勤務先情報をどうやって? 名刺交換、友人知人同士の会話など普通に入手可能です。ちなみに、「株式会社ソニー」は間違いで「ソニー株式会社」が正しい。
今回の事件の問題、専門用語に対する誤解とマヒ
以前に冤罪で逮捕された4人は「IPアドレス」が一致したからという理由でした、報道もIPアドレスは指紋のようなもので間違いはないといわれており、人々は信じていました。今回はウイルス内に会社情報が入っていたという証拠をアピールしていますが、今回の証拠のほうがIPアドレスより偽物を作成することが容易。なのになぜか今回の証拠のほうが強いと多くの人は感じています。
インターネットは生活に必要なものになってきました、一般の人もそれらの仕組みをある程度理解する必要が出てきたと考えます。ITを使う側の学習だけでなく動く仕組みも理解するべきでしょう。
Microsoft Visual Studio Express(Windows開発環境の無償ダウンロードページ)
http://www.microsoft.com/ja-jp/dev/express/