七福神の大黒様はインドの神様だった?!

  by 松平 俊介  Tags :  

(日本一大きい神田明神の大黒様の像、ウィキペディアコモンズより)

お正月も近づき、初詣の話題もチラホラと世間話の種になるようになってきた。初詣で人気なのは全国各地にある七福神まいりだが、実はこの七福神、数々の神仏が複合したオモシロ伝説てんこもりの神様たちなのだった!

例えば、あなたは、大黒様が元はインドの神様だったことを知っているだろうか?

七福神のメンバーはアイドルグループ並みに入れ替わっていた?

まず、七福神とは何か?という所から始めよう。ウィキペディアによると、

一般的な七福神は下記の七柱であるというのだが、実はこの時点でオモシロ伝説が出てきてしまうのだ。

恵比寿
大黒天
毘沙門天
弁才天 (弁財天)
福禄寿
寿老人と同一神ともされる。
寿老人
布袋

実は七福神はAKB48の如く、メンバーが一時期頻繁に入れ替わっていたのである。福禄寿と寿老人は同じ神ではないか?という話が根強いため、寿老人を外して吉祥天や猩々([しょうじょう]妖怪、もしくはオランウータン)を入れてしまうことが昔から結構あったようなのだ。例えば、現在はない「江戸川ライン七福神」では、寿老人を外して吉祥天を祀っていたようである。

大黒様は元々インドの神様だった?

さて、大黒様の話だ。普通、大黒様というと、童謡にあるように出雲大社の大国主命(オオクニヌシ)だと思うのが普通だが、元来はインドの神様なのである。日本に来てからインドの大黒天と日本の大国主命が一緒になったのだ。

元々、大黒様すなわち大黒天は、「マハーカーラ」というインド・バラモン教の神様だったとされている。「マハーカーラ」といってもピンと来ないだろうが、異名「シヴァ神」といえば分かりやすいかもしれない。ゲーム「女神転生」のファンの人にはおなじみだろう、インドヒンドゥー教の最高神であり、破壊と創造の神である。世界を破壊するとき、恐ろしく真っ黒い姿で現れるということで「すごく(マハー)黒い(カーラ)」というあだ名があるのである。松崎しげるじゃないのだからもう少し呼び方はなかったのかとも思うが、それを中国語訳して「大黒天」といっていた。それが日本に来て「大黒=大国」という語呂合わせから、平安時代に大黒天が渡ってきた時に、大国主命と同じ神だということになったという。

もっともシヴァ神も大国主命もそれぞれの神話におけるトップクラスの神様であるし、ご利益はお二人ともに大雑把に言えば五穀豊穣・商売繁盛なので、余り問題はないようだ。そういうわけで、大黒様の像にはシヴァ神由来のブチギレバージョンと、大国主命由来のニコニコバージョンが存在している。

ブチギレバージョンのチベット仏教での大黒様(金剛明王)。

(ウィキペディアコモンズより)

ニコニコバージョンの神田明神の大黒様(大国主命)

(ウィキペディアコモンズより)

こんな雑学を話しながら七福神めぐりをするのも、また一興ではないだろうか?

参考文献:

工藤寛正・みわ明『全国七福神めぐり』東京堂出版

『印と真言の本』学研

出雲大社紫野教会HP http://www.izumo-murasakino.jp/izumo-fukunokami.html

企業のニュースリリースライターを足掛け4年経験。現在はライターのみならずwebディレクターやテレビ番組の企画にも関わっている。タウン誌や飲食関係の媒体の制作にも携わる。 大学時代は書家や歴史作家について修行をしていたことも。(雅号:東龍) 地域の埋もれた歴史を掘り起こしたり、街歩きをするのが好き。これまで関わってきた雑誌は「散歩の達人」「週刊SPA!」、放送局では主に関東ローカルテレビ局の企画を担当。

ウェブサイト: http://touryuuuan.blog.jp/