「ベビースターラーメン?」「見事なそうめん」 3Dプリンターの現実を見せつけるツイートに「いいもじゃもじゃ」など反響多数

ロシアからの侵攻に晒されているウクライナでは、3Dプリンターが止血帯や聴診器、ドローンや改造手榴弾の部品などの武器にまで活用されており、馴染みのない人からすると「万能の道具」と捉えているフシがあるのではないでしょうか。

そんな中、個人でハードウェアの製作をしているきょうへいさん(@kyouhei_craft)が3Dプリンターで失敗した画像をツイート。6000以上のRTと約38200の「いいね」を集めて、「いいもじゃもじゃ」「ベビースターラーメン作りたかったんですよね?」「見事なそうめん」といった冗談混じりの反応も数多く寄せられています。

3Dプリンターはなんでも作れる魔法の箱とお考えの方へ

現実はコレです。

3Dプリンターに興味を持ったのは「ディアゴスティーニの『週刊マイ3Dプリンター』のCMで一目惚れしたのがきっかけでした」と語るきょうへいさん。全55号でパーツが揃うシリーズで、「毎週少しづつ届く3Dプリンターの部品と一緒に、3Dプリンターのメンテナンス方法や仕組み、3DCADの使用方法が詳しく書かれていました。当時はまだ3Dプリンターについて詳しく書かれたサイトは少なかったので、とても勉強になった事を今でも覚えています」と振り返ります。

熱溶解積層方式の3Dプリンターは線状の樹脂を熱で溶かしながら積層させて立体物を造成しますが、きょうへいさんは「まずは3Dプリンターに合った3Dデータの設計が難しいです」と語り、「3Dプリンターは下からソフトクリームのように溶けた樹脂を積み重ねて造形を行います。そのため、逆三角形のようなデータや側面に大きな穴の空いたデータは重力の影響をて受け上手く造形出来ません。そこでサポートと言う造形物で支えるのですが、造形後に除去すると表面が荒れてしまい綺麗に作れません」と説明します。そういった特性から「設計の段階でサポートが少なくなるように、どの面を下にして造形するかを考えて造形する必要があります」といいます。

また、「データが正しく作れても3Dプリンターの設定が甘いと失敗してしまいます」といい、ツイートの画像がまさにその例だとのこと。失敗の原因としては「ノズルやベットの温度、印刷スピード、ノズルとベットのクリアランスなどの印刷設定、室温や湿度、風の当たり方などの印刷環境」によってデータ通りの出力が出来ないことがあると話し、ほかにも「フィラメント(材料樹脂)の保管状態も印刷品質に影響します」と語ります。

さらに、「上方向に大きな造形物は作るのを断念しました」といい、「3Dプリンターは高さが大きくなるほど印刷に時間がかかる傾向にあります。20cmを超えると1日以上時間がかかる事があります。また、時間がかかるほど失敗のリスクも上昇するので避けています。対策として大きな物は分割して造形後に組立てられるように設計しています」と教えてくれました。

3Dプリンターのユーザーからは「使うの意外と難しい」「トライ&エラーがつきもの」といった声が上がっていたほか、「一つの作品が生まれる前に、数多の現代アートが生まれている」といった反応も寄せられていたこのツイート。きょうへいさんは「ここまで反響があることには正直驚きました」といい、「3Dプリンターはもちろん使い方次第では危険な道具になるかもしれませんが、それは全ての道具に言えることです。一般の方から見て馴染みのない3Dプリンターはちょっとしたことで“何でも作れる危険な道具”と誤った認識をされかねません」と危惧を語ります。その上で自身が製作した『Amazon Echo dot』用のスタンドなどを示し、「少しでも3Dプリンターは可愛い小物や便利な道具が作れるステキな道具と認識してもらえると嬉しいです。この機会に3Dプリンターの誤解を払拭できて、少しでも普及するといいなと思います」と話します。

ちなみに、きょうへいさんがオススメする3DプリンターはANYCUBICの『Vyper』。実勢価格は53000円前後で「失敗も少なく安定した出力ができるので初心者の方でもオススメできます」とのこと。市販品で「気に入ったデザインが見つからない!」という人は、いっそのこと3Dプリンターを導入して自作してしまうのもアリなのではないでしょうか。

※画像はTwitterより
https://twitter.com/kyouhei_craft [リンク]

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営。ネット、メディア、カルチャー情報を中心に各媒体にいろいろ書いています。好物はホットケーキとプリンと女性ファッション誌。

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