つぶやきシローインタビュー 自己流“あるある”読書案内は「1ページでも見ていただけると、『あ、なるほどね』とわかってもらえると思います(笑)」

  by ときたたかし  Tags :  

お笑いタレントのつぶやきシローさんによる書籍、「こんな人いるよねぇ〜本を読んでつぶやいた」(自由国民社)が現在発売中です。同書は、つぶやきさんがいろいろな本を読み、その感想文を1冊にまとめたもの。

一見すると通常の読書案内の形式ですが、取り上げた本やその解説には、身近によくいる“困った人”“苦手な人”“いい人を演じる人”“理不尽な目にあっている人”“マイペースな人”“被害妄想にとりつかれている人”……などが多種多様に登場。その中から、「ああ、こんな人いるよねぇ」「自分もそういうことあるある!」と思うであろう人物やシチュエーションに焦点を当てて紹介しています。

「あるある!」と共感しつつ、気持ちもポジティブに切り替わる(?)まるで日々のモヤモヤを楽にしてくれそうな一冊。ご本人にお話をうかがいました。

●今回の書籍、楽しく拝読しました。まず読者の方には、どう薦めたいですか?

この本はですね、いろいろな本を僕が読み、それについて書いています。毒を吐いているわけではないけれど、その本をすごく薦めているわけでもないんですね。感想文かと言うと、そんな質のいいものでもない。「“あるある”ネタでしょ?」と言うと、そこまでクオリティーが高いものでもないんです。じゃあ何だって話ですが、1ページでも見ていただけると、「あ、なるほどね」とわかってもらえると思います(笑)。

●最初のきっかけをうかがってもよいでしょうか?

本のコンシェルジュさんが「感想を書いてください」と言って来たことがありまして、それが最初ですね。僕の好きなように本を読み、好きな感想・コラムを書いてよいと。

でも、僕は読書が苦手なんです。まったく本を読まないので、そちらで何冊か選んで送ってくだされば書けますよと。逆にプレゼンしてくださいと。そしたら「ああ、はい…」みたいな感じになって(笑)。

面倒臭い奴だなあと思われたかも知れないけれど、そういう感じで何度かやり取りさせていただいて。本がなくなったらまた送ってもらって、この一冊になった感じです。

でも、僕は本が嫌いだから読まなくちゃいけないなあと思っていたところへ、「こんな本ありますよ」「こんな面白いですよ」とプレゼンしてくれて、ありがたかったです。

●本の紹介にあたり、書きやすい・書きにくいといったことはありましたか?

ありましたね。たぶん小説は書いていないんです。難しかったから。その代わりエッセイ、自己啓発本などが多いですかね。見出しがあるので、書きやすいですね。

逆にひとつの物語は、取り上げにくかったですね。みんなの感想も多いし、そっちを読んだほうが断然いいわけですよ(笑)。なので、“じゃないほう”だと自己啓発本や指南書の感想を、自分なりにおもしろおかしく書こうと。“あるある”も入れやすいですよね。小説はネタバレにもなるので、この企画には向いてなかったと思います。

●ある章では、日常のモヤモヤを代弁してくれていて面白かったです。

“あるある”ネタというものは、そういうものですからね。

もともとTwitterでも舞台でもテレビでも、短い時間の中に面白いことをたくさん入れたいから、省く作業なんですよね。だから、そのやり方、その作業が僕の人生では多かったけれど、本を書くことは逆だと思いました。上手く伸ばして、遠回りして、分かりやすくいろいろな角度からひとつのテーマをわかってもらおうとまとめる。たとえ話も経験話も含め、それが本だったりすると思いました。それは頭がいい人、文章力がある人でなければ出来ないこと。

だから僕には無理だから、短い文のつなぎで書いている感じ。そのイメージです(笑)。だから、短い“あるある”ネタを入れて、ごまかしごまかし、一個の文章にしました、みたいなことですね。自分で言っててアレですけど(笑)。

●とても楽しかったです。今後もいかがですか?

こういう書き方であればやってみたいです。本がある限り、エンドレスだと思うのですね。上手い文章が書けないので、逃げの方法で頑張っていければなあと(笑)。

●最後になりますが、これから手に取る方へメッセージをお願いいたします。

お風呂場で読んでください。濡れちゃってもいい本です。半身浴をしてビチャビチャになってもいい本です。それくらい気軽に日にちをおいても読める本です。続きものじゃないので。あとは、暇つぶしにもなるかな(笑)。でも、いい本に出会えるかもしれないですよ!

著/つぶやきシロー(Shiro Tsubuyaki)

1971年3月10日栃木県出身。愛知学院大学心理学科卒業。
著書には、『3月生まれあるある』(さくら舎)、小説『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館)、小説『イカと醤油』(宝島社)、『つぶやき隊』『みんなのつぶやき隊』『新しいつぶやき隊』(いずれもTOブックス)などがある。

絵/伊藤ハムスター(itohamster)
多摩美術大学油絵科卒。イラストレーター。

(紹介文)
つぶやきシローさんが、いろんな本を読んでの感想文をまとめました。
読書で出会った苦手な人を“つぶやく”ことで心温まるネタにしています。
「あるある!」と共感しつつ、気持ちがポジティブに切り替わる1冊となっています。
本書がみなさんの中にある日々のモヤモヤをラクにするお手伝いをいたします。
読書を通して、対人関係の視点をグルッと変えてみませんか?
空気が変わって、違う景色が見えてくるかもしれません。

ときたたかし

映画とディズニー・パークスが専門のフリーライター。「映画生活(現:ぴあ映画生活)」の初代編集長を経て、現在は年間延べ250人ほどの俳優・監督へのインタビューと、世界のディズニーリゾートを追いかける日々。主な出演作として故・水野晴郎氏がライフワークとしていた反戦娯楽作『シベリア超特急5』(05)(本人役、“大滝功”名義でクレジット)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)など。instagram→@takashi.tokita_tokyo