【安保関連3文書】外務省が他国軍に武器供与?!日本のODAから「『非』軍事原則」が消える当事者置き去りの大転換

  by tomokihidachi  Tags :  

[出典:(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)]

 2023年2月21日「外務省が他国軍に武器供与?!安保3文書、もうひとつの大問題を考える」院内集会が開かれた。
 なぜこれまで「非軍事原則」に則り国際開発協力を主導してきた日本の外務省が、防衛省ではなく、従来の枠組みを大きく変えてしまう「開発協力(ODA)大綱」の新たな枠組みをODAとは別枠で作ったのか?
 前半は登壇者による簡潔な問題提起。後半は「(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)」の今井高樹 代表理事による外務省側との意見交換が行われた。 

外務省予算に「同志国の安全保障能力強化支援」として20億円計上

 院内集会は主催団体のひとつである「(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)」の今井高樹 代表理事が先ず「国際協力と非軍事原則」をテーマに問題提起を行うことから始まった。
今井氏は「国際協力に携わっている数多くのNGO団体の一つとして、特に敏感にならざるを得ない問題だ。防衛費の拡大や敵基地攻撃能力ばかりに問題の焦点が当たっている。しかし外務省が武器の支援をしていくという援助については関心がほとんど集まっていない。私たちNGOに深く関わる「安保関連3文書」の側面は以下に示す通りだ」。
 

[出典:(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)]

つまり、相手国、同志国と言われる国の軍に対して直接的に無償で武器を供与する。早くも2023年度予算案で具体化されており、外務省予算に「同志国の安全保障能力強化支援」として20億円を計上。今後、数年かけて拡大していく見込み。
 これをやっているのは防衛省ではなくて外務省がやっているということに非常に驚いている。これは『非軍事』原則を掲げてきた日本の国際協力の大転換を図るものである。『開発協力大綱』というものがある。
 「日本の開発協力(ODA)の理念と目的、重点政策、実施原則を定めた指針である『非軍事原則』(非軍事・紛争の助長の回避)は最重要原則の一つであります。」
「2015年に開発大綱が改定され、その時に原則が緩和された。『防災』や『民生』目的であれば、相手国の軍・軍関係者への支援が解禁となった。その後、巡視船や沿岸警備システム、防災機材などが供与された」
 さらに2022年9月に外務省は開発協力大綱の「改定」を発表した。安保関連3文書の改定に合わせ「外交と防衛の両輪」でやるという政府施政方針を示した。すなわち、安全保障や経済安保のためのODAを戦略的に活用した。

 今井氏は「私たちNGOにとってのODAとは途上国の貧困削減や自助的な開発を目的としたものである。ということをずっと主張してきたが、外務省の方は経済安保であると。私たちとは意見の相違がある。」とした上で、一方、『非軍事原則』については外務省はこれまで『堅持』を明言してきた。ところが、安保関連3文書の議論と共に2022年の12月に「ODAとは別物」(非ODA)の他国軍支援が明らかになった。これは事実上の「非軍事原則」の破棄である」と批判した。
 

[出典:(特活)日本国際ボランティアセンター(JVC)]

上記の時系列でまとめられた(図)に少々補う。
2017年6月には「自衛隊法116条が改正」され、自衛隊装備品の無償譲渡が可能になった。だが、まだこの段階では新しい防衛装備品を開発および、輸出することはこの法整備では可能になっていない。 

しかし2023年3月になると、ウクライナに自衛隊防弾チョッキ等移転が「防衛装備移転三原則」の運用指針改定に基づき、可能になっている。

2023年度には外務省が「同志国の安全保障能力強化支援」を打ち出し、武器の無償供与が可能になった。

[筆者撮影]

武器の無償供与は国際NGO職員の信頼を失い命の危機に

そして今井氏が問題視するのは、2023年5月には「開発協力大綱改定」がなされ、ODAで相手国軍や軍関係者への支援が拡大するのではないか?同時に今後、防衛装備移転三原則や運用指針の緩和、および自衛隊法の改正による(攻撃的兵器の解禁と対象国の拡大)の恐れがあるという予測だ。

 今井氏は「武器の無償供与とは、どういうことなのか?」重要な論点を3点挙げた。
中でも外務省が武器供与を無償譲渡し、非軍事原則を無かったことにすることで、「戦争しない国」という意味で世界からも「ふつうの国」では無かった日本は、従来憲法による平和主義=非軍事原則と見做され、それに基づき国際協力の現場で働く日本のNGO団体が信頼を勝ち得て「身の安全」を生んでいることを今井氏は国際協力の現場の皮膚感覚で感じてきた。その今井氏がアフガニスタンを一例に挙げ「日本のNGOは欧米と違って軍事注入していないから欧米のNGOがタリバンから襲撃されたりすることが頻繁にあっても、日本人は違う」との認識から、身の安全がそこで保証されてきたからだ」と強調した上で、
「この「信頼」を失うことが「国益」になるのか?」と問題提起した。

主催者に招致された「東京新聞」の望月衣塑子 記者は日本の武器輸出と外務省の多国間支援を長年に渡り取材。「非ODAの他国軍支援」と題して防衛産業の現場取材から報告を行なった。

[筆者撮影]

 第一次安倍政権で武器輸出が解禁された。「非核三原則」から「防衛装備移転三原則」へと乗り換えた。当初は「攻撃殺傷能力」のある兵器開発は「防衛装備移転三原則」が歯止めになりできなかった、しかし航空自衛隊の「F2」戦闘機後継につき、日本政府は「次期戦闘機」を日本、英国、イタリアの3カ国で共同開発する方針を固めた。2022年12月17日に閣議決定された『安保関連3文書』の改定に伴う条件付き武器輸出を認める上に「防衛装備移転三原則」の運用指針も見直す。「次期戦闘機」は「F2」の退役が見込まれる2035年頃までの配備を目指すとしている。政府は海外に日本製の武器を売った上に共同開発を始めることができるようになったのだ。

 防衛省は2020年に開発を担う中核企業として「ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)世界軍事関連生産品の売上」世界32位日本の「三菱重工業」を選んだ。「次期戦闘機」には世界6位の英国「BAEシステム」(同SIPRI統計)が開発主体企業だ。そして同社を技術支援する企業に1位不動の米国「ロッキード・マーチン社」(同SIPRI統計)を選んだ。
 同ランキングでは日本では一流企業であっても世界では「三菱重工業」は32位の位置付けだ。これには欧米諸国の「軍産複合体(コングロマリット)」へ圧倒的な額を誇る8〜9割が軍事投資という苛烈な軍事産業のせめぎ合いが背景にある。
 エンジンに関しては世界82位日本の「IHI」(同SIPRI統計)、世界22位英国「ローリス・ロイス」(同SIPRI統計)世界13位イタリア「レオナルド」(同SIPRI統計)も参画している。
日本が東南アジア(ASEAN)など売りつけたい諸国でも「次期戦闘機」のほか、「スタンド・オフ・ミサイル技術」なども開発すべきだと有識者会議で提言されてきた。岸田文雄政権が「兵器開発」のタガを徐々に外していき、「先端兵器」の開発や輸出を推し進める道へと猪突猛進していく近未来が危惧される。
 望月氏が取材した日本トップ3の川崎重工業、三菱重工業、IHIといった防衛産業の幹部によると、「正直なところ、安保関連3文書ができて安心したところがある。去年は27兆円だったが、43兆円まで売上が上がった」との本音が覗く。
2027年までの防衛費2%拡大が決まった。これにより従来は三菱重工業であれば、年間全体の売上の1割、2000億円ぐらいが防衛分野の売上になる。ほぼ9割方以上が潤っていた。世界不動のトップである米国「ロッキード・マーチン」社に比べれば自分たちはほとんど民事なんだと。人を殺すのではなく日本の旗印「専守防衛=『守り』」の技術を防衛産業はやってきた。その軍事費の割合が2~3割ではなく欧米に真似びて「殺傷兵器をいかに売り、いかに稼ぐか」無意識に軍産企業化シェアをより拡大させていく日本になるのではないか。
 
 日本はインドに対して海軍の「救難飛行艇」の輸出を繰り返し輸出しようとしてきた。最終的には「パッケージ」技術だけではなく軍事訓練や様々な装備品に関する諸々含めた「パッケージ輸出」はこれまで実現していない。
 インドネシアに対しても護衛艦も共同開発を水面下で検討したがやはり実現には至っていない。
 防衛産業の幹部によれば「日本は戦争しない国だ。そしていかに良い戦闘車両だと言っても、イスラエルのように実戦でどれだけ人が使えるかどうかというのも示されていないし、日本は言うほどに軍事面で期待されていない。だから何年かして輸出が解禁されてもそんな実績につながる結果にはならないと思う」という。
 だが、2022年10月に、浜田靖一防衛相が「フィリピン向けに輸出する自衛隊の警戒管制レーダ一1基の製造を完了した」と発表した。11月には固定式レーダー3基と移動式レーダー一基(4基で計140億円)を輸出した。
 国産の完成装備品を海外へ輸出するのは「防衛装備移転三原則」を策定後、初めて。前述の「パッケージ輸出」を可能にした形だ。
 軍事ではない日本の「日本の開発協力(ODA)」の現場で活動されている日本の国際NGO団体らが支援してきた日本の戦争しない、戦闘機出さない、戦争に手を貸さないという。その枠組みを大きく取り払われることで、NGOの『JVC』や『Peace Boat』の方達自身がその各地との板挟みになっている。下手すると紛争に巻き込まれてしまい得るのではないか」と望月氏は現状を憂う。

 外務省から見た「安保関連3文書」の武器供与を可能にした焦点となってくる「非ODAの他国軍支援の新設」とは、何か?
装備品・物資の提供やインフラの整備等を行う。軍事目的でもそれを使用可能にする枠組みを作る。現状では20億円程度。前述のレーダーだけでも140億円なので、これを装備庁の幹部にぶつけると「いきなり20億円程度であると言われれば、東南アジア(ASEAN)などに大型の戦闘機など大口の開発輸出はその額ではできないだろう」と冷静に見る。「軍港建設、軍事的病院の建設であれば、そんなに投資のかからない数億円程度の「武器移転」であれば、非ODAという「無償譲渡」という形で行うことはあり得る」とその潜在可能性を述べた。
 望月氏が取材した外務省の「国際平和協力室」によれば、「軍用病院の補修、建設、レーダ、巡視艇の供与などへのニーズがあっても、軍事利用の可能性があると、既存のODAでは実施できなかった。それは軍民共用の飛行場や港の補修なども含めて不可能だったのだ」(談)。
 
 上記が連動する「安保関連3文書」の「国家安全保障戦略」のⅥ-2(1)-キで示された前出の定義を簡単に振り返る。
 「『同志国』との安全保障上の協力を深化させるため、開発途上国へのODAとは別に同志国の安全保障上の能力・抑止力の向上を目的として、同志国に対して、装備品・物資の提供やインフラの整備などを行う。軍などが裨益者となる新たな協力の枠組みを設ける。これは、総合的な防衛体制の強化のための取組みの一つである」
 
 自国の軍事力強化だけでなく「同志国」の軍事力強化を図る。
 民間の武器輸出とも異なる、政府による軍事支援(無償支援)
 2023年度予算案の外務省予算で「同志国の安全保障能力強化支援」として20億円計上。一例として、防弾車、沿岸警備レーダーなどに充填。

 望月氏の「『同志国』のニーズで認められたら、非ODAで出す予定はあるか?」との質疑に対し、「装備庁国際装備課」の担当者は「十分あり得るだろう。4月に予算の枠組みが国会に通れば、その後、どの国に何をいくら非ODAで用途とするか具体的に決めていく。」と述べ、さらに「安全保障上の懸念はないのか?」という質疑に対しては「武器がなくても有事は起こり得る。非ODAで同志国の装備を強化し、それによって国際社会の平和と安定に寄与すると考えている。外務省と防衛省はそれほど被るところはないだろう」と答えたという。

 望月氏は欧米の軍事企業幹部にも取材して「ようやく日本も軍備増強を始めたか。遅いくらいだ。これまで軍港だと資金が出せない、様々な制限がかけられてきた。こういうものが無くなるということで管轄としては外務省じゃなく、海上保安庁と連携することで、海外の東南アジア諸国(ASEAN)のインフラに多用されて、いずれは安全保障にも資することになるのではないか。」
「各国は既に武器輸出政策に大きく舵を切っている。ポーランドの要望にも応えて戦車数百両を輸出することも決めている。日本はまだまだこれからだ」(談)。

 「安保関連3文書」の議論を受けて2022年11月先行して「防衛装備移転三原則」の運用指針を見直し、条件を緩和する案を自公両党に示す同盟国や同志国への装備移転を見直す必要との認識がある。「防衛力強化を話し合う有識者会議」装備庁が各省庁と連携して練ってきた。
 政府は現状の運用指針や輸出装備品を「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の5類型に限定した武器輸送を行うとしていた。今後は地雷処理、教育訓練、さらに付け加えたような幾つかの原則を変えた。より輸出のしやすいように「防衛政策大綱」を持っていこうというのが防衛省の狙いではないか。

「防衛力強化支援法」が閣議決定した。1条から28条を見ると、全体として「防衛力強化支援法」によって、
防衛産業を4条から7条「基盤強化措置」を行なって強くしていく。また「装備移転円滑化措置」防衛装備を造る企業に防衛省が積極的に融資支援していく。
 26条の資金の貸付け(日本政策金融公庫などから)防衛力等々を強化していく。
 最大の問題は29条から33条を根拠に、もしこの措置を講じてもなお、手段がなく、企業自身がうまくは回らない。赤字経常で廃業せざるを得ないという流れになった場合は国自身が金融制度を保有し、国有化を図る。国内に防衛戦争ができる企業を数多輩出していく。完全に資本主義の原則からは反している。経済史を見ても、国有化しないと倒産してしまうような企業を国が救済してきたことはない。JALや原発関係の経営については若干、あったかもしれないが、今後法律によって国有化を保証するという手段を使ってまで、防衛力を強化させることに使おうとしている。

 前出の今井氏は院内集会の後半で、外務省国際平和協力局との意見交換を行なった。
「非軍事原則」との関係性で、この新しい枠組みがODAとは異なるものだという。つまり、「非軍事原則」は該当しない。そもそも「非軍事原則」というのは、そういった狭義の意味でODAというものだけに限定して解釈されてきたものではないと思う」。これまで武器の援助は「無償供与する」と防衛省が言って検討してきた当時、外務省は「軍事目的の用途は禁止している」と明言していた。過去今までは「非軍事原則」というものが「軍事目的」では支援しないとの論理をNGOの立場で、理解していた。この辺り外務省としてはいかがか?」

[筆者撮影]

今までのODAの『非軍事原則』の議論は一体何だったのか?

 外務省側は「『ODA大綱』でもODAをどのように使うか、ということについての原則『武器用途への支援回避』こそが日本の国際協力全てに当てはまる原則と考えている。」と応じた、
 だが今井氏は「違和感」を感じるという。「市民社会やNGOが日本の国際協力・開発協力は『非軍事』でやるべきだ、と外務省さんとも市民社会とも20年に渡り『非軍事原則を守る』ということで議論を重ねてきた。もし、『軍事的用途』のものが、そもそもODAではなく、別の枠組みで『軍事的用途』というのはいつでもできると言うなら、何のために『非軍事』をここまで議論してきたのか?そもそもODAは『非軍事』のもとにODAを掲げてきた。今までのODAの『非軍事原則』は一体何のためにあるのか?」と虚無感を噛み締めるように舌鋒鋭く斬り込んだ。

 外務省側は「外務省設置法」が根拠として示されている。第3条に「外務省の任務」について規定されその同条一項に「外務省は平和で安全な国際社会の維持に寄与すると共に、主体的かつ積極的な取り組みをする。良好な国際環境の整理を図る並びに調和ある国際環境を維持、発展しつつ国際社会における日本国及び日本人の利益の増進を図る」ものとされている。
 その上で同法第4条に外務省は前条第1項の任務を達成するという理念は1項の(イ)〜(ニ)でもその他の事項に関する外交政策に関することとして規定されている。

辻元清美「劇場」独壇場の外務省駆け引き

 
 立憲民主党の辻元清美 参議院議員は外務省の事務方に対し、「政府の安保関連3文書を受けて、外務省のどの部署で議論したのか?従来のODAの枠組み『開発協力大綱』との関係性の問題を何局のどこで誰が議論したのか?」と口火を切った。
「外務省設置法」第3条に言及したが、「設置法」というのは「仕事」を書いたものなんです。例えば、財務省は税を徴収できると書いてある。その税と中身をどうするかは全く別の税制という法律で定めないとダメなんです。ですから新しい部署や仕事を作れるからと言って、この「設置法」はこの中身の根拠法や根拠がないとダメなものなんです。」
 「従来の『非軍事』の枠組みであったものを「外す」ということの根拠とどこで誰が議論して決めたのか?この議論の中身の議事録を出してください。この場で外務省に請求します」と辻元氏は外務省側に情報公開を迫った。

[筆者撮影]

2月24日参議院予算委員会で総理に「情報請求」質す

これに対し、外務省側は「設置法との関係性でいうと仰る通り税制に関する法律にはあるが、税制法定主義に基づいている法体系になっている。これに比して外務省は、例えばODAについてもODA法というものはない。『外務省設置法』に基づく予算を請求するなど全ての外務省施策がすべからく法律があるというわけではない」と回答した。

 辻元氏は「ただ、ODA大綱がありますよね?大綱を作ってその下でやってきたと。今まで貫いてきた非常に大きな原則を外す、ということですよね?安保関連3文書の問題は一個新たに仕事を作りました、というそんなレベルの話ではない。国家の有り様が大きく変わるレベルの歴史的大転換だ。そんな大事なことをやはり国民に公開すべきだ。来週の予算委員会で質問するので、今週の金曜日までにどういうメンバーで会議が何回行われたか、という議事録含め全部の資料として出してもらえませんか?」と繰り返し強調した。

 外務省側が「今週中に全ての資料を出さなければならないのですか?」と安易に返すと、
 辻元氏は「当たり前じゃないですか?今の発言は非常に問題ですよ」と咎めた。「それを決めた議事録はないんですか?公文書の法律を見てください。今、官僚のメモも全部提出しなければならないんですよ。それも全部今や対象になっている。外務省ではいろいろな部署で会議をしたということですが、これを決める〇〇〇会議や、よくワーキングとかプロジェクトを作りますよね?一例として、原子力の問題で方針を変えようとすれば、長々と省内で議論を聞いておられるはずだ。黒塗りであったとしても、しっかり文書提出を求めたら出てくる。伺ったところで最終的に担当したのだと外務省さんが言うのならば、そこで決めるに至った議事録他、先程申し上げた関連全文書を今週中に提出してほしい」透明性のある行政府と立法府の常識を以てして辻元氏は質疑攻勢をかけた。
 外務省側はたじろぎ、「それは現実的ではない」と答えたが、辻元氏は止まるところを知らず、「その現実的ではないというのはどういうことなのか?」とさらに詰め寄った。外務省側が「外務省としても『今日、明日で提出して下さい』という約束はできないことになっている」。と応じた。辻元氏は「そうすると、いつまでに出せるのか?検討結果を今週中に教えて下さい。いずれにしても予算委員会で資料を求めます」と猛攻を続け、「『今週中に外務省は一切資料を出せない』と岸田総理に聞くのか?『外務省はここまでに資料を用意すると言っているけれどもどうなのか?』と総理に聞くのか?これに関わってくるので、行政府が立法府に対して資料提出するのは外務省の義務ですから」と独壇場で外務省との駆け引きを制した。 

tomokihidachi

2003年、日芸文芸学科卒業。マガジンハウス「ダ・カーポ」編集部フリー契約ライター。編プロで書籍の編集職にも関わり、Devex.Japan、「国際開発ジャーナル」で記事を発表。本に関するWEBニュースサイト「ビーカイブ」から本格的にジャーナリズムの実績を積む。この他、TBS報道局CGルーム提携企業や(株)共同テレビジョン映像取材部に勤務した。個人で新潟中越大震災取材や3.11の2週間後にボランティアとして福島に現地入り。現在は市民ライター(種々雑多な副業と兼業)として執筆しながら21年目の闘病中。(株)「ログミー」編集部やクラウドソーシング系のフリー単発案件、NPO地域精神保健機構COMHBOで「コンボライター」の実績もある。(財)日本国際問題研究所「軍縮・科学技術センター」令和元年「軍縮・不拡散」合宿講座認定証取得。目下プログラミングの研修を控え体調調整しながら多くの案件にアプライ中。時代を鋭く抉る社会派作家志望!無数の不採用通知に負けず職業を選ばず様々な仕事をこなしながら書き続け、35年かけプロの作家になったノリーンエアズを敬愛。

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