今や交通機関の車内放送で当たり前のように言われている「車内換気」。オフィスでもお家でも店舗でも例外なく「換気」は行われる。しかし、換気の重要性は何もウイルスだけではない。「空気環境」がいかに重要なのかはオフィスビル等で定期的に国家資格を持った測定士が監視していることからも明らかだろう。そこでキングジムが発売する二酸化炭素濃度測定器を使用して換気の実際を試してみた。
喚起の基準は二酸化炭素濃度だけではなく、一酸化炭素や温度や湿度、PM2.5等の粉塵も対象になる。空気調和設備を設けている場合の二酸化炭素濃度の基準は100万分の1000以下(1000ppm以下)だ。ただし家庭用のエアコンは風は出てくるが、例えば冷房の場合は熱交換により室内の熱を外に排出しているにすぎない。よって外気導入の換気機能がなければ空気調和設備または機械換気設備には該当しないことになっている。換気するためには窓を開け外の空気を室内に導入するしかない。これについては後述する。
そして二酸化炭素濃度の測定には「検知管方式による二酸化炭素検定器」が産業用途では定められている。同社の家庭用二酸化炭素濃度測定器3種はいずれも校正機能を備えた検知管方式なので、産業用の基準に準ずる測定器だ。
産業用では床面から75cm以上、150cm以下の位置で測定しなければならないことになっており、家庭でも可能な限りそれに近い位置に本機を設置することが望ましい。本機はUSB電源で給電するが、そういうことを考慮してかなり長いケーブルとACアダプターが付属しているので心配は無用だ。
説明書を見なくても直感的に色でわかるよになっている。危険な順から赤点滅・赤点灯・橙・緑・消灯だ。二酸化炭素濃度が高くなり3%程度に達すると人間は不快感や頭痛を覚え、7%程度になると中毒で意識を失いそのままの状態が継続すると呼吸が停止し死亡する。とはいえ、3%といえば30000ppmなので通常はそこまでの濃度にはならない。しかし密閉した室内で大量のドライアイスを昇華させれば(ドライアイスは二酸化炭素を凍らせたもの)、そういう事故は起こりうる。赤点滅すると即換気だが、すぐに頭痛がすることはないので慌てずにゆっくり換気の機会を作ればよい。
同梱物は写真の通り。なお、キングジムの測定器は3種類ある。「ザラージ CO2モニター」は6月15日発売予定で大型の液晶で1ppm単位の数値と換気タイミングを光とブザーで知らせる機能が付いたもの。湿度と気温も表示される。「換気を促すCO2モニター」は6月10日発売予定で、液晶の数値とLEDの色で二酸化炭素濃度を知らせ、タイマー機能やブザーも付いたもの。今回はこれを使用した。「卓上CO2モニター」は、小型でシンプルなデザインの二酸化炭素濃度測定器。
電源を入れるといきなり赤く光り警告を発したが、これは未校正の状態なので数日放置すれば自動校正で正しい数値を表示する。空気中の二酸化炭素濃度は400ppm程度なので、窓を開けて外気を入れ400ppm前後の数値が表示されればOKだ。1ppm単位で表示されるが、細かい数字はあまり気にする必要はない。1ppmは100万分の1なので人間にはわからない。千の位と百の位だけを気にすればよいだろう。
メーカーに要望を出すとすれば、二酸化炭素濃度だけではなく一酸化炭素濃度も表示してくれれば流行りの車中泊でも活躍しそうだ。また液晶があるとつい時計として見てしまうので時計があると便利だ。もっと欲を言えばIoT機器にしてネット経由で外出先のスマホで確認できるようになると一人暮らしのマンションでは一人室内にいるだけで数値が上がるので簡易的な防犯ツールとしても使える。
二酸化炭素濃度が下がるにつれてLEDがオレンジ、グリーン、消灯に変わる。エアコンを入れていくら風が送られていても、空気清浄機能が付いていても、それは室内の空気を冷やしているだけで、フィルターで粉塵を除去しているだけで二酸化炭素濃度は変わらない。最近の集合住宅は気密性が高いのでワンルームマンションで外出先から帰宅しただけで、数値が上がっていく。原因は自分の呼気しかない。よって国の基準に従い1000ppmを越えたらエアコンをつけたままでも構わないので窓を開けることをお勧めする。すると徐々に数値が下がりLEDは消灯する。これだけシビアに測定しているので、あまり気にするとそればかりに気が行って悩みの種になりかねないが、適度に見ればOKだ。エアコンの季節で密閉しがちなこの夏から、産業レベルの「空気環境」を手に入れてみてはいかがだろうか。
※写真はすべて記者撮影