『セレブリティー・ディプロマシー(セレブによる外交)』が楔を打ち込む ウクライナ戦争プロパガンダ

  by tomokihidachi  Tags :  

[出典:「Vogue」表紙]

 世界的女性ファッション雑誌「VOGUE」がウクライナのウォロディミフ・ゼレンスキー大統領のファーストレディー、オレナ・ゼレンスカ氏の肖像を取り上げた。
写真家のレジェンド、アニー・レイボヴィッツ氏による撮り下ろしで、「ウクライナの秘密兵器」と呼称し「VOGUE」外交を展開することで、侵略したロシア側の流すプロパガンダに楔を打つものとみられている。
「VOGUE」外交とは、いわゆる「セレブリティー・ディプロマシー」の一環だ。
ウクライナの大統領夫妻の写真は即興の「アイコン」になり得る。そして「ソーシャルメディア」上でウイルスの猛威を振るわせることができると判明している。「VOGUE」の凄腕カメラマンが捕らえた「ゼレンスカの容姿」もまた、逆説的に今のウクライナ戦況に火花を散らすものとして写っている、と言えよう。
ウクライナの国民全体が生き延びるために闘い続けてきている。その中で幾人かの批評家がまるで耳の聞こえないような調子で商用化でもするのかと疑念を抱くようなブランド化に手を貸していた。
 ゼレンスカ氏は「グローバル・メディア・ブランドが賢明な判断で撮り下ろしてくれた、この自身の肖像写真に注意を惹きつけたい。私はウクライナの強さと国家としての反ロシア情報戦に、よりよく重要なものとしてロシアに打ち込むだけの能力ある郷土をさらに強くしたいのです」と語る。「グローバルな世論はロシア・ウクライナ戦争において最も重要な局面の一つ。ロシアの侵攻が始まって6ヶ月以上も経てば、自然と世界のメディアの関心も薄れ減少する傾向にあります」とゼレンスカ氏は語る。
ゼレンスカ氏は著名雑誌に取り上げられるほどの美貌の持ち主ではある。だがそれ以上にウクライナのファーストレディーとして、同誌のインタビューにロシアがどれほど恐怖の侵略を行なってきたか全くもって語るに落ちない人道的惨禍を関係づけた効果的な応じ方で話している。
決して好意的な宣伝や有名で好まれるためではなく、妻として母として彼女の夫がショウビズの世界にいた頃ずっと裏方に徹し続けた。ゼレンスカ氏は今、数少ない政治家だけが相対せるだけの本物の地位をむしろ楽しんでいる。
このことは彼女のメッセージをより伝統的政治的メッセージに関与しがちではなかった聴衆にまで届くものになるだろう。彼女は今やウクライナの話を他の外部世界と共有することに関して信じられる十分な有益性を保有しているのだから。ウクライナはこの戦争で真実を語っているという点で価値のつけられないほど圧倒的な利点を持っている。
[出典:「Atlantic Council.org」”Vogue diplomacy: First Lady Olena Zelenska is Ukraine’s secret weapon”(2022年7月28日)]

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「『セレブリティー・ディプロマシー(セレブによる外交)』が楔を打ち込む ウクライナ戦争プロパガンダ」

リード)
【1】ハリウッドやファッション業界からも差し伸べらる「ウクライナ戦争」被害者支援
【2】移行期にある「セレブ外交」目覚めゆく政治的意識と国連組織内部での広範な活動
【3】MISIAが歌った ベトナム戦争反戦歌「花はどこへいった」へ込めた「平和」へのメッセージ
【4】映画監督オリバー・ストーン氏「本来ならロシアは人類の中でも『大いなる友になれる』
【5】プーチンが撒き散らす「虚偽の物語」や「フェイクニュース」
【6】クリミア占領時代から「常套手段」とするロシアの「ソフト・プロパガンダ・メカニズム」
【7】「オンライン」の情報そのものが兵器になる新たなプロパガンダ時代の象徴「ウクライナ危機」
【8】「ウクライナ戦争」のプロパガンダに楔を打ち込む「セレブ外交」の政治力学
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【1】ハリウッドやファッション業界からも差し伸べらる「ウクライナ戦争」被害者支援

[出典:「The Washington Post」「Angelina Jolie makes surprise trip to Ukraine to visit children, refugees」(2022年4月30日)]
2022年4月、ハリウッド女優で国連人道支援家のアンジェリーナ・ジョリー氏はウクライナの都市リヴィウの知事をサプライズ訪問した。ジョリー氏は2011年から「国連難民特命全権大使」に就任している。クラマトルスク鉄道の駅が空爆され負傷者の治療が緊急に行われている中、子供を含む国内避難民(IDPs)にジョリー氏は話しかけていた。
 ウクライナ東部の都市への攻撃はロシアの攻撃が今にも起こりそうな事態から逃げ出そうとしていた女性や子供を故意に標的にしたものだ。犠牲者は少なくとも52人。負傷者は24人以上いた。
 ジョリー氏がウクライナ人の一人の少女と個人的に話して聞いた「私には夢があるの」という言葉に「非常に心を動かされた」という。
取材したジャーナリストのマクシム・コジツキー(Maksym Kozytskiy)によると、ジョリー氏はまた板張りの学校を訪ね、さらにリヴィウの中心街にある鉄道の駅に到着していた避難民にも会った。新たな到着者で医療的支援とカウンセリングに必要な人材や物資と共にきたウクライナ人のボランティアと同じくらい環境がよかった。
 コジツキー記者によると、「アンジェリーナ・ジョリー氏の訪問はサプライズで、完全にウクライナにいたその場の人々は驚きを持って感銘を持って迎えていた。そんな大女優が戦地に赴くとは誰も考えていなかった。信じがたい行動力だった」と綴っている。

[出典:Twitter「E! News」投稿(2022年2月28日)]
歌手で女優のレディー・ガガは、これまでにもオーダーメイドした生肉のドレスを身に纏い、性的マイノリティーの抗議運動に参加するなど社会問題に高い意識を持って行動してきたセレブである。
『ハウス・オブ・グッチ』(公開中)でパトリツィア・レッジアーニを演じ、同賞の主演女優賞にノミネートされたレディー・ガガは、アルマーニ・プリヴェの白いドレスに、ティファニーのダイヤモンド・ネックレスが胸元に輝く装いで登場。レッドカーペットで行われた「E!」のインタビューでは、

「ここで皆が集まってお互いに祝い合うことができるなんて素晴らしいことですね。世界ではいろいろなことが起きていて、ウクライナのことを想うと心が痛みます。今夜私たちは、この場にいられることを、感謝するべきだと思います」と語った。また、自身の公式Instagramでも、この日の衣装を着た自身の写真と共に、「私の真の願いは、2時間の間、私と授賞式に出席した俳優仲間たちが、大衆を笑顔にすることでした。この場にいられたことを誇りに思い、そしてエンターテイナーであることを光栄に思います。様々な理由で、世界は私たちを常に笑顔にしてくれるわけではありません。今夜、ウクライナのために祈り、そしてその顔にすぐに笑顔が戻るよう、笑顔を送ります」と投稿した。

「勇気づけられた」「ガガ、いつも寄り添ってくれてありがとう」といったコメントが寄せられている。

 トップモデルのジジ・ハディットは「友人でモデルのミカ・アルガナラズと同じように2022-23年秋冬コレクションのショーの出演料をウクライナでの戦争で被害を受けた人たちのために寄付すること、またパレスチナで同じ経験をしている人たちを引き続き支援することを約束します」。ジジの父はパレスチナ出身。ジジも妹のベラ・ハディットも、イスラエルとの紛争で住むところを失った人たちをサポートしてきた。

ジジは「すべての人間の不平等に対して私たちは目と心を開いていなくてはなりません。政治、人種、宗教を超えてお互いを兄弟姉妹として見ることができますように」とも。最後に「結局のところ、戦争の代償となるのは罪のない人々の命。指導者ではない」「ウクライナに手を出さないで。パレスチナに手を出さないで。平和。平和。平和」と綴っている。

[出典:「ELLE」「モデルのジジ・ハディッド、ファッションウィークの出演料をウクライナの難民支援に全額寄付」(2022年3月8日)]

ここに「セレブリティー・ポリティクス」の史実の軌跡がある。

【2】移行期にある「セレブ外交」目覚めゆく政治的意識と国連組織内部での広範な活動

 政治化されたセレブら(politicized celebrities: CP2)は劇的な介入を国際運動や外交の分野で及ぼしてきた。
近年セレブの慈善家はーーーボブ・ジェドフ氏、ボノ、アンジェリーナ・ジョリー、ジョージ・クルーニー、ビル・ゲイツ、ジェフリー・サッチズ、レディー・ガガなどコンサートやテレビでオンエアするコンサートによって、ファンドレイザーとしても、公的な運動を巻き起こしている。一例を挙げれば、「ライブ・AID(エイズ撲滅運動コンサート)」など。
 今や政府は文化的な外交官として、セレブを雇い、国連は親善大使を長期の立場にある伝統をもたらしている。
片や、「非政府組織(NGO)」や「赤十字社」、「オックスファム」、「セーブ・ザ・チルドレン」などの従来の役割がセレブに代表されるものにとって変わりつつある。

 良き国際市民としてのセレブは、特にその関係性や原因と人々を惹きつけるだけの魔力のような力を持っている。
各国政府や「UNICEF(国連児童基金)」などの国連機関が初の国連親善大使として、世界的なコメディアンのダニー・ケイ氏に打診した。
 当時、新種のスターとして親善大使になった1965 年の1日目にして、UNICEFはノーベル平和賞を授与した。
 女優オードリー・ヘップバーンは国連の親善大使ではなかったが、エチオピアやソマリアを訪れていた。個人的に安全かどうかにはほとんど恐怖を持たずして。そしてアフリカの指導者に面会し米国の上院議員に働きかけるよう要請した。ヘップバーン氏は人道上に対する彼女の名声を使い、両者の側に立つことを拒否してきた。アフリカで最悪の暴力と言われる広範にわたる貧困。ヘップバーン氏は、国連組織の構造を経て表現された、スターの力のモデルを生み出した。それは他のセレブたちになし得たーーそして全くもって莫大な数のーー彼らに追従しようと試みるものだった。それだけがこのモデルの惹きつけられるセレブとして彼らが熱狂したグローバルな動向だった。
 
 スリランカを最初に訪問した結果、より独立した姿勢でウルマン氏はカンボジアの難民や、ベトナムの「ボート・ピープル」問題を代表する任に就くことになった。
 欧州の映画女優として自らのステータスを用いて、彼女は前任者以上に、大いなる政治的意識をデモンストレーションした。米国の下院・上院議会の公聴会でもUNICEF代表特使として訴えた。
 効果的に彼女が親善大使としての役割を再認したのは貧困に対する明白な立場をとり続けていくことである。当時、「我々はもっと激怒しなければならない。これ以上待つ必要性はない。解決策についてすぐに議論を始めるべきなのだ。この行動は即座に実行に移されなければならない」

 「国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)」と「世界保健機関(WHO)」とはセレブたちに「自分たちも政治的な問題に関与すべきだと感じさせられるようにしていかなければならない」と予てから思い至ってきた。
 UNICEFとマーロン・ブランド(映画「ゴッドファーザー」主演俳優)の関係性は、セレブの活動の政治的関わりの移行期として、ブランドの着実に前進する実績の軌跡を辿ることができる。
 1966年インドの飢饉によって悪影響を受けた子供達にファンドレイジングを行ったブランド氏はこの能力を持ってより激しい論争を巻き起こし、司法の国際的なコンセプトに約束を掲げてきた。
 また、1978年にはUNICEFはスウェーデンの女優リヴ・ウルマン氏に親善大使の役を打診した。ウルマン氏は以前からタイを訪れていて、難民との取り組みをスウェーデンの使命に比重を置くことを付け加えた。
 
 話を戻すと、複数の親善大使が国連の道徳に対する立場を批判してきた。より問題が顕在化したのは事例の一つとして、リチャード・ギア氏(映画「Hachi」主演俳優)が「世界の健康問題/エイズ」と環境保護問題の国連代表特使に就任していた時のことだ。追放されたチベットの指導者ダライ・ラマ氏の信者として、彼は国連との紛争の渦中にいた。国連はチベットの状況を認識していなかったのだ。1990年代遅くに、ギア氏はチベットのための国際運動議長として高位な経歴を持ってニューヨークにある国連本部を訪れた。チベット人のハンガーストライキと米国後援を得てUNHRCに解決策を示し、中国の人権記録を批判してきた。
 しかし何の行動も示さないという投票がなされた時、ギア氏は中国人による恥知らずな操作を糾弾した。より近年ではギアはまた、2008年北京オリンピックのボイコットを呼びかける運動を支持してきた。
 
 このように国連の配置した、より政治的な関与というものは、任命を受けて現場を視察して回ってきたセレブたちならば、とっくにその問題性に気づいている。このセレブ外交の移行期の時代では、スターたちは彼らが非正義を暴くために名声を使うべきだと感じてきた。しかしながらこの「セレブによる外交官」の配置は困難に直面するものだ。なぜなら政治家されたスターたちは国連との関係性で好ましくない結果を生むからである。
もう一つの事例として※ミア・ファロウ氏のように人権も保護できない無能な国連だと、UNICEFの親善大使として、ダルフールを訪れた時に、痛烈に批判していた。さらに言えば、ポジティブであれ、ネガティブであれ「セレブ外交」は、言外の意味で高揚していく親善大使の数や平和へのメッセンジャーの創造が激増してきたのだと言える。
[出典:原作ペーパーバック「CELEBRITY POLITICS」MARK WHEELER著・版元「Polity」]

【3】MISIAが歌った ベトナム戦争反戦歌「花はどこへいった」へ込めた「平和」へのメッセージ

 「国連気候変動枠組条約締約国会議」・「アフリカ開発会議」(COP10/TICAD Ⅴ/TICAD 7)親善・名誉大使を歴任してきたMISIA(日本人歌手)がウクライナ侵攻を受けて「NHK」のインタビューに応じた。

━今回のツアー中、アンコールで「花はどこへ行った」という曲を歌われてるわけですけれども、これなぜこの歌をアンコールで歌おうと思われたんですか?
「私たちは皆さんが音楽で元気になってほしい。そして幸せになってほしいという願いを込めて音楽をやってるわけなんですけれども、人の幸せのためにはやはり平和が根底にないとそれは実現できないって思うんですね。なので、私たちがやはり平和を願うというのは理由はないというか、もう当たり前のことだと私は思うんですけれども、その平和を願い歌いたいって思った時にどんな歌がいいかって最初に浮かんできたのが、「花はどこへ行った」という歌だったんです。 「花はどこへいった」は、今から70年前に作って、そして1960年代のベトナム戦争の時に反戦歌として歌われています。元々は3番までしかなかったんですけれども、4番と5番が付け加えられて1番の詞に戻るという、同じこと繰り返しているというメッセージになって今まで来ているんです。歌詞の内容も「ずっとこの争いの悲しみは続いています」という意味があって、いつになったら人はこの愚かさと悲しみに気付くのでしょうか、ということを語りかけている歌なんです。だからこの歌をまたこうして歌うとはとても悲しいことなんですけれども、やはり「同じことをやってるよ」、「私たちはいいかげんに気付かなきゃいけない」と、今伝えるべき歌じゃないかなと思って歌っています」。
「私は長崎県で生まれて、長崎県で平和教育というものを受けてきたんですけれども、子どもの頃からどうしてこの紛争はなくならないのかと、歴史を学んだり、資料館に行ったりしてきました。そこで伝えられていることは、紛争というのは、戦って勝った国でも負けた国でも大切な人をなくしてしまったっていう悲しみだけなんですよね。悲しみしか残ってないんですよね。私たちの心の深いところで気付いていかないといけないと思います。そのことをやっぱり歌詞に入れたいと思ったんです。」

━今回、MISIAさんがさらに歌詞を付け加えられ、「争いのあとに残されるものはいつの時代も悲しみだけ」という、なぜ今回つけて歌おうというふうに思われたんですか?
「1つはやはり私たちはみんなの幸せを願って、ミュージシャンは歌い、演奏していますので、それを願い、言葉にして歌にするということは当たり前のことだと思います。武力ではなくて話し合いで解決してほしいと願っている私たちが、言葉を信じないでどうするのかと思うんですよね。言葉に発して、歌にして思いを共有して、お互いが思ってること、考えてること、知恵を出し合って、今どうやったらこの状況を乗り越えていけるのかっていうことを言葉にしていこうよって。武力ではないこと、話し合いで解決を求めていくことを願っているからこそ、言葉にして、歌にして、そして歌は祈りですから、平和を祈って私は歌っています。」
「多分平和は、ここにこうあるものではなくて、育てていくものだと思うんですよね。花のように。摘み取ってしまったら枯れてしまうから、そこにずっと咲き続けてくれるように、育てていかなければいけないと思いますね。だから常に情報を更新して、自分はこっちを選んだ方がいいんじゃないかってことをみんなで学びあって選択するってことが必要なんじゃないでしょうか」。

━「花はどこへいった」という曲に詞が書き加えられることが、世界のどこかで戦争が続いていて、悲しみでもあるということだと思いますが、一方で、今後、世界が変わっていく曲でもあるということなのでしょうか?
「一番いいのは、私はこの歌が「花はもう摘み取られなくなりました。花畑の上で恋人たちは笑い合うのです」っていう歌詞がいつか書き加えられるっていうのが一番、この歌の辿りつくべき場所だと思います」。

◎MISIA(ミーシャ・歌手)
1998年デビュー。数多くのヒット曲を持つ国民的歌手。社会貢献活動にも積極的で、その功績から国際会議の大使なども歴任(COP10 / TICAD Ⅴ / TICAD 7 )。自らも主体となって「一般財団法人mudef」を設立
[出典:「咲き続けてほしい 平和の花」 ~ウクライナ侵攻下 MISIAが歌う祈り「NHK News Watch 9」(2022年5月9日)]
【英語】花はどこへ行った (Where have all the flowers gone?) (日本語字幕)©️「YouTube」

 パンクな世界的ファッションデザイナーとして知られる英国の「ヴィヴィアン・ウエストウッド」氏。英国のデイヴィッド・キャメロン首相時代にも「シェールガス掘削」を推進するための「水圧破砕法」反対で白い砲弾付きの戦車に飛び乗り、首相官邸まで抗議に駆けつけるド派手な社会運動のパフォーマンスを見せて、英国民のみならず世界中の「ヴィヴィアン・ウェストウッド」ブランド愛好者の度肝を抜いた。

また2021年10月31日にはCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)の開催に向けた動画にヴィヴィアン・ウエストウッド氏が登場し、人々に気候変動問題へのアクションを促すと共に、そこで行われたキャンペーン「Letters to the Earth」のフィルムシリーズでロンドンの劇場シェイクスピアズ・グローブのステージに立ち手紙を朗読している。

「経済という言葉は“家計を取り仕切ること”という意味です。地球は私たちの家です。ですから地球規模で考えれば経済とはサステナビリティを意味します」と語りかけるヴィヴィアン。

「私たちにサステナビリティはありません。未来がありません。私たちの財政制度は果てしない戦争、貿易戦争、競争の上に成り立っています。これらが気候変動を引き起こしています。戦争とは領土と安い労働力を手に入れるための争いです。本当の経済は土地の価値に基づくものです。土地は誰のものでもありません。私たちは土地の管理者なのです。土地の使用料を1回、公庫に支払う。未開発の巨額の収益です。税金はかけません。他のすべての経済活動は個人対個人で行います。競争ではなく協力。私は問題と解決策を分析し世界を救う効果的な計画を考えました。Climate Revolutionという私のチームは、野生動物たちに回廊を確保することを目指す再野生化(リワイルディング)という方法で土地に基づいた経済を行うことを呼びかけます。私たちは政府の協力を求めます。私たちの魂を守りましょう」

と呼びかけた。

 そうした環境活動家としての一面もあるウエストウッド氏の、前述したような大掛かりな運動は今のところしていないようだが、今回のウクライナ戦争でも、「Twitter」や「Instagram」などで“#UkraineAppeal”とハッシュタグをつけて停戦を呼びかけている。

[出典:「The Independent」”Vivienne Westwood drives tank to David Cameron’s house in anti-fracking protest”(2015年9月11日)/「EllE」「『パンクな活動家』ヴィヴィアン・ウエストウッドが、環境破壊から世界を救う計画を発信!」(2021年11月3日)]

「ウクライナにおける、このような壊滅的な状況に答えるものとして「災害緊急委員会(DEC)」は、ただDECウクライナ人道支援アピールを打ち出すだけではなく、私たちは寄付金で支援していきます。そのDECは15から成るイギリスの人道援助慈善活動を牽引していく。その時、共に来らん非常に大いなる需要が見出せるでしょう。ファンドレイジングには次に挙げる諸団体を含みます。(特活)「アクション・アゲインスト・ハンガー(仏)」、(特活)「アクション・エイド英国」、(特活)「エイジ・インターナショナル」、「英国赤十字社」、「CAFOD(海外開発のためのカトリック庁)」、(特活)「ケア・インターナショナル英国」、(特活)「クリスチャン・エイド」、(特活)「コンサーン・ワールド・ワイド英国」、「国際救済委員会(IRC)英国」、(特活)「イスラミック・レリーフ・ワールドワイド」、(特活)「オックスファム」、(特活)「プラン・英国」、(特活)「セーブ・ザ・チルドレン英国」、(特活)「ティア・ファンド」と(特活)「ワールド・ヴィジョン・英国」。これらは食糧や水や医療支援、保護、トラウマケアを求めて逃げ出している全ての人々に即座に必要性に合った働きかけをしている。どうか助けてください。人の命に直結することを経て今日に寄付をしてください。」

[出典:「Instagram」viviennewestwoodjapan #UkraineAppeal]

【4】映画監督オリバー・ストーン氏「本来ならロシアは人類の中でも『大いなる友になれる』」

[出典:「北海道新聞」(2022年6月2日)]
 映画監督のオリバー・ストーン氏は自身のFacebookに最近、次のように投稿している。
 米国がかつて侵攻した数多の戦争によく通じる判断力を持っていたとしても、それはロシアのウラジミール・プーチン大統領がウクライナを侵攻した戦争を正当化することにはならない。オリバー・ストーンはジョン・F・ケネディやニクソンなどを批判的にみた長編映画を撮っている。そしてその媒体とは映画「ナチュラル・ボーン・キラーズ」や「プラトーン」で米国の海外諸国における「内政干渉」を描き出している。ストーン氏はまた、一連のドキュメンタリー制作で、ロシアのプーチン氏やキューバのフィデル・カストロ大統領、ブラジルのルラ・ダ・シルヴァ元大統領のような世界の動きと逆行した首脳たちを特徴づけている。
 ロシアはウクライナ侵攻で多すぎる間違いを犯している。

1)ウクライナの強靭さを甘く見ていた
2)その客観性を成し遂げるだけのロシア軍の能力を過剰評価していた
3)欧州の反応、特にドイツがその軍事的貢献をNATOにするくらい力が高まっている。スイスでさえその口実に加入していた。ロシアは西洋に比べより孤立化していくだろう。
4)強化されたNATOの権力を見くびっていた。そしてそれは今もロシアの国境線上で圧力をかけ続けている。
5)おそらくウクライナはNATOに加入する。
6)ロシアの自国の経済に打撃となった損害と確実にロシア国内の抵抗勢力を生んだことを過小評価していた。
7)オリガルヒ(富裕層)階級の権力の主要な再建を作り出す。
8)クラスター爆弾に役割を持たせる
9)世界中のソーシャルメディアの力を過小評価していた。

 今やプーチン氏は米国による罠にはまった。そして西洋が描く最悪の結末に対して力をつけるというロシア軍に約束してきたことの餌を撒かれて誘き寄せられたことをプーチン氏自身が認めている。
そこには何の立ち戻る道もないように思えるかもしれない。その唯一の幸せとは、ロシアの愛国主義者と、ロシアを忌み嫌う者たちの大群が、最終的に、彼らが何年間も夢見てきたものを得ることになるーすなわち、米国のジョー・バイデン大統領やペンタゴン(米国国防総省)、C I A(米国中央情報局)、EU(欧州連合)、NATO(北大西洋条約機構)そして主流マスメディアといった既得権益が、ワシントンD.C.の※ヌーランドと彼女の悪意あるネオコン(超軍産複合体)ギャングを見落とすことはしない、ということだ。
 このことは「ウーバー(ギグワーカー)」に代表される大衆のタカ派からの視点の主張における正当性を立証することを重要視することになるだろう。
 指摘されたのは彼らの政策の毒性についてだ。(ユーゴスラビア、イラク、アフガニスタン、リビヤ、シリア、NATOの肥大化、そして破棄された原子力条約とニュースなどからの検閲と見落としという極めて重大な事実が、次の不可能になり得る。
 指摘されてきた西洋の二重基準(ダブルスタンダード)には、(ウクライナの首都)キーウや、その大統領ゼレンスキー氏の悪い振る舞いも含む、としている。同様に我々が思い描く最悪の結末の再認識にまるで耳の聞こえないような状況に陥っている。

 我々にとって信頼や名誉を汚すことは容易いが、このウクライナ戦争で失ったものの方が非常に大きいと見做されているロシアの理解を取り戻すには、あと20数年はかかるだろう。
 だが、今に生きる人類の史実から訓戒としてきた1962年の10月に「キューバ危機」並みの危険が差し迫っている。当時、米国のジョン・F・ケネディ大統領や旧ソ連のニキータ・フルシチョフ共産党中央委員会第一書記(民族的にはウクライナ人)は、奈落の底から立ち戻り、冷戦下における米ソの2つの原子力政策で両者の面子をなんとしても立てなければならなかった。
 時間を今に戻そう。このウクライナ軍とロシア軍の戦況を解決するには、裏のルートを使った交渉術も必要かもしれない。数日、数週間…たったそれだけの経過で何が起きるか全く推測できない。妥協か、滅びか?
誰がそれを実現できるのか?実際には我々の中から歴史上の大物政治家に匹敵するような正しい指導者は輩出されるのか?
ストーン氏は現代のフランスの「エマニュエル・マクロン大統領」に希望を見出し、祈りを捧げる。
 オーストリア及びドイツ元外交官のクレメンス・フォン・メッテルンヒ氏、元フランス第一帝政ベネヴァント大公のシャルル=モーリス・ド・タレーラン=ペリゴール氏、米国の政治家のW・アヴェレル・ハリマン氏、元米国国務長官のジョージ・シュルツ氏、元米国大統領主席補佐官・国務長官(ロナルド・レーガン政権)、ロシアのミハイル・ゴルバチョフ元大統領など。彼らの後世に人類のトップに立てる指導者を我々にもたらすことができるのか否か。

 1991年にかつての冷戦が終焉を迎えた後、ロシアは苛立つ感情を抑えきれず、愚かしくも人道性と未来に反する恐ろしい犯罪に手を染めてきた。米露は真の平和とパートナーシップを結ぶことに失敗し、潜在的にはそこに中国も含まれてきた。なぜ米国は中国を支配下に置く野望以外に抱くことができないのか。我々の諸国は気候変動に対して最大の闘いを始める上で、自然と同盟に加入した。
 単一の技術的成就や巨大な規模の科学やロケット工学、重工業、そしてクリーンな原子炉があれば、本来ならロシアは人類の中でも「大いなる友」になれる。

[出典:「Oliver Stone Criticizes”Mr.Putin’s Aggression In Ukraine” After Previously Saying There Was ”No proof” Russia Intended To Invade」(2022年3月7日)]

 2016年のドキュメンタリー映画『ウクライナ・オン・ファイヤー』(Ukraine on Fire)はイゴール・ロパトノク監督がメガホンを取った。ウラジーミル・プーチンやヴィクトル・ヤヌコーヴィチなど2014年ウクライナ騒乱にまつわる人物に制作総指揮を務めたオリバー・ストーンが敢行したインタビューを売りとする作品。ストーン氏は自身でも「ザ・プーチン・インタビュー」のドキュメンタリー制作と「オリバー・ストーン・オン・プーチン」の書籍を刊行している。

[出典:オリバー・ストーン「Amazon.com」]

【5】プーチンが撒き散らす「虚偽の物語」や「フェイクニュース」

[出典:「Yahoo! news」「書評「すべてを疑え!フェイクニュース時代を生き抜く技術」 どうやって見分けるかを指南」(2019年7月2日)]
 2021年秋半ば、クレムリン(ロシア大統領府)は全ての情報源を使って「ウクライナをNATOの新領土として軍事再編するのか」というプロパガンダを撒き散らしてきた。
この点については特にロシア連邦共和国外務省広報官のマリア・ザカロハ氏も毎週開かれる記者会見の場で明白に述べてきた。
 ロシア政府の中でも極めて高位にある閣僚たちも含み、国防相のセルゲイ・ショイグ氏や外相のセルゲイ・ラブロフ氏、国際問題ロシア下院委員長アレクセイ・プシュコフ氏、ロシア連邦連邦上院議長のウァレンティーナ・マトヴィエンコ氏、アレクセイ・コサチェフ氏、ロシア連邦連邦院議員ビャチェスラフ・ニコノフ氏ほか、多くの高官たちもまた、記述していたのは「反ウクライナ・プロパガンダ物語」についてだ。ロシアの「国防省(MoD)」アフィリエイト系メディアは「NATOへのウクライナの軍事編入」に関する一連の刊行物と特別TV番組を制作してきた。そしてロシア国営電子メディアの支局は、ウクライナに関するプーチンの一連の「プロパガンダ声明」報道や専門家のコメントを垂れ流す。このプロパガンダキャンペーンは11月30日にはピークを迎えた。
「インベストメント・フォーラム」でプーチン大統領が参照した談話こそが、ロシアが支配下に置くドンバスのような「このようにほとんど認識されていない共和国」のことである。その指摘はモスクワがすぐにドンバスは独立するだろうと認識しているかもしれないという重要な意味合いがもたらされていた。それこそがウクライナ侵攻を仄めかしていた証だったのだ。

 2022年2月24日以降、プーチン氏のプロパガンダはますます過激化していった。戦争が一度でも勃発してしまったら、ロシアはウクライナの政治体制を特徴づけて「ネオ・ナチ」「犯罪者」などとウクライナを名指しで指弾し始めた。2014年から始まった「ユーロマイダン」で元ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィッチ大統領が国を追われる事態となり、ロシアが内政干渉してクリミア半島を占領し、2014年も以前の当時から、ずっとロシアは「(クーデターによる)軍事政府」だという言葉をウクライナ政府に対して使い始めた。対照的にウクライナの人々は「友愛なる同胞」だと併記した。
 すなわち、ウクライナの国内情勢をロシアとウクライナは共通の歴史と運命を共にする「同じ単一民族」だと宣言する物語を通じてロシアのプロパガンダで「政治的な『故意の誤情報』」を多岐に渡る形でウクライナの国家を直接的に操作するよう試みるようになった。ウクライナは核保有している。生物兵器を製造している。確実にドローンを使ったら異種民族が打撃を受ける。合成化学薬品を製造している。そんな「フェイク・ニュース」や「虚偽の物語」を毎日の生活の中でロシアが禁じている言葉をウクライナ人は話している。
 時の戦前と違う明白な点は、ロシアなる国家の階級が高位な役職にある人物がプーチン氏も含み、ずっとより「虚偽の物語」や「フェイク・ニュース」を広めることに躍起になっていることだ。

 加えて、ロシア当局は開かれた超帝国時代の物語によりしばしば集う若者たちの2022年、聖ペテルブルグ「国際経済フォーラム」の場でプーチン氏はロシア帝政のピョートル大帝の時代以来、ロシアの外交政策の基本方針は基本的に変わっていないとして、ロシア領土の「起源性」を取り戻し、力を与えると呼びかけた。国連教育科学文化機関(UNESCO)のアレクサンドル・クズネツォフ ロシア連邦政府代表部大使が強調した。
 クツネツォフ氏に従ってついてきた市民に対して、歴史上何回もロシア人は起源であるロシアの国土の元に集い、その保護のもとに友愛なる同胞としてついてきたが…

 そんな「レトリック」というものはただ、ロシア人の年老いた世代やロシア語を話せるウクライナの市民に照準を合わせるだけのものではなく、彼らの中の多くが未だ旧ソ連時代の「安定性と偉大さ」という言葉の追憶に浸っている。
プーチン氏とその同胞は、おそらくウクライナに対するモスクワの軍事侵攻以外に他の諸国に武装化して集うよう奨励しているのだ。
 クレムリン(大統領府)は極めて高い緊張感を維持し、ワシントンD.C.(米大統領ホワイトハウス)に国際的な領域で資金投入など骨を折らせる疲弊体制に追い込むことに成功しているといえる。
 他方、近年の数ヶ月で、ナンシー・ペロシ米下院議長の訪台により、中国は神経を尖らせて台湾付近での空海軍事演習に踏み切った。米国にとって足元から脅威に晒された形である。
万一、台湾が「独立宣言」でもすれば、即、開戦という緊急有事も避けられない。
しばらくの間、トルコのレセップ・タイイップ・エルドアン大統領が隣国ギリシャとの緊張を高めている。ロードアイランドの中のトルコ系少数民族に対する差別を非難してアテネを追及している。それ故、ギリシャにもエーゲ海の島嶼を武装解除するよう警告している。

 反ウクライナ・プロパガンダの攻撃性ある局面で、「ナチズムや反ロシアスパイたちの陳腐な旧ソ連型の物語」は、西洋に魅惑され、ロシア人とロシア語を話せるウクライナ人たちの高齢者世代は最も影響を受けやすいとみなされていた。

 広範にわたる情報源にも拘らず、ロシアの主流メディアが民族を刺激して、ウクライナ東部の地元当局をロシア側の狙った巨大な欠陥に追い込むことができなかった。
 唯一の主要な変化は、近年、ロシア高官のレトリックの中にロシア超帝国時代の物語を強めたり、ウクライナの心臓部と頭脳に手間取っていることからくる、モスクワが(ウクライナを)打ち負かすという認識を暗黙の了解としていること。
 もう一つの良き変化の現れとは、クレムリンのレトリックの表現がウクライナの民族に向けた同情になってきているということである。そんなに時々、同情めいた声が聞こえるようになったのは、2022年の2月24日のロシア軍侵攻の後からだ。だが、その後もロシア高官からはウクライナ市民の死に関するあらゆる責任を断固として否定し、そしてロシア外務省も、国防省も、大統領でさえも犠牲者に関連するただ「共感する」という一言も発してこなかったという現実だ。プーチン氏と彼の同胞がかつてよく使っていた「友愛なる同胞よ」と呼ぶ言葉さえ今のウクライナに住む人々には向けられていないという確かな現実がそこにある。
[出典:「ロシアのプロパガンダ戦争」(August 2022)ロシアのウクライナ戦争シリーズNo.9 [ INTERNATIONAL CENTER FOR DEFENSE SECURITY (ICDS)]

【6】クリミア占領時代から「常套手段」とするロシアの「ソフト・プロパガンダ・メカニズム」

 ロシアは情報操作を行う上で、ウクライナ東部の領土内で遂行した軍事作戦の全体に重要な役割を担っている。ウクライナの政治的なレベルでいえば、親ロシア派軍により主導されている軍事行動の正当化を図る戦略的なレベルにまで上がっている。情報戦とさまざまな心理学的作戦がウクライナ危機の本質的な役割を担って続いている。
 ロシアは2014年以来、政府と個人用の双方など様々なメディアのチャンネルを用いて、ウクライナ戦争の情報作戦を指揮してきた。

[筆者コラージュ作成]
TV: 「Pervyi Kanal」,「Rossiya 1」、「HTB Russia Today」、「LifeNews」
ラジオ:「Raddio Mayak」
携帯電話オペレーター:「KyivStar」
インターネット情報源(オンライン刊行物含む):「Itar Tass」「RIA Novosti」「IA Regnum」「TV Zvezda」「Komsomolskaya Pravda」
ソーシャルメディア:「YouTube」「Facebook」「Vk.com」「odnoklassniki.ru」

 ウクライナの情報源は「親ロシア派」の態度を取っていて「政治的に故意に誤情報を流す」(「Vesti」)ことを広めていた。
分断されたドネツクとルガンスク人民共和国は、それ自体が反ウクライナ・プロパガンダの番組を制作するチャンネルだった。「dnr-news.com」「novorus.info」

 ロシアを代表する主流媒体は「IA Regnum」「TV Zvezda」「Komsomolskaya Pravda」。これらの媒体は一般的にウクライナ政府と武装隊に批判的な報道の仕方をしている。
 ロシア政府に反対の立場をとるメディアは制作自体にロシアが横槍を入れてきたり、握りつぶしている。
 ウクライナ危機をロシアと西洋との代理戦争の場だと分かるように、西洋(主に米国とNATOと欧州連合)との文明の衝突だと参照して、申し立てによれば、ロシアとの国境に向かって地球規模の影響を、他に先駆けて及ぼす傾向にあるという。

 前述したロシアのプロパガンダ主流媒体にはいくつかの特徴がある。情報操作にはしばしば使われてきたソフト・プロパガンダのメカニズムと手法だ。
「Komsomolskaya Pravda(KP)」は、ウクライナに対しより精力的に報じる傾向にある。感情に拠ったレトリックを使って、ウクライナの国家と武装集団や志願兵に一貫して罪を着せ続けてきた。非人道的でジェノサイド(大量虐殺)、国際テロリズム、拷問と民間人の殺害など同属偏愛思想やロシア語を話す人々に対する差別、愛国主義、外国人嫌い、そしてファシズムと同様にだ。「KP」による大多数の報道や声明、報告、インタビューには強力な判断力を伴って番組制作されている。

「IA Regnum」では他方、たいてい誇張された事実と激怒などの感情を避ける原則があるが、「IA Regnum」によって刊行される大多数の報道は判断力なしで制作されているように見える。そしてロシア政府に関するあらゆる批判を織り込んではならないことになっている。

「IA Regnum」に似通っているロシア国営メディアの「TV Zvezda」は、そのウクライナ危機と相当するものを生き生きと映し出すことを規制していた。ネガティブなイメージを構築している時も、ウクライナの武装集団と政府を主要な標的とした。有名な想定として全能のFacebookやロシアの荒らし工場の原則が、当然与えられるべき人々の心や頭脳に対して支配的になり、単に情報の洪水を浴びたというだけでなく、結果として、世間に評価されたり、これらのメッセージに影響を及ぼすか否かについても、さらなる調査研究が必要になることが分かったと報告されている。
 2つの範疇はウクライナと西洋という「敵」のイメージの刷り込みを図る上で、そのプロパガンダが強力に緊急性を帯びてロシアの情報戦略に必要とされた。

 ロシアが情報作戦を指揮する時は、西洋とウクライナの欠陥を突く情報を使うことで戦況を有利にすることを可能にした。ウクライナの政治的社会的経済的危機と愛国主義者と外国人嫌いの流行を強めてしばしば危機に陥りがちなウクライナを絶壁まで追い込んでいた。たいてい東部南部ウクライナ(「ノヴォロシア」として知られる)に住んでいる親ロシア派の民族(ルッソフォンズ)と、西部ウクライナに要塞を持つ親ウクライナ派愛国主義者(ウクライノフォンズ)との間を分断させる狙いがあった。そして後者の要塞の在する地域は、第二次世界大戦以前はポーランドとチェコスロバキアとルーマニアに帰属されていたのである。

 ロシアの対ウクライナ情報戦は多面的で異なる手法で解釈されてきた。まず、状況的と柔軟な傾向があった。ロシアが喧伝して回った全ての物語は、各個人に感動を与え、その奇抜さの全てについて考えさせられた。そこには何の一貫した様式もなく、近年のロシアの情報戦の物語を解説することに使われる得るものだ。情報を控える代わりに、ロシアはしばしばマスメディアに情報の洪水を流すように仕向け、たった一単位の出来事にも圧倒的な情報量を提供してきた。優れた技能で「(政治的に)故意に流す誤情報」と混ぜ合わせることを可能にしていたのだ。これらのメディア・キャンペーンは強い感情を刺激し、恐怖の文化を促してパニックを生み出した。そのロシアのマスメディアチャンネルを分析すると、ウクライナ危機の紛争を正当化するためにロシア社会の愛国主義者の流行を誇張していた。
 この研究プロジェクトが、それ自体特別なジャーナリズムの型を成し得ている間中、目にする刊行物ごとにまるで研究者たちは試されているような印象さえ感じられた。いくつかの出版社は見解を規制されたり、感情的な表現を避けるように当局から情報統制されていた。また他方、ウクライナの国民に対して不和反乱などを助長する「嫌われ者」であり、「西洋の傀儡だ」としてウクライナ人を記述させた。また反逆者で犯罪者であり、ファシストで過激主義者だとも指弾されたが、「分離主義者こそ、『真の愛国者』」として、改めてそのことも記述されたのである。
[出典:「Tools of Propaganda War in the Russian-Ukrainian Conflict」”RUSSIA’S INFORMATION WARFARE AGAINST UKRAINE Ⅱ:INFLUENCES ON THE ARMED FORCES OF UKRAINE” Viljar Veebel 著「ENDC OCCASIONAL PAPERS」(2017年11月)]

【7】「オンライン」の情報そのものが兵器になる新たなプロパガンダ時代の象徴「ウクライナ危機」

 ロシアの国営メディアを持ち得た情報戦で最もプロパガンダが効果的だったのは「インターネット」を使った「戦争喧伝」である。「戦争プロパガンダの10の法則」といえば、従来は歴史家アンヌ・モレリ氏がまとめたものだった。だが、現代では古典的とされている。ピーター・W・シンガー氏と共同研究者のエマーソン・T.ブルッキング氏が発表した共著によれば、インターネットを使った現代の戦争のプロパガンダには「5つのコア原則」があるという。
 シンガー氏はランド研究所以前、米ブルッキング研究所の上席研究員で、21世紀防衛イニシアチブの責任者だった。さらに国防総省および国務省、中央情報局(CIA)、議会の顧問も歴任してきた。

1)インターネットは思春期を過ぎた
数十年におよぶ成長の末に、グローバルなコミュニケーション、通商、政治の卓越した媒体となっている。新たな指導者や組織だけでなく、ネットを絶えず拡大しようと作用する新たな企業秩序も向上させてきた。このパターンはネット以前の、電信・電話・ラジオ・テレビがたどった軌跡に似ている。しかし、ソーシャルメディアの台頭によって、そうした過去の革命をインターネットが凌駕できるようになった。インターネットは現在、まさしくグローバルで即時性のある個人とのつながりと大量送受信の究極の組み合わせになっている。とはいえ、過去数年は何かと騒がしく、ソーシャルメディアおよびそれが象徴する革命は今ようやく肩慣らしを始めたところだ。世界の半数はまだオンラインの騒動に足を踏み入れてはいない。

2)インターネットは戦場と化している
インターネットは、ビジネスや社会生活と切り離せないのと同じように、今では軍と政府、権威主義者と活動家、諜報員や兵士たちにとっても不可欠になっている。誰もがネットを利用して明確な国境のない戦争を仕掛けている。その結果、戦闘はどれも個人的に見えるが、実際はグローバルだ。

3)インターネットの戦場は戦い方を変える
ソーシャルメディアは、どんな事柄についても秘密を守ることを事実上不可能にした。とはいえ、バイラル性が真実を圧倒し得るので、事実を作り変えることは可能だ。したがって、この戦場における「パワー」の基準は、物理的な強さやハイテクのハードウェアではなく、ネット上の注意を意のままにできるかどうかにある。その結果、対立する双方が際限なくメッセージを拡散し続け、心理操作とアルゴリズム操作の腕を競い合う。

4)この戦闘は「戦争」の意味を変える
オンラインの戦闘に勝利すれば、ウェブだけでなく、世界を勝ち取ることになる。つかの間の勝利の一つ一つが、一見取るに足らないセレブの揉め事から歴史を変える選挙まで、現実の出来事を動かす。これらの結果はオンライン上の真実を求める次の避けられない戦闘の基盤となり、現実空間とデジタル空間における行動の線引きをさらに曖昧にする。その結果、ネット上では「戦争」と「政治」が同じルールに従い、同じスペクトル上で融合しつつある。戦争と政治の戦略はもとより、関与する人間まで見分けがつかなくなっている。だがこの新たな戦いの法律を定めるのは、政治家でも将軍でも、法律家や外交官でもない。シリコンバレーの一握りのエンジニアたちだ。

5)誰もがこの戦争の一部だ
ネット上では、注目は縄張り争いの対象となる一画のようなもので、気づこうと気づくまいと周囲で展開している紛争において、争奪戦が行われる。見るもの、いいと思うもの、シェアするもの全てが、情報戦の戦場の小さなさざ波を象徴し、戦っているどちらか一方を支持することになる。このように、ネット上での注目と行動は、延々と続く小競り合いにおける標的であると同時に弾薬でもある。「いいね!」戦争における戦いに関心があろうとなかろうと、戦争の当事者はこちらに関心があるのだ。

 1993年、ランド研究所の二人の政治学者ジョン・アーキラとデイビッド・ロンフェルトが彼らの研究結果として「サイバー戦争がやってくる!」と題する画期的な論文を発表した。しかし両者はその先まで見越していたのだ。サイバー戦争の副産物、「ネット戦争」である。アーキラ氏とロンフェルト氏の二人は次のように説明している。

それはつまり、狙う相手が自分や周囲の世界について「知っている」ことや知っているつもりでいることを混乱させ、損ない、修正することだ。ネット戦争は世間もしくはエリート、あるいはその両方の意見に狙いを定めるかもしれない。広報外交の手法、プロパガンダと心理作戦、政治的・文化的な転覆、現地メディアに対する傍受や干渉を含む可能性もある。言い換えれば、ネット戦争は、「戦争」の軍事的形態とともに、経済的・政治的・社会的な形態にもおよぶ多種多様な紛争に、新たな一面が加わったことを象徴しているのだ。

 ネット戦争が意味するものは、単にインターネット上で開始されるプロパガンダ攻勢に止まらなかった。新しい考え方と新種の紛争をも意味した。オンラインの情報そのものが兵器であり、一部の現実を解体して代わりに別のものを構築するのに使われるということでもあった。

[出典:「『いいね!』戦争 兵器化するソーシャルメディア」P.W.シンガー、エマーソン・T.ブルッキング共著「NHK出版」/拙記事「全自律型ロボット兵器開発までの略歴『リスクなき戦争』という甘い餌に騙されるな」「bukupe!」(2013年11月13日))]

【8】「ウクライナ戦争」のプロパガンダに楔を打ち込む「セレブ外交」の政治力学

 

 「セレブ・ディプロマシー」は当初、「UNICEF」が自然災害の被災者を慈善事業で救っていた時代から始まっていた。ジョージ・ハリソン氏(ビートルズ・リードギター)とそのマネージャーだったアラン・クレイン氏、ラヴィ・シャンカー氏が1971年8月1日に二つのコンサートのステージを踏んだ。「ボーラ」サイクロンに被災していたバングラデッシュ難民、庇護希求者(Asylum-seeker)の子供たちのためにファンド・レイジングすることを狙いとしてマディソン・スクエア・ガーデンの正面に40万人のドナー観客を集めた。「親善大使」というポストに就かなくても、セレブたちは自身の力だけでも莫大な募金を集金することができたからだ。
 またこの自然災害が起こった時は「バングラデッシュ・戦争」という波乱のもたらした結果が待ち受けていた。すでに甚大な難民問題を西ベンガルで抱えている状況だった。この時、前述のスーパースターたちを含む、エリック・クラプトン氏、リンゴ・スター氏(ビートルズ・ドラム)、フォークソングバンドの「ボブ・ディラン」が加入して「バングラデッシュ(Bangla Desh)」という歌を歌って戦争被害者の支援に乗り出した。このことはいかに彼らの「セレブ」という立場がこの国の窮地に国際的な関心を引き寄せることに貢献することができたかを物語っている。
 米国のロナルド・レーガン元大統領や元カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガー氏(映画「ターミネーター」主演俳優など)は両者ともに元ハリウッド俳優だった。
 特異な例である「戦争のプロパガンダ」には、現実世界で「歩く広告塔」とも呼ばれたシュワルツェネッガー氏のように、タンクローリーに立ったまま乗車して呼びかける「パフォーマンス」はセレブとしての認知度を自身がよく熟知しているからこそ、効果的なのである。シュワルツェネッガー氏はハリウッド俳優から政治家に転身し「広告塔」としてのモデルとなり得た時代があったため取り上げた。
 しかし今のヴィヴィアン・ウェストウッド氏やMISIAのように、遠く離れた異国であるウクライナにも「セレブ」として「平和」のメッセージや歌を送ること自体が世界中に巨大な影響を及ぼす「セレブ外交」となり、プーチン氏が垂れ流しているような悪意ある「戦争のプロパガンダ」に楔を打ち込むことに多大な平和貢献のムーブメントを巻き起こす。そこから「うねりのような国際反戦世論の形成」が「セレブの外交史実」上、ウクライナ戦争の時代にも生まれることを心から祈念して、本稿のペンを置きたい。
[出典:原作ペーパーバック「CELEBRITY POLITICS」MARK WHEELER著・版元「Polity」] 

tomokihidachi

2003年、日芸文芸学科卒業。マガジンハウス「ダ・カーポ」編集部フリー契約ライター。編プロで書籍の編集職にも関わり、Devex.Japan、「国際開発ジャーナル」で記事を発表。本に関するWEBニュースサイト「ビーカイブ」から本格的にジャーナリズムの実績を積む。この他、TBS報道局CGルーム提携企業や(株)共同テレビジョン映像取材部に勤務した。個人で新潟中越大震災取材や3.11の2週間後にボランティアとして福島に現地入り。現在は市民ライター(種々雑多な副業と兼業)として執筆しながら21年目の闘病中。(株)「ログミー」編集部やクラウドソーシング系のフリー単発案件、NPO地域精神保健機構COMHBOで「コンボライター」の実績もある。(財)日本国際問題研究所「軍縮・科学技術センター」令和元年「軍縮・不拡散」合宿講座認定証取得。目下プログラミングの研修を控え体調調整しながら多くの案件にアプライ中。時代を鋭く抉る社会派作家志望!無数の不採用通知に負けず職業を選ばず様々な仕事をこなしながら書き続け、35年かけプロの作家になったノリーンエアズを敬愛。

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