ドラゴンクエスト3RTAを100倍楽しむための豆知識

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先月4月9日、日本テレビ主催で、人気ゲームシリーズ『ドラゴンクエスト』の3作目である『ドラゴンクエスト3(DQ3)』のRTA大会が開かれるというニュースが流れました。
DQ3は様々な機種で発売されていますが大会で使われるのはSFC版で、さらに大会の模様はニコニコ生放送でも中継され、最終的にテレビ放送まで行われます。

今までも人気ゲームタイトル『風来のシレン』の公式RTA大会などはありましたが、これはあくまでもネット上に留まるもので、RTAという題材でテレビ放映まで行われるのは今回初めてのことです。

DQ3は通常プレイでも非常に面白いゲームなのですが、RTAだと通常プレイでは思いもつかない知識やプレイングを要求され、さらにランダム要素もそこそこ強いため、RTAでは特に人気のタイトルとなっています。

今回は、そんなDQ3RTAの世界をあまり詳しくない人にも分かりやすく紹介します。

RTAとは

まず、RTAとはそもそも何なのかについて説明しておきます。

RTAとは、『Real Time Attack』の頭文字を取ったもので、ゲームを始めてから実時間でどれだけ早くクリアできるのかを競うゲームの遊び方です。
今回のDQ3の例だと、ゲームを始めてから最後のボスをどれだけ早く倒せるのかを競うこととなります。

ゲームを早くクリアするのなら、最初のスライムから全ての戦闘を逃げまくり、レベルも一桁のままで最後まで行ってしまえばいいのではないかと考える方がよくいらっしゃいますが、それは間違いです。

RTAではあくまで実時間を競うものなので、全ての戦闘を逃げるなどして低レベルのまま進んでしまうと、先へ進めば進むほど敵モンスターが強くなってこちらの全滅危険性が上がってしまいます。
DQ3では全滅してしまうと王様の元まで戻されてしまうので、一度でも全滅すると大きなタイムロスとなってしまいます。

このため、DQ3RTAでは早く先へ進みたい一方で全滅だけは避けるよう進んでいかなければならず、レベルを上げて安定させるか、はたまた危険を承知で先へ進むかといったような選択肢を常に選び続けながらプレイしなくてはならない非常に競技性の強いものになっています。

DQ3RTAの流れ

DQ3RTAの流れをかなり大まかに説明すると、”魔法の鍵入手→船入手→オーブ6種を集める→バラモスを倒す→ゾーマを倒す”となります。

DQ3は自由度が高く、ある程度自分の好きなように行き先を決めて攻略できますが、この際ゲームクリアに必須でない箇所へはそもそも寄りません。具体的に言うと、眠っているノアニールの住民は起こさなくてもゲームクリアが可能なので、ノアニールの住民を助けることなく最後まで進みます。

ゲームの攻略順序もかなり異なっており、通常の攻略では『ゲーム開始→レーベ→ロマリア→カザーブ…』とルーラの登録順に進んでいくところが、RTAだとロマリアまでは一緒でもロマリアの次はいきなり『アッサラーム→ピラミッド』と進んでいきます。

本来はレベルが10は超えていないといけないピラミッドにRTAではレベル2か3で突入するわけですが、これはSFC版の追加要素である仲間の性格や投与種を上手に活用して低レベルにしてはHPがかなり高い状態で行くこと、そもそもピラミッドのエンカウント率はかなり低く滅多に敵との戦闘にならないこと、ピラミッドにはボスがいないため逃走に成功し続ければ低レベルでも問題ないことから成り立っている攻略法です。

全滅する危険はもちろんありますが、ピラミッドを攻略することで手に入る『魔法の鍵』があれば各城の宝物庫の扉を開けることができるようになって物資が序盤から相当充実し、物資を売ったお金で強力な装備を一気に整えられることから、序盤のゲームバランスをブレイクするためにRTAでは必須の戦略となっています。

その他にRTAで独自の攻略法としては、レベル上げの箇所を序盤で作り、そこでのレベル上げが終わったら後はボスの経験値だけで突き進んでいくということがあります。

レベル上げは最序盤はさすがに最初のスライムなどを倒して地道にレベルを上げていきますが、船を入手して準備が整ったら『ダーマ神殿』の北にある『ガルナの塔』で効率のいいレベル上げを行います。

ガルナの塔では経験値を多く持っているメタルスライムが大量出現することから、メタルスライムを短時間で一気に倒してゲームクリアに必要最低限の経験値をここで稼いでしまいます。具体的に言うと、魔法使いが攻撃力を上げる呪文であるバイキルトを覚えるまでここでレベル上げをします。

レベル上げが終わったらあとは止まることなく一直線で、物凄い勢いでオーブを集め、バラモスを倒し、そのままゾーマを倒してエンディングまで駆け抜けます。

ピラミッドの詳細

どうやって低レベルでピラミッドを攻略することが出来るのかについてもう少し詳しく解説します。

DQ3では、SFC版では追加要素として『性格』というものが、さらにルイーダの酒場で仲間を加える時に任意の種を仲間に投与できるようになりました。

性格はレベルアップ時のパラメータの伸びに影響するもので、力が伸びやすい『ちからじまん』や賢さが伸びやすい『きれもの』など様々なものがあります。
そんな中、RTAではHPが伸びやすい性格になるよう最初の仲間選択から吟味するのが一般的で、そうすることで低レベルでもやられにくい態勢を整えます。

さらにピラミッドでは『エンカウントカット』というテクニックを使用します。

DQ3は歩けば歩くほど敵と遭遇する確率が高まっていく(エンカウント値が増える)システムを取っていますが、このエンカウント値はマップを移動する(階段を昇降したりする)と0に戻ります。

なので、見る側からすると無駄な操作のように見えますが、わざと必要のない階段を昇降することによって敵とのエンカウントを回避することができます。ピラミッドは階段も多いため、このテクニックを利用すれば低レベルでもそこそこ何とかなってくれます。

メタルスライム狩りの詳細

レベル上げはメタルスライムを倒すことで行いますが、このメタルスライムの倒し方にも一工夫があります。

DQ3のメタルスライムは、何と混乱完全耐性を持っておらず、具体的に言うと道具の『毒蛾の粉』を使用することで混乱が通ってしまいます。混乱すると最後の一匹になるまで逃走しなくなる他、別の敵に攻撃することもあってこれが敵の防御無視なので、メタルスライムや周りの敵を混乱させることで安定してメタルスライムを倒して大量の経験値を入手することが可能となります。

さらに、DQ3の経験値システムとして経験値を仲間で分配するというものがあります。
例えば、メタルスライムの経験値は1000近くではないかと覚えている方も多いのではないかと思いますが、実はDQ3のメタルスライムの経験値は4140です。この4140をパーティーの4人で分け合うので、結果1035となりメタルスライムの経験値が1000近くであるように見えるのです。

ここでDQ3RTAのテクニックとして『間引き』というものを使います。
間引きとは、経験値が必要ない仲間をわざと攻撃して死亡させておくことで、経験値が必要な仲間への経験値効率を高めるというテクニックです。DQ3RTAでは、最終的には二人だけを残して魔法使いへ多く経験値が行き渡るように調節します。

ちなみに、遥か昔のDQ3RTAではメタルスライムより経験値の多いはぐれメタルを倒すことでレベル上げとしていましたが、はぐれメタルが安定して出現するバラモス城までの道中が厳しすぎること、はぐれメタルは混乱完全耐性を持っていて倒しにくく結局はメタルスライム狩りより遅くなってしまうことから、はぐれメタル狩りは廃れてしまった戦略となります。

その他のRTAならではのテクニック

全てを紹介すると文字数が限りなく多くなってしまうので、通常プレイではなかなか見られないRTAならではのテクニックを紹介して、今回の記事の締めとします。

敵モンスターにバイキルト!?

魔法使いが覚える呪文であるバイキルトは攻撃力を上げるというもので、通常プレイなら仲間の攻撃力を上げるために使います。

しかし、RTAでは別の使い方もあり、何と敵モンスターにわざとバイキルトを使って敵の攻撃力を上げてしまうというテクニックがあります。

バイキルトには攻撃力を上げるというメリットだけではなく、会心の一撃や痛恨の一撃が出なくなってしまうというデメリットもあります。このデメリットを利用し、一定確率で痛恨の一撃を放ってくるボスにわざとバイキルトを当て、痛恨の一撃を出なくしてしまうというテクニックが敵モンスターにバイキルトを使うというものです。

味方全体の守備力を上げる呪文であるスクルトを重ねがけすると、バイキルトで攻撃力が上がった敵モンスターの攻撃も難なく耐えられるくらい守備力が上がることから、防御無視の痛恨の一撃が飛んでくる可能性を潰すためならと、RTAで安定を取るなら使われているテクニックです。

バイキルトLV21調整

バイキルトは魔法使いがLV21で取得する呪文ですが、このバイキルトは正確に言うと”LV21で取得する可能性がある”呪文です。

正確な数字を出すと、魔法使いはLV21になった時に50%の確率でバイキルトを取得します。もしそこで取得しなかったとしてもLV22でまた50%、LV23でまた50%と、通常プレイなら50%の確率なら相当運が悪くない限りいつかバイキルトを取得するのでそこまで気にしなくてもいい事柄です。

しかし、RTAだとこの50%という確率は致命的です。メタルスライム狩りが上手くいったとしてもバイキルトを取得しなかったらそこからさらにレベル上げが必要なので、バイキルトの取得の早さだけでかなりタイムに違いが出てくるのです。

このようなことから、RTAで安定を取るのなら魔法使いに経験値がどれだけ入っているのかを把握し、あと経験値数百で上がりそうなところまで来たらセーブをし、次に敵を倒したときにレベルが上がらなかったらリセットし、50%の確率ながら確実にバイキルトを覚えるようにするという安定策があります。

しかし、早いタイムを目指すのならばセーブリセットがないほうが当然早くなるので、リスクを承知で50%の確率に賭けてわざとセーブ無しでチャレンジするという戦法もあります。セーブ無しでバイキルトを取得できたときの時短効果は凄まじいので、対戦RTAで劣勢であるのならばセーブ無しも試す価値があるものとなっており、その辺りの駆け引きも楽しいものとなっています。

まとめ

長々と語ってきたDQ3RTAですが、明日5月15日(日)15時から決勝戦がニコニコ生放送で配信され、5月25日(水)と6月1日(水) の25:29からは日本テレビ系列でテレビ放送も行われます。

普通に視聴しても楽しいのがDQ3RTAですが、知識があるともっと楽しくなるのがDQ3RTAです。是非皆さんも、時間が合えばDQ3RTAを視聴してみてください。

※一枚目の画像はhttp://info.nicovideo.jp/game_ekiden_dq3/より引用し、二枚目以降の画像は全て著者が描きました

ゲームのRTAに関する記事を書いていきます。

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