[筆者コラージュ作成]
2023年2月12日、「第一回 沖縄・台湾対話シンポジウム」が行われた。本プロジェクトは2022年10月に発足した「『台湾有事』を起こさせない・沖縄対話プロジェクト」が主催したもの。「台湾有事」を起こさせないためには何ができるか?何をすべきか?を議題に2部構成で後半は「討論」ではなく日台研究者らによる「対話」形式で行われた。
本プロジェクトの主催である琉球新報社は「安保大転換 沖縄最前線へ」(2022年12月17日)を報じた。「台湾有事」が起これば、沖縄が最前線に置かれ戦場となる。その沖縄の市民らの声にさえ日本政府のみならず本土の国民は傾聴しようとしない。十分な議論もし尽くさないまま、あの安倍政権下で打ち出された「安保法制」に対し、全国一丸となって共闘した運動は無駄だったのか?それさえ疑心暗鬼になる日本の安全保障は今、再び名を変え、内容を変えて突然降って沸いた「安保関連3文書」なる紛い物との戦いの幕が再び上がる。このような国際情勢を受けて何より、「平和」を求める沖縄は台湾と共に危惧を覚えている。
本「対話」プロジェクトは討論ではなく、日台の「『対話』により戦争を回避する試み」だという。第一回目となるシンポジウムには、2人の台湾研究者を招き、沖縄と台湾から登壇するそれぞれの立場や考えの違う「平和を願う」人たちが集い「対話」する。ここにその議論の内容を詳報する。
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<リード>
【1】中国は「相手が弱い」限りは「孫子の兵法」施策 戦わずして「勝つ」外交こそが戦争回避の道
【2】台湾人は安全保障面で、日本の自衛隊に米軍以上の一方的な高い「期待」寄せる
【3】台湾立法院会(=国会本会議)、「国防部組織法」の一部修正案と「国防部全民防衛動員署組織法」可決
【4】世論が不支持の「台湾海峡有事」のために米国は台湾と共に中国と闘う覚悟はない
【5】国際的な東アジアを沖縄はどうやって「ハブ」にしていくか
【6】沖縄と台湾の「架け橋」として 討論ではなく「対話」を
【7】「地経学」の観点から中台輸入依存している 日米は立ちゆかなくなる
【8】在日米軍や自衛隊が共に平和に直接介入しない方が「台湾海峡有事」になりにくい可能性が高まる
【9】―「中国と台湾は対話できない」という話があった。なぜできないのか?
【10】沖縄を「台湾海峡有事」に利用される存在にするな むしろ台湾から学び沖縄を賢くし戦争を回避せよ
【11】つくられた「安保関連3文書」の歪んだ構造「日本と共に台湾が中国に対抗する」という口実
<結び>
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中国は「相手が弱い」限りは「孫子の兵法」施策 戦わずして「勝つ」外交こそが戦争回避の道
【基調講演】元沖縄県知事の稲嶺恵一氏
[出典:琉球新報社]
31年前の1992年に中国は新たに「領海法」「領空法」という2つの「領有法」を施行した。「尖閣諸島」「南砂諸島」「西砂諸島」は「中国領である」と明記したものだ。
今、尖閣諸島の近海には毎日中国から船舶が来ている。去年だけでも336回(前年比333回)来航した。だが、中国は日本側から「領海侵犯」されているという言い方をされている。
振り返って中国の法整備から言えば、「領有法」があるから、自国の「尖閣諸島」の」見回りをしている。だから漁船を抑えるのに、向こうの立場で言えば、「不法な日本の漁船」を抑えようとする。それよりも以前にはそっと静かに立ち寄って、じっとそれを抑えて感情を堪えながら対処していた。沖縄に対して伊豆は「海上保安庁第11管区」の動向をほとんど報道されてこなかった。まず、そういう現状認識から語る。なぜ、そのようなことになったのか?
中国は従来、ロシアが「仮想敵国」だった。なぜか?ロシアと中国は隣り合わせの大国同士。特に国流交の歴史が長い。
川で分けているのだが、その中に無数の島が存在するのが一番難しい課題だった。特に珍宝島(旧ソ:ダマンスキー)を巡る「中ソ国境紛争」(1969年3月2日)で揉めた。
争いが鎮まってくるや、最終的にはロシアはウラジミール・プーチン大統領の時代になって、開放したが、それ以前に「事実上の紛争終着」していた。
従来の中国は、「仮想敵国」をロシアから台湾を支援する米国に切り替えた。さらに1991年には旧ソ崩壊。共同体となって中国の敵ではなくなった。同年、米軍にフィリピンへ返還された「スービック海軍基地」はサンバレス州でも一流とされた自治体で、フィリピンの住民反対運動に遭って基地を手放したのである。5年経過して1997年に中国も「国防法」という法律を制定。尖閣も範囲内に規定された。
国家安全保障上の問題のみならず、海洋資源の権益を維持するということをその中で言っている。
水産物だけじゃなく周りの海を含め海中鉱山もある。それらの「海の島嶼のコントロール権」を確かな根拠とする法整備を中国は粛々と進めてきた。
すなわち、台湾を考えると同時に沖縄も同様の状況にあるということが言える。
中国は以前から概念(コンセプト)があった。「第一列島線」という九州から尖閣を通って台湾は(中国)領土だとしてあるためその東側を通じフィリピンの西からインドネシアまでいって南シナ海全てが中国のものだという考え方だ。
現実にその1992年の「領海法」が出た時の「西砂諸島」とは、従来、ベトナム域があったところだが、実はその間にもう中国に全部盗られて何もない状況だった。「南砂諸島」については一部、ベトナム域含め、すでに中国保有のものとなっており、フィリピンの認識も併せ「中国とは、どんな国か?」を考えてみる。
「100年河清を待つ」との中国古来の格言がある。意味するところは「反乱などで時間が経過しても根本的な解決につながらないことの例え」で、なんでも2〜3年で片をつけようとする日本とは思考形態を全く異とする。
私は現在の中国の習近平国家主席はじめ、王毅外相など中国共産党の重要人物に数々会ってきたが、その中で「能ある鷹は爪を隠す」を体現している人物はただの一人もいなかった。
常に威圧してくる。当時は13億(今や14億)それくらいの規模で世界随一とされる権力抗争を戦って勝ち抜くには「威圧」は不可欠だろう。会食などでも正面から教養や知識の見せ合い。習近平は地方送りにされていた時代がある。てっきり江沢民主席(当時)を恨み、全く別の改革開放路線に進むと思っていた。ところが全く違った。現実に習は毛沢東を尊敬し、同様の道を進んでいるように見える。やり方が特殊で、実は一人ずつ政敵を潰していった。憶測だが、汚職に対して反対する人はおらず、皆、習氏に拍手を送っていた。一遍にやらず、一人ずつ潰していくことを強調しておきたい。二期満了の際には政敵がいなくなり三選された。
沖縄を意識したのか、「孫子の兵法」=「戦わずして勝つ」である。100戦して100勝するのは「最善」ではない。
沖縄での在日米軍基地の訓練を知りたいとフィリピンのアロヨ大統領に招致された時、フィリピンは中国にミスチーフ環礁を捉えられていた時だったので稲嶺氏が訪比して歓喜した。
だが、スービック海軍基地の裏には中国の脅威があった。中国の船が巡航するようになってしまって、スービック基地のスカボロー諸島を南シナ海の中砂島東部にある「黄岩島(中)(比:パナダグ磯)」を巡る領土紛争が勃発した。その際、フィリピンのミンダナオ島産「バナナ農園」に有害な生物の物質があるという検疫を中国が厳しく敷いた。観光も中止された結果、フィリピンは「国家の死活問題」となった。急遽フィリピンの船は引き上げた。
稲嶺氏の歴史的見識からは、中国は備えがある限り、自国の危険性を無駄足で踏んでくることはない。台湾の李登輝総統時代に彼の君主と面会したが、2019年にも台湾に「両国の対岸」危機の鍵を握る重要人物と目されていた。
中国は「相手が弱い」限りは「孫子の兵法」施策をとる。彼を知り、我を知り城は危うからず。という哲学的な戦法だ。
例えば、地球の偵察諜報活動。あれは中国の、習氏も軍の最高司令官も関与していないだろうと米国防総省は見ていた。
一方で、同様のことから戦中に突入してしまうこともあり得る。戦争を防止するのに、最も重要なのは、きっちりした「外交」をやることだ。
1972年の沖縄本土復帰の年であり、生誕の年だ。日中友好の話し合いが行われた。
27年間、日本は台湾政府とのみで日中は政府間の交渉が全くなかった。民間外交が大きな成功を発揮した。中国では井戸で水を飲む時には、それを掘った人を忘れるなという。
非常に重要な道徳の教えが中国の史実の中に活きてきた。
結論としては、この尖閣諸島の海の中で、常に日本の漁船の前に近づく中国の船舶を前にいきなり襲撃的にいくのではなく、静かに、静かに年に336日(微増はあるかもしれないが)耐えに、耐えに耐え続けてこられた、その「第一管区」の生き方こそが大いに参考になるだろう。
台湾人は安全保障面で、日本の自衛隊に米軍以上の一方的な高い「期待」寄せる
「天主教輔仁大学」の何 思慎 教授
【筆者スクリーンショット】
「台湾有事」とは米国が「台湾独立を支持するのか否か」という繋がりはないものに思える。日本ではなく台湾では「台湾海峡」をめぐる情勢に関心が高く、「台湾有事」に関する懸念は故安倍氏の個人的な発言に留まるものではない。しかしながら日本が台湾の独立を支持しているということを意味するものではない。米国にとって台湾の利益とは何か?(「核心的利益」)
台湾海峡の現状維持に努めることこそではないか。このような選択肢は日米にとって最高の選択肢だ。岸田文雄首相は2022年の参議院での答弁は「『台湾海峡』の安定は極めて重要であり、『対話』を通じて平和的に問題解決を図ることが望ましい。日本の一貫した立場だ」と申し上げた。日本の対中外交において台湾独立を支持するか否かの問題は存在せず、中国と対抗する、すなわち「抗中」だ。岸田内閣の選択肢ではなく、中国に対しての対抗政策の多くは、中国と台湾のような上限を作るということだと思う。岸田首相は「日中関係改善」に向けた外交政策をしており、法律で日本の領域を盗られることを望ましく思っていない。日中間の矛盾に柔軟に対応しようとしている。天下などを取ろうとする中国の姿勢に対応しようとしている。
日中の経済関係はかなり密接であり、中国と切り離して日本の経済事情をとってみてもあまり良くはないと思える。
現在の日中関係は安倍政権下から続く競合関係になっているようだ。中国とどうやって経済関係を続けていけるか模索している段階だ。日本の内閣の世論調査は79%の人が「日本人は中国に対して親近感を持っていない」という結果だ。今後の日中関係の難しさが示されている数値とも言える。一方で若者は「日中関係の発展が重要だ」と答えている。世代間格差が見受けられる。
対中認識のズレも明確にみられる。今、日本は徐々に危機感を高めてきている。「台湾海峡」の情勢をみているけれども、「台湾海峡」で起こされた戦争に日本が巻き込まれるということはあまりないと思う。日本が台湾のために中国を説得するのか、衝突するのか、そのような議論は台湾でも時々行われているのだろう。
台湾の世論調査の結果、約43%は「台湾海峡で戦争が発生すれば、日本は派兵して台湾防衛に協力する」35%が「日本が米軍に協力する」。つまり、台湾人は安全保障の面で言えば、日本の自衛隊は米軍以上に高い期待を寄せていることが分かる。
台湾の民間、日本に対する心理的な距離を反映したものである。日台友好の社会的な空気の下におけるものとして台湾人にとってはリアルなものだ。日本に一方的な期待をかけている。
日本の政治・経済の構造に対する客観的な理解も乏しく日台の認識も実は危ういものだ。
日台は地理的にも近い隣国だが、実際、台湾は中国に比べたら、日本の認識が薄い。日本は「台湾海峡」有事に対して自衛隊を導入するには法律的な根拠もなく、故安倍氏の発言を以ってして日台有事や日本有事のかなり複雑な法律の国際情勢関係も理解されていない。
故安倍氏の主張を以てして日本が台湾を支持するのは中国との対抗と考えれば、米中対抗で官におけるバランスを皆、失うことになる。米国の専門家や高官らが、日本の災難を起こさないなどという故安倍氏の対中戦略を形容しているかのような個人的な知恵によるもののみならず、日中が歴史的往来を語る中で得られた外交上の知恵だと思う。
2010年、中国のGDPは日本を上回って40年余り日本経済の奇跡的状況に幕を降ろしたことによって、東アジアには2つの強い国が併存しており、「日中友好の時代」が終焉したとしても、これは時代の移り変わりによって日中関係は軽視できるものではないのだ。中国の党幹部の往来は日本外交にとって重要の中の重要事項となった。
前防衛大学学長は「日中の平和的状況が維持されなければならない。一旦、ビジネスが始まれば落ち込むのではないか?」と指摘した。政官を失うことになるかもしれないという発言まであった。
台湾はいかに日本が今のような「東アジアの断絶」と米中のかなり複雑な競争をする中で東アジアの「共通の利益」について考えてきた。また、地域に存在している危険を避けて戦後70年以上を通じて続けられている平和的状況を落ち着いて維持していく。東アジア諸国、特に日本の沖縄、台湾の人々とは最大の共通任務であると思う。
台湾立法院会(=国会本会議)、「国防部組織法」の一部修正案と「国防部全民防衛動員署組織法」可決
(財)国防安全研究院 国防戦略與政策研究所の林彦宏 助理研究員
[筆者スクリーンショット]
急変する国際情勢。2000年以降、中国の経済能力は好調で毎年二桁の経済成長が見られた。もちろん、13億から14億人の人口から見ると、他の国から見ても大きなマッチングが期待できる。2008年に起きたリーマンショック以降、経済あるいは派遣が確認された。
さすれば、12年は想像するに日本は経済力も勿論大きいから中国がその3倍、米国の75%(ドイツ一国分)に相当する経済力を築き上げた。また、地政学上の存在感も拡大された。
お金の面で潤っていたからこそ、軍事力を導入し強化できた。2022年にはコロナ禍でも年間2300ドルという莫大なお金を注入していき2300億(100×20億)の資産という日本の予算の5分の1ぐらいの軍事力を投じたということが分かった。
また、米国のシンクタンクや政府関係の組織から発表された結果、2035年までに1500発の核兵器を保有することを予測した。
軍事力だけではなく核兵器も持つようになったという認識を我々、台湾研究者はしている。
するとこの13億人が陸で生活しているにも拘らず、軍の海軍力にもどんどん資金投入していた。これから最大の海軍に成長を遂げることも判明。さらに米国が様々な報告書やデータを読み解いている限りでは「軍民融和」すなわち「科学技術」から軍事に転用する傾向がある。「IT産業」などあるいは「最先端技術」という中国は積極的に研究開発と共に各国からの知見の学びを獲得してきた。そもそも大衆社会で使われたものを軍備の基地に転換されたりすると、それが用いられることにもなり一例では華為(ファーウェー)も非常に大きな企業だ。さらに地球の拡張周囲では、中国とインドの国境戦争があり南シナ海の主権や新疆ウイグル族の、また中国共産党の施政統化などが挙げられる。
3年前の2020年4月、香港の鎮圧含め、中国の脅威や圧力が台湾にかけられた。海上の危機感が362日間以上続き、日本以上に毎日戦闘機数機が台湾との中間線を超えて飛来してくるのが中台の現実だ。
では、西側諸国はいかに考えているのか?ウクライナにロシアが侵攻したことによって西洋諸国に非常な緊張感が高まり激震が走った。
その文脈の延長線上に次は、「台湾海峡になる」という様々な報道がなされた。西側の考えは米国、欧州の台湾、オーストラリア、日本、韓国含めて実際の経済力は中国含めて見比べると2倍以上の力を持っている。
この2、3年間、コロナの影響があって、非常に発展している国もあるが、実際人々は苦しんでおり、沖縄という観光地もなかなか観光客が入って来れないということも含めて、同様だと思える。人々は今日、ご飯を食べれても、明日以降、何を食べていけばいいのか?その日暮らしの不安感を抱えて生きている。また、台湾問題で中国の内部にも色々あって少子高齢化、経済成長が停滞している所得格差の拡大が見られる。
中国全人代の後には中国各地でゼロコロナ政策に対する「白紙運動」の抗議活動が行われた。「党中央共産党大会」では習近平体制が三期目に突入。米中貿易摩擦などが影響し、また台湾内部にも様々な検討が始まった。「台湾海峡戦争」をいかに抑止し、いかに防いでいくかは台湾政府にとって深刻な問題である。
例えば、台湾の軍隊を強化する。私も徴兵制には行きました。1年間10ヶ月という経験だった。それも期間が徐々に短期化して今の若者は4ヶ月。それでいくら訓練しても4ヶ月では足りないから、変えざるを得ない。今年、あるいは来年にそういう法律を可決し、1年間になることがほぼ決定した。
台湾立法院会(=国会本会議)は2021年5月21日、「国防部組織法」の一部修正案と「国防部全民防衛動員署組織法」を可決・成立させた。そのような※「全民防衛動員署」という内部予備軍のようなものは2022年1月に台湾は設置したが、日本にはない。自衛隊が任務を負うことになる日本には動員法がない。
また米国がしている台湾政策については「国防権限法」や台湾の蔡英文総統政権に100億ドルの軍事支援を行う意向を示している。米国内部も徐々に台湾シフトしている。
無論、日米同盟も東アジアの安全は一つの国際条約に過ぎないのであって米韓もそうだが、その結束を維持しつつ、平和と安定を保ちながら台湾と自由民主主国家の関係性については、コロナ禍にあっては、台湾は自国民の保健や命を守ることができたと言っても過言ではない。そうなれば、自由民主国家の関係、欧州の国々が台湾を訪れ親交を深めたり20~30年前と比べると台湾は一つの国際的に注目された「場所」だと言えるだろう。
一口に「台湾問題」というが、私の認識では「台湾海峡有事」を起こさないことだ。「台湾海峡」は海であって日本の埼玉まで30km程度の距離が分かつものだ。
国際航海領域(誰もが従事できる航路)はタンカーから商船、様々な船舶が通過する。「台湾海峡危機」というのは、日米も同じ象徴をしている。
だからこそ、2012年の際、習近平国家主席は「中国の夢(China Dream)」を偉大なるスローガンとして「中華民国」は掲げた。
その最初の目的こそが、「台湾統一」だった。武力行使を含む様々な手段を使い、中国にとって唯一の「平和的解決策」は「一国二制度」だ。周知のことであるが、香港のような英国の植民地支配や統治は台湾研究者の私から見れば、到底受け入れられない。
だからこそ、台湾の現状は矛盾している。こちらの言い分と相対する側との交渉の齟齬が生まれ難攻しているのだ。
台湾にも平和主義者は多い。政治には分岐があっても、民衆には敵意はない。同じ言葉、同じ人種、様々な交渉ができる。組む相手も選べる。
軍事力がアンバランスで非対称的なバランスなので、台湾がいくら統治し、軍事統治しても格差のある相手には勝つ見込みがない。
中国の軍事費は毎年2300億ドル。比べて台湾は140億ドルだ。10〜20倍近くの差がある。
防衛費を与えると平和の脅威になる恐れが高まるのではないか。「台湾は中国と交渉すべきだ」と主張する人もいる。
愛台主義者たちは「台湾は中国に飲み込まれる」と。これから中国は完全に拒否の姿勢を中台間に貫くかもしれない。
せっかく中国に対抗して台湾を守るには「対中訪台」外交が有効な決め手になる可能性がある。
しかし平和主義者と愛台主義者はどちらが恐れ、潜在的な恐怖が内在している。要するに、平和主義者は中国に「やれ」と。愛台主義者は中国に「やってみろ」と挑発し合う。
ここにアンバランスが生まれ、双方でも戦争が起きる衝突の潜在性が残っている。
「台湾統一」は中国の数10年に及ぶスローガンであり、平和統一非公認制度の「最高指導原則」である。それ自体は明文化されている。
今、台湾は自分の国である中国しか主張していない。故に脅威を感じる。台湾が独立しない限りは北京が武力行使を起こす気がしないのだ。
中国の考え方はスローガンが眼前に現れているから「あなたは統一にするか?しないか?」と自責してくる。この場合「統一は最高原則である」と。では米国は変わらず台湾を守るのか?
今ある米軍と台湾の間には米国の「台湾関係法」だけがあって、同盟関係がない状態。台湾のために米国が戦い台湾海峡に介入する法的義務がないのが現状だ。
日米同盟と違って、3カ国関係はあくまでも国内法であり、米国議会が可決しない限り効力を発動できない。
台湾というのは米国の「核心的利益」であり非常に重要な外交課題だ。相まって武力による統治の構図も非常に高い。
台湾研究者である林氏からの提案として「買った方が安い」との発言があった。目で見えないものは、ミサイル、戦闘機、船など、なんとか対応できるが、目に見えないものが一番怖い。「孫子の兵法」に示された訓示にも関わってくることだ。
1996年に台湾総統選挙があり、初めて中国からミサイルが飛んできた。1999年の「2カ国論」の際も。さらに第3回目の軍事的危機が台湾にはあった。
結論としては「台湾は勿論、戦争など望んではいない。自分の国は自分で守るしかない。だから世界中の国際情勢が変動するのが速いから、いかに自由民主を中心にするかをますます進めていくこと。それにはこの集会のテーマでもある『台湾有事の対話』コミュニケーションが非常に重要である」林氏は再確認するように持論を締め括った。
世論が不支持の「台湾海峡有事」のために米国は台湾と共に中国と闘う覚悟はない
「琉球大学」山本章子 准教授
[筆者スクリーンショット]
何氏と林氏、お二人の議論に全面的に賛成だ。だが、台湾有事と言っても、いろいろなレベルがある。「サイバー攻撃」「情報工作」のレベルから「海上封鎖」のレベル。そして「全面侵攻(全面的な戦争のレベル)」だ。今、日本で議論されているのは「全面戦争」レベルの議論である。それは日米ともに一番弱く対応できないレベルだ。民主主義の国である日米はが両国ともに国民が中国と戦うことを望んでいない。
特に米国の場合は、ロシアのウクライナ侵攻に遭わされているウクライナへの支援でも、世論が次第に消極的方向へ傾きつつある状況だ。そんな状況で2022年7月に米国で行われた世論調査によれば、62%が「海上封鎖が起きた時に中国の台湾封鎖を阻止すべく米海軍を派遣すべきだ」という。40%が「台湾防衛のために米軍を派兵すべきか?」という結果を示している。
「海上封鎖だったら米軍を派遣してもいい」だが、「全面戦争」になって台湾軍と共に中国と戦う覚悟は米国にはない。いわんや、日本やだ。
今の日本では「全面戦争」を想定した「台湾有事」の話ばかりをしているのに、「全面戦争」が本当に起きたら、国民がそれに耐え得る状況にない。
非常に矛盾しているが、その矛盾をなくすために政府が出してきたものこそ「安保関連3文書」だと私は思う。
特徴が2つある。
⑴米軍がのべつ幕無し、どこでも訓練するということで抑止力を上げる。米軍が沖縄でその場の人々の生活を害するような形で訓練を行う。民間の施設や一般の航空や公安を使って訓練を行ったとしても、米国の世論が支持しなければ、米軍が実際に中国と戦うことはしない。
実際に戦えないのに訓練をして、私たち沖縄県民の日常が脅かされている。そういう問題を「「安保関連3文書」というものは有している」。
⑵もう一つは「兵器に依存した安保戦略」。日本がこれから様々なミサイル、例えば「トマホーク」などを導入する。では、兵器を保有していれば、中国と戦えるのか?
そうではない。日本は民主主義の国家だ。世論が中国と戦うということを支持しない限りはどんなミサイルを持とうが日本が台湾を守るために中国と戦うという状況にはならない。だから米軍の訓練が抑止力になる。ミサイルを持っていることが抑止力になる。これは民主主義国家において世論の支えがない、非常に脆い抑止力だ。
こうした議論が深まらないまま、報道されている状況を危惧する。
ウクライナの教訓として、見ていれば分かることは、やはりその非対称戦争へ大国と小国が戦う時に重要になるのは、民衆が犠牲を厭わずに戦う「意思」があるか否か。戦う政府を支持するだろうか?あの県民の四人に一人が亡くなった沖縄本土戦。それでも戦い続けたから悲惨な戦争になった。そういう「意思」が今の日本人にあるか?また同時に非核三原則の魂を持つ日本が、核兵器保有国である中国に対して、日本がいくら通常戦力兵器を持ったとしても、中国に見合うような兵器能力を保有することには至らないであろう。
そうであれば、なぜ、兵器をやたら無駄に導入するのか?という矛盾もある。
しかも「安保関連3文書」が曖昧模糊としている「反撃能力」や「敵基地攻撃能力(反撃能力)」などを示しても、相手の基地を叩く能力にはおよそ及ばないものだ。
実態は、在日米軍が在日米軍基地を攻撃された後に中国側に反撃する時に、米軍の反撃を阻止されないために補助する能力をいう。つまり米中のミサイルの撃ち合いを日本領土内で助ける能力というのが、「反撃能力」の中身になるのである。
すなわち日本が米中戦争に巻き込まれるリスクを負うので、「反撃能力」の中身をしっかりさせる。我々がこれから直面するような状況というものをより、具体化させていく必然性があると思う。
国際的な東アジアを沖縄はどうやって「ハブ」にしていくか
「ゼロエミッション・ラボ」沖縄共同代表で「沖縄・台湾『対話』プロジェクト」呼びかけ人
神谷 美由希 氏
[筆者スクリーンショット]
専門家ではない視点から前壇の2人の台湾研究者からの報告について。
台湾民意基金会の世論調査で43.1%の回答者が「『台湾海峡』で戦争が勃発すれば、日本が派兵することを期待する」という結果を聞いたとき、日本側でまず、台湾を防衛するか否かの議論すら行われていないのに一方的に期待されているのは「すごく危険だな」と思った。
また「中国は日本経済を成長させるのに重要な貿易パートナーであり、両者は親密な競争相手でもあり相互に依存し合う関係にある」との報告もあった。
そうであれば、中国を「敵性国家」と見做しているとのことだが、経済面から見て「敵視するのは難しいのではないか?」「安保関連3文書」「敵基地攻撃能力(反撃能力)」なども。
台湾主義者や平和主義者の矛盾というのも、私にとっては新鮮で、台湾と言っても大きく考え方が違う人たちがいることが分かった。多様な意見を傾聴することも重要だと思った。
沖縄での「台湾有事」に対する反応だが、危機感を持っている人は少しずつ増加傾向にある。私の知り合いの談話でも「県外に引っ越しする」という話や「台湾に今、旅行に行くのが心配だという人がいる」という話も聞いた。
ただ、漠然と危険だと考えている人が多く、実際に「台湾有事」とは何か?が具体的に分かっていない人が私を含めて多いように思う。
この「対話プロジェクト」で分からないことが分かるようになればいいな、という期待をしている。
また、過重な基地負担による騒音や事件、事故などで今もまだ環境汚染に苦しんでいるし、「人体への有毒性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)」などの問題解決にも至らず、辺野古の移設基地反対の声もずっと無視され続けている状況だ。
こういう現実を突きつけられると、すごく無力感に襲われることがある。第二次世界大戦のように沖縄が「捨て石」のようにされることだけは断じてあってはならないという歴史があるにも拘らず、またしても「戦場の場」にされるかもしれないと危惧する。何もしないわけにはいかないから今もこういう活動に関わっている。
どれだけ沖縄の人々を傷つけているのか、非常に暗い気持ちになる。本土の人たちはそれをまず、知っているのか否か?疑問に耐えない。憤りというか、苦しい思いを抱えている。
日本政府も、本土の人たちも当事者意識はあるのか?ないのか?なぜいつも沖縄が犠牲にならなければならないのか怒りを覚える。
そして日本の計画に巻き込まれたくないという思いを抱いている。「対話の場」に行って、沖縄の人たちを含み合意の上で話が進んでいるならまだ、理解できるが、私たち沖縄に住む者はむしろ、「反対だ」と意見を示してきたにも拘らず、閣議決定だけで話が進み、それが沖縄人を置き去りにしている。
どうしたら「台湾有事」を止められるのか?私なりに勉強してきたことを少し、話したいと思う。
「2022年、欧州では冷戦機に「国家」と「国家ではない」自治体や環境団体NGOが東アジアでロシアや東欧諸国を呼び込んで安全保障の話し合いの「場」をつくり、全欧安保協力会議になっているのが今の礎になっている」と青山学院大学の羽場 久美子教授が話されたことから学ぶ機会があった。
羽場先生はいつも「若者、頑張ってね!」と言ってくれる。そのような話は私たちとはあまり関係なく思ってしまいがちだが、実際国と国とでは大きなしがらみもある中で「対話するのが難しい」。そんな環境でも市民が抱える役割が大きいのではないか?ということを希望と勇気として受け止めた。
今、危機を感じて様々な活動やグループが立ち上がったりしている。私が関わっているものだけでも、
⑴「沖縄・台湾『対話』プロジェクト」発足(2022年10月)
⑵「沖縄平和のハブとする東アジア対話交流プロジェクト2023」
⑶ 「No more 沖縄戦『命どぅ宝の会』
など、代表的なものは3団体。
国際的な東アジアを沖縄はどうやって「ハブ」にしていくか、2023年6月にシンポジウムを予定している。
様々な活動をしている50団体以上が結集して2023年2月26日に大規模な1000人以上を目標としている集会がある。一例として「争うよりも愛しなさい『島々を戦場にするな!沖縄を平和発信の場に!2.26緊急集会』」だ。
大先輩方がずっと頑張って「反対」と言ってきたものを私たち若者がもうちょっと入りやすい間口を広げるように、もっと優しい世界の一つになって一緒に戦争を止めよう」という風に持っていけるアイデアを集める。その考えを先輩方が理解し合って融合していこうとする動きになっていることに私自身、嬉しく希望を感じている」。
また、「東アジア共同体研究所」のヤングフレンドシップとしての「沖縄」。沖縄問題を勉強しながらYouTubeで発信したり「アジア麺(※要確 メイン?)ロード」というイベントをやりながら終戦後の今の沖縄の立ち位置としては、歴史的に他国と戦争をしたことがなくて中国とも400年以上、平和的な交流をしてきたという「国際交流」に適している「場所」なのだと思っている。
[筆者コラージュ]
沖縄と台湾の「架け橋」として 討論ではなく「対話」を
[筆者スクリーンショット]
―「台湾有事」の可能性について
林氏:結論から言えば、「台湾有事」の可能性は高い。様々な公文書を見る限りは「台湾海峡」の平和と安全を維持すること。「軍備増強」というのは一つの象徴だ。
一例として、「覇権主義」にこんなに多くの資金を注ぎ込んで地域の安定を不安定にさせる懸念事項のこと。「不透明な予算」ともいう。さらに恐ろしい話だが、中国が考える「台湾海峡」有事などは一つのデータではなく様々な手段を使い「民事作戦(Civil Affair Operations)注:とは軍事作戦を促進するための民間の領域における軍隊の作戦行動)」に1000億ドルを使ったり、軍事費投資することは中国にとって逆に喜ばしいことになってしまう。本格的に侵攻しようとすると恐らく可能性が高いだろう。米国のインド太平洋司令官フィリップ・デービットソン氏も「2027年の前に恐ろしいことが起きる。30年や35年前でも可能性を捨てきれないが、我々は準備しなくてはならない」と警鐘を鳴らした。自分の国をどうにかしないと他国に助けて欲しいとは言えない。どこの国も同じだ。2013年にもロシアが一方的にウクライナのクリミア半島を併合した。いつミサイルを撃ってくるのか分からない。それを米軍が警戒して「北大西洋条約機構(NATO)」へも含む様々な協力をしてきた。我々は準備しないわけにはいかない。
かつて2021年にロシアが内乱侵攻した頃は、誰もが今日のウクライナ有事やあるいはポーランド有事を「全面欧州有事」などとは呼称しなかった。結局、ウクライナ有事があるからこそ、次は「台湾有事」だと数字から見るだけでは毎日の船舶や戦闘機などのパイロット訓練などに時間を割いていない。中間線を次々に超えていき、我々も軍備や軍事予算を増加せねばならない。ガソリン代が高騰しエンジンとする飛行機など私用の自動車よりはるかに高くなっている。それが台湾研究者として今、直面している「脅威」の現実だ。
何氏:両岸関係、すなわち中台関係は、台湾海峡を巡る右側と左側。この7年近く国際政治を見ると、今の台湾海峡の行政はかなり困難な状況だ。米国のジョー・バイデン政権の前にドナルド・トランプに政権を奪われていた当時の中国政策によって持ち込まれた影響により、中台間の「対話」も難しくなってきている。だが、国際情勢の要因だけではなく、自分の政治にもたらされた中台。台湾の位置付けと困難の要因もあるはずだと思う。すなわち今、台湾と北京は「対話」をしないと、「台湾海峡」での緊張がきっとエスカレートすることはほぼ、間違いないと思われる。実際には台湾の蔡英文総統や中国の習近平国家主席同士で「対話」などできない。中台間には基盤があるのか?この7年近く台湾の「民進党」政権の対中政策というものは中国政策によって、ことごとく潰されてしまった。「中華民国」と「中華人民共和国」2つの政府の関係性とは何か?はっきり言っていかないと何らかの7年、今の意味のある対話も実現しないだろう。
しかし2024年の1月にはもう一回「国政選挙」がある。これは台湾、東アジアにとって、もう一つのチャンスだと思う。無論今、「民進党」も「国民党」も「中華民国」の憲法の下で立てられた二大政党だから、双方の中国に対する「スタンダード」は全く違うものだ。「民進党」は中国と台湾とは別で「対話」できるけれども、「国」対「国」の「対話」というものを全面に打ち出しても中国共産党は受け入れないだろう。それでも習体制は頑なに「一つの中国」政策の言葉の意味を堅持している。「中華人民共和国」は1992年に立てられた中台間の共通認識(コンセンサス)がほぼ潰されてしまった。毎年の台湾政治で新たな変化があれば、政権交代だけでなく、次の「民進党」総統が誰か?そういう政策を取るのか?将来の東アジアまたは沖縄の皆さんが重視されている平和に深く関わっていると思う。
「地経学」の観点から中台輸入依存している 日米は立ちゆかなくなる
元琉球新報社長 「沖縄・台湾『対話』プロジェクト」呼びかけ人
高嶺 朝一氏(以下、高嶺氏)
[筆者スクリーンショット]
高嶺氏:林さんの仰られた「太平洋インド洋司令官のフィリップ・デービッドソン」運動がある。意味は「デービッドソンの窓(Davidson WINDOW)」と言われ、昔は「張子の虎」と呼ばれた中国が警戒を怠ると「窓を突き破って入ってくる」。米国議会調査報告書などの公文書でも引用がある。いわば、日本で昔流行った「戸締まり論」だ。同様の発言をする司令官たちを多く知っているが、彼らはいつも引退する前にやる。次の職務を探すためのデモンストレーションのようなもの。だから我々は注意して煽られてはならない。もう一つ言えるのは、「地経学(Geo-Economics)」だ。
米国のスーパーは、台中紛争が起こった場合、在庫が全てなくなると言われている。中台輸入依存状態だからだ。米国人はその事実をあまり知らない。だが、昔から政治をしてきた人々は既知だ。一つ挙げられるのは「選挙」というのが、民主主義国家で指摘されたが、米国は特にひどい。米国大統領選挙で「共和党」だろうが「民主党」だろうが、対中姿勢は「ワシントンコンセンサス」によって、皆中国批判をする。誰かが勝てば、誰かが負けるという選挙制度の「ゼロサムゲーム」に躍起になる。それは台湾でも同じだ。選挙で選ばれるリーダーというのは有権者が判断をしっかりするという民主主義の原則に則った当たり前のことをしていかなければならない。
今、「台湾海峡」で何かあった場合、日本は立ち行かなくなるだろう。地元の国内に産業を戻すことも大切だ。けれども今日、明日どう生きていくかを自問すれば、やはり中国に依存しなくてはならない「地経学」的状況にあると思っている。
在日米軍や自衛隊が共に平和に直接介入しない方が「台湾海峡有事」になりにくい可能性が高まる
―米国の介入予想が「台湾海峡」有事にクライシス展開して影響を及ぼすのでは?歴史的な背景と米国が何をすれば、中国に自制的な行動を促せるか?
林氏:個人的観点から申し上げると、1950年代、朝鮮半島の戦争があり、当時「台湾海峡」に第七艦隊が派遣され台湾が守られた。
70年前の話だから米国はいつも国務省と国防総省の意見が食い違っていまだに同じである。2022年ウクライナがロシアに侵攻される以前に米国の国防総省はずっと警告していた。「あと何日か国境に何十万というロシアの軍隊が集まってきたら絶対危険だから何か措置をとれ」と。米国内部の意見というものは非常に重要だ。今の国際情勢の中では米議会上下院の考え方を見ていれば本格的に台湾侵攻するか否か、判断が難しい状況でも様子によって米国の出方が分かる。
何氏:万が一、「台湾海峡」でトラブルや戦争があれば、米国に寄られる政策なり判断なりもされるはずだ。歴史的知識を活かしてそれまで米国政治というよりは「大国」と言ったら「旧ソ連」や「中国」だった。冷戦期、全面戦争は起こさないという暗黙の了解のような空気が醸成されていた。今日のウクライナ戦争を見ても米国やNATOがウクライナ政府を強く支持していることは分かるが、直接的軍事介入はしない。そういったロシアと全面的な戦争を起こさない結果がもたらされていると信じている。
しかしながらその流れでいくと「第三次世界大戦」になりやすいという判断もなされる。将来、もし「台湾海峡」でウクライナのような紛争あるいは衝突があるとすれば、米国がとる政策で台湾政府になるか、支援を与えて軍事資金を投入し武器を供与するという戦争に向けた準備を始める。在日米軍や自衛隊が共に平和に直接介入しない方が有事になりにくい可能性が高まると思う。逆に日米同盟の機能を活かして直接中国習政権と戦うとなれば、我々の今の穏やかな生活がほぼ、潰されるのではないか。現段階ではそうしたことが明示されている。
米中の争いは国際政治の「現実主義(リアリズム)」も超えて、圧力を受けた米国の国力を上回る情勢が作られない。こういうような米国の政策は現状も変わらない。1980年代の日米関係を見るとすぐに日本は同時に同盟国である事実があっても、当時の日本に米国がやっていた政策は日本の「弱い者いじめ」のようなものだ。それは同盟国であっても経済的ライバルであれば日本をいじめ続ける。今の中国も同じだということだ。
今の米中関係の改善はかなり難しい。だが難しさの中にも、戦争をもたらす可能性は高いと言えるのか?個人的判断ではあまり高くないと思う。
―林さんが第一部で議論された「攻撃するより買った方が安い」という話。なぜそれなのに攻撃準備をしているのか?
林氏:来場者の皆さんは90%がスマホを持っている。これは人々の生活を好循するための良いもの。情報をすぐ調べる、連絡をすぐ取れる。そうすると、悪用される可能性が高いリスクも負う。すでにフェイクニュースなどで台湾と中国の間には言葉の問題がない。同じ言語で話せる文章を見れば大体90%以上はわかる。そういう大砲、ミサイル、戦闘機を中国が使いながら台湾に恐怖を与えることをする限り、「認知作戦」をした方が利便性が高いということ。台湾のTVは様々な論点、いろいろな立場があるが、我々は皆、多様性を求めている。しかしそれには混乱させる恐れがあるのでいかに防ぐか?それこそが課題であり、「武力攻撃するより買った方が安い」というところの意味合いである。
―「中国と台湾は対話できない」という話があった。なぜできないのか?
何氏:今の両岸関係を、台湾「国民党」と中国「共産党」との対話ができるのは多分一部だけ。そして一部の「民進党」の支持者だ。台湾「国民党」は「北京はもっと柔軟な政策を取るだろう」と主張しているけれども、実は違う。台湾「国民党」元祖 孫文氏は「中華民国の思想に近づけられていた」ずっと政治的闘争を繰り広げてきた「中国共産党」に降参する余地などないと思う。それでいてなぜ、「国民党」と「中国共産党」は「対話」ができるのか?
一つは「中国の基盤があること」だ。だが、「中華民国で政府が蜂起した。台湾はウクライナのように小さな国。「一つの中国」の定義とは何か?ご来場者の皆様にはよく分からないだろう。1972年の「日中国交正常化」のように日本政府は「一つの中国」原則を認めた。しかしながらそこにも中台間で中国について回る定義がそれぞれある。当時、台湾の馬英九 総統政権期にはシンガポールで主催されていた両岸のサミットが催されていた。当時は「一つの中国」の前提があっても定義はそれぞれ台湾は「中華民国」と呼称し、国民と一緒になって一斉蜂起した。
それでも共通認識があれば、両岸の対話もできる可能性は残っていたと思う。今の蔡英文「民進党」総統政権では「一つの中国を認められない」としている。その事実自体は理解できる支持者がいるか?有権者の声を聞いていればすぐに分かる。
両国間の関係性は一国のもとで「2つの政府」における関係なのか?こういう基本的な問題に言及してしっかりと答えていかなければならない。
もし「中華民国」が上記のような定義について何か奇異な解釈があれば、両岸の「中台間」の「対話」もできると信じたい。
教え子に「台湾は一つの独立国家ですか?」とよく質問を受ける。国の名前は「中華民国」。だが、これを英語に翻訳すると…「Taiwan is unindependent Nation: named the Republic of China」。
母国語が英国、米国、仏国の欧米圏内で、この翻訳を聞いて果たして分かりますか?
「中華民国」「中華人民共和国」。いずれも中国政府だ。どっちも独立国家じゃなくて、一つの中国のもとで2つの政権争いをする。こういう認識があったら、「両岸間の対話」などできない。
林氏:「対話できない」というのは大変重要な問題だ。台湾「国民党」と「民進党」の考え方は無論、内部の考え方があるだろうけど、「中国共産党」の内部は「中国の夢(China Dream)」のスローガンで最終目標は「台湾統一」だ。制度は「1国2政府」との原則上、書いてある。今まで話してきた「1992年コンセンサス」や、お互い、属さない、主張し合えばいいという話であって、私から見るとそうではない。仮説があるというなら、ではなぜ「台湾統一」がなぜ中国共産党の文言に掲げられているのか?少し不思議である。お互い認識しあって「いくらでも自由にやっていい」という干渉もせず、「自由に」と束縛や制限をしない。ところが、香港から見るとそうではなくて英国に返還された後はやはり、色々と失ったものはあるのが歴史的事実だ。
我々台湾からすれば、そうはしたくない。
「1992年コンセンサス」については、今は「民進党」政権が歴史の1ページとしてあるので、それをスキップしていないものである。だから、蔡英文政権発足後から、来年も国政選挙になるから私の管轄の上では自ら中国に対する挑発行為は、ほぼない。
1996年の際、台湾は「全面的な大統領戦争をする」と李登輝総統が訪米して「国論」を言い出した。陳水扁総統の打ち出した「一辺一国論」これに対して中国は激怒したのである。
これに対して蔡英文政権以降は、挑発行為などほとんどしておらず、それにも拘わらずなぜ、飛行機が次々と飛来してきた。防衛の研究に関しては、中国の中間線を飛行機が飛来してくるという意味は、2000年以降は滅多になかった。ここ3年で突出して増加。非常に驚きを持った。誰でも戦争を起こしたくない。望んでいないのが最大の願いである。
<ここで、筆者の解釈を補っておく>
台湾は蒋介石・蒋経國政権期の硬直化した「抗日」外交政策の軌道修正を図り,その後継の李登輝が中国大陸を支配している「中華人民共和国」を認めた「実務外交」に切り替えた。
さらにその後、陳水扁が当選。民進党は在野時代には「台湾独立」を掲げたが、与党となった以後は表現を改め、なお独立も模索した。ともあれこれで名実ともに大陸、台湾の独裁政党であった国民党は野党化し、台湾の民主化が確立した。だが、陳水扁総統が「台湾独立派」の旗印として「一辺一国論」を打ち出したことに中国は激怒し、再び圧力を強めて大陸との関係は緊張関係が悪化した。
2021年は日本が「中華人民共和国」と国交を樹立し、「中華民国(すなわち台湾)」と断交してから50年にあたる節目の年だった。日台関係を構築することが最優先課題であり、中国の反発を避けながら非公式な関係を維持した上で日台は北東アジア地域の安定確保を目指すべきである。その役割を担えるのは民間機関である「日本台湾交流協会」と「台湾日本関係協会」の設置である。米国は台湾との国交を断絶した直後に国内法として「台湾関係法」を制定している。日本にはいまだそのような枠組みはない。2018年には米国のトランプ政権による「台湾旅行法」などが制定され、米台関係の軍事面に台湾軍の参加容認など米台関係強化立法措置化に進展があった。日本も指針となるガイドラインなどの法整備に着手することが求められる時期に来ている。
2021年8月と12月の二回に渡り、議員2人によるオンライン「日台与党間2+2」が実施された。2022年1月にはやはり、「日台安全保障パートナーシップフォーラム」の初会合が催され、経済安全保障やフェイクニュース対策について意見交換がなされている。また同「フォーラム」でも日本の「台湾関係法」を制定すべしとの提言がなされた。
だが、中国は台湾の孤立化を図り、蔡英文政権発足時から、パナマ、ニカラグアなど8カ国と国交を結び、台湾に断交を迫らせた。「COVID-19」のパンデミックによる深刻な局面にも拘らず、「世界保健機関(WHO)」などの国際機関からも台湾の締め出しを画策している。このような中国による台湾潰し工作を阻止すべく日本は日米豪印の安全保障枠組み(QUAD)も活用し、「自由世界のシーレーンの中国」による「脅威」からも「インド太平洋地域の平和と安定」に重要な役割を果たしている「日台関係」は「運命共同体」であることから到底、台湾を無視できない。
[筆者調査文献精読による]
沖縄を「台湾海峡有事」に利用される存在にするな むしろ台湾から学び沖縄を賢くし戦争を回避せよ
―台湾は歴史的に幾度も有事の危うい事態を軍事ではなく「一回の衝突もなく回避してきた国」。台湾専門家の叡智を拝借願いたい。
林氏:1996年、台湾は初めて民主化した。李登輝閣下の役目を果たしており、違う中国との関係を築きたいという意向で中国側に相次ぎミサイルが飛んできていた。当時はまだ表沙汰にはなっておらず、しかして台湾は危機を抑えていた。米クリントン政権も空母を2隻、台湾の北部と南部に派遣した。周知のことだが、中国は当時その国力を絶対米国に強化されていたことだろう。ミサイルが確実に発射できたかは分からないが、残骸は見ていなくてもレーダーを見るとミサイルはちゃんと飛んでいた。
台湾にとっては大変な脅威である。中国がなぜミサイルを発射したのか存じていないが、結局は米国に対してなぜ当時の米下院議長ナンシー・ペロシ氏を派遣させたのか?ペロシ氏が事前に言っても「なぜ君は台湾に行くのか?」とどうして言わなかったのか。お互いが理解しあってやったことなのか、中国が米国に「けしからん」ということで、我々の領土へ米国が下院議長を派遣することは許さないことであるとか。本質的には「台湾有事」を防ぐあるいは「有事回避」のために何ができるのか?様々な手段があって我々が挑発しない限り、中国はどんどん攻めてきて脅威を感じるのは好ましいことではない。人間関係、そんな大きな社会の中で一人一人の感覚は勿論あっても、国家主権(「国」と「国」の間)にも言えることだが、お互いの利益があるからこそ、それに協力するか、リアリズムの関係性から、あるいはコンサバティブな関係性とはそれぞれ異なるので、お互い納得できるまでは相当な時間がかかると思う。ちゃんと「対話」できるか、最大の決定権は「台湾の人の手にある」。理由は投票で政治家を選ぶことができる民主主義という台湾人最大の権利を保有しているからだ。投票で政党を変えることを我々も望んでいるところとするものであり、ここにこそ、民主主義の最大の本質がある。
何氏:台湾はかなり賢い国です。今、中台間には戦争を起こす可能性があれば、来年の国政選挙でもう一つの政党を選ぶ可能性もあると思う。こういうやり方で北京とバランスの良い関係性を維持していく。民主主義のメカニズムを活かして難しい中台関係の中でバランスよく平和的な道を維持して行くような覚悟を台湾の有権者の間によく見られる。
台湾の問題は世界の地域に関わっている問題だ。我々は「一つの中国」と将来の中国はグローバリゼーションの流れで世界と深い関わりを持っている中国なのか、あるいは孤立した中国か?この「2つの中国」は「中華民国」と2つの「中華人民共和国」との違いじゃなく、孤立した中国と世界と深い繋がりを維持している中国の方が、我々の安全にとってはいいと思う。
―3つの「事態想定」がある。
⑴「独立を宣言する」→「習近平指導部」→武力介入
⑵「台湾内部」の混乱があった場合→「介入を許すことになる」
⑶「外部勢力」の介入→米国ほか、他国→「習近平、武力介入」
山本氏:台湾有事「回避条件」とは?中国からの「情報工作」や「サイバー攻撃」というものに対する備えなどの防衛にも、これまで台湾は試行錯誤しながらやってきた。むしろ、沖縄が台湾から学ぶべき点だと考えている。沖縄は今、中国の外交官や軍事当局者から非常に注目されており、よく視察に訪れる。日米の楔になるという見方だ。
沖縄は米軍基地に反対してきた。ここを揺さぶれば日米の理解に繋がるということであり、よく言えば付け入る隙があるということだ。沖縄は日米中どの国からも利用されている存在。
だからこそ沖縄は「台湾有事」に利用される存在になってはいけないと思う。かつて沖縄で台湾領事をされていた方が定年を迎え大阪に行った。ところが「フェイクニュース」で糾弾されて本国に送還されるという恥に遭わされて自殺してしまった。そういうことが台湾のみならず、沖縄の関係者や日本の外交官に今後起こらないように注意しすべきだ。「情報戦争」というのは人々を殺し、戦争に繋がり、自分を守ることができる有事を防ぐことに沖縄を賢くすることこそが、台湾を守り、沖縄を守り戦争回避につながると思う。
高嶺氏:一つは中国も台湾も双方で現実を認めることが大切だと思う。つまり、つい50年前「中華民国」は国連の「常任理事国」だった。北京の人々の歴史の教育は大切にした方がいいと思う。現実は世界2位の経済大国になった。さらに米国を追い抜かそうともしている。北京政府主導の中国が一つの中国を目指しているということだ。その現実を認めないといけないと思う。
もう一つは山本さんが「沖縄の人たちは利用されている」と仰ったが、米軍占領直後から沖縄は「政治的な無人島」と言われた。つまりワシントン政府に訴えても、東京政府に訴えても、沖縄の要求というものは受け入れられなかった。要するに沖縄は、ワシントンや日本、北京、台北に対して「沖縄というのは無人島ではありませんよ」と「軍事基地だけがあるわけじゃない」「ここには皆さんと同じように人々の暮らしがある。」「私たちの暮らしを破壊しないでください」それを堂々と言った方がいいと思う。
特に前のめりになっている米政府と軍事化に前のめりになっている日本政府には声を「大」にしていうべきだ。
―沖縄からの提言をお願いします
神谷氏:韓国の方と結構交流しているのだが、沖縄の県民投票の問題だったり、在日米軍基地問題を共有した時にすごく共感して「連帯し合いましょう」という話になり感動した。
2022年にも出会った韓国の方はすごく「終戦の話が聞きたい」とか色々沖縄について関心を持っている人たちだった。「一緒に連帯したい」と。3月にも韓国に行く予定だが、400年以上も中国と外交してきた沖縄の歴史というのを活用して、これからワシントンの米政府や日本が無視されている状態だけれど、市民は違うと思う。米国の中でもジャーナリストの方が基地問題を取材して発信してくれたこともあるし、政府だけじゃなく市民が連帯するということを今後していくべきだ。
今の状態が悔しいので、どうにか沖縄が平和の中心の「ハブ」の役割をもてるような場所にしていきたい。そのためにもこの台湾研究者の林さんや何さんとも協力し合って今、台湾の問題を聞き、知らないことが多々ありました。理解して共有し合って新しく選択肢を作っていくことを諦めずにやっていきたい。
つくられた「安保関連3文書」の歪んだ構造「日本と共に台湾が中国に対抗する」という口実
「台北在住のジャーナリスト」本田 善彦氏は
[筆者スクリーンショット]
「台湾有事」は実は昨日、今日始まったことではない。1949年に台湾海峡の分断が固定化して以来、ずっとある話だ。中国共産党は一度も台湾に対する武力行使の放棄を公言したことがない。早期には蒋介石政権が「抗中」を打ち出していた。米国が抑えていて、とりあえず「一つの中国」の枠組みの中で今日の状況が続いてきた。では今、なぜ「台湾有事」と言い出したのか?一つは中国共産党政権が非常に強大化してきたこと。もう一方で、米国が衰退し、日本が低迷しているという2つの重なりが見られる。
その意味では「中共」側の動きを見る必要があるが、同時に米国が今後、どうなって行くのか?これにも目配りが必要だ。先ほど山本氏も仰っていたが、「認知戦」について。日本ではそれが中国のサイバーテロ攻撃があったからという風に仰っているが、実情はそんなに単純なものではなく、日本でそういう報道があったように2021年(自殺事件から3年後)台湾の裁判所で実刑判決が出ている。蔡英文政権に近しい勢力で、その中のネットを使った「情報工作」をした人物が関与していたことが判明。ただし、今起きている米台日状況に流されがちになるなら、眼前の民主主義に甘んじることなくグレードアップする必要がある。既存の政治制度の中で「自由民主」というのは最もリーズナブルだ。そんな単純なものではないことを冷静に見た上でもう一度、「善悪2分論」に傾くことなく、もっと冷静にシビアに見ていくべきだろう。
「元共同通信」の岡田 充氏は
[筆者スクリーンショット(出典:imidas)]
3点ある。まず、作られた台湾有事の構造とは、世界のグローバリゼーションと米国の衰退化が進む中で、今や東アジアでは米国一国では中国に対抗できない。そのため同盟関係にある日本を含め、新たにオーストラリアやNATOを含めた新しい同盟関係を通じて中国に対抗して行こうという口上の中で作られた有事だということ。
次に、「日本と共に台湾が中国に対抗する」という口実が生まれてきた。2022年12月17日に閣議決定した「安保関連3文書」の構造を考え「台湾有事」を起こさない。そういう見解の提議をする上で、今ある「台湾海峡」の緊張を緩和することが必要だ。そのために「対話」が必要である。
「我々日本と台湾政府は『自由と民主』を共有する価値観を」共有するということが盛んに強調されてきた。米国、また他国の民主主義も色々グラデーションがある。米国の民主主義は世界的な基盤を持つ、そんなイデオロギーではない。その中で「自由と民主」を強調することは、中国という宣戦布告国家に反対する「共同戦線」を作らせることに利用させてはならない。
その定義なくして「自由と民主」という「共通理念」を強調することはやめた方がいいだろう。
最後に3点目として、1年以内に台湾総統戦が予定されている。2022年11月に行われた「台湾統一地方選挙」。与党「民進党」が大敗を喫した。世論調査によれば、「国民党」の候補に絞られ、政権交代もあり得るという見方が多勢だ。仮に政権交代となり、今の緊張した両岸関係になるとしたら、緊張が緩和されることがなければ台湾市議選が現在の、つまり米日台の同盟関係を変え得る新しい「ゲームチェンジャー」になり得る可能性が見えてくる。
<結び>
濃密な内容の「対話」を締めくくり、この日のために招致された2人の台湾研究者からも満足げな笑みが溢れた。改めて「安保関連3文書」なる紛いものをその戦場となり得ると煽り立て口実とされている最前線の沖縄からクリティカルに読み解き、市民や有識者、学生、メディアと共闘して声を上げ続けていかなければならないと再認識した対話集会となった。
[筆者スクリーンショット]