個人的見解 ● ウィル・スミスの『アカデミー賞ビンタ事件』について

  by あおぞら  Tags :  

 アメリカのテレビは27日(日)にロサンゼルスのドルビー・シアターで開催されたアカデミー賞授賞式での『アカデミー賞ビンタ事件』の話題ばかりを追っている。

 確かに衝撃的な人前でのビンタ事件。しかも、それがアカデミー賞の授賞式の生中継の最中と言うのは前代未聞。時間経過と共に、暴力をふるったウィル・スミスの方が責められ始めている。

 個人的には殴られた側のクリス・ロックの笑いは好きではない。ロックは1990年、『サタデーナイトライブ(SNL)』のレギュラーになったことでスター街道を走ることになる。この『サタデーナイトライブ(SNL)』は、アメリカのバラエティ番組で最長寿番組のひとつであり、また何よりコメディアンにとってはスターへの登龍門的存在であり、昭和の時代に大人気だったフジテレビの土曜の夜の『オレたちひょうきん族』は、『サタデーナイトライブ(SNL)』の感性を真似たものだと思った。

 クリス・ロックを語るには、『サタデーナイトライブ(SNL)』を語らなければ始まらない。このコメディアンをスターにするお化け番組からは、以下のようなコメディアンが巣立って行った。

ダン・エイクロイド(ゴースト・バスターズ)、ジョン・ベルーシ(ブルース・ブラザース)、ビル・マーレイ(ロスト・イン・トランスレーション)、エディ・マーフィ(星の王子 ニューヨークへ行く)、ジュリア・ルイス=ドレイファス(となりのサインフェルド)、マイク・マイヤーズ(シュレック)、アダム・サンドラー(ウェディング・シンガー)、ウィル・フェレル(エルフ 〜サンタの国からやってきた〜)

 書き始めたら止まらないので上記で留めたけど、これらの中でアカデミー賞授賞式やプレゼンターを務めるクラスは別格で、クリス・ロックはその別格のコメディアンに位置する。

 最初、あの衝撃的なビンタを目にした時は、ウィル・スミスに賛同した。やはり、人前で、しかもアカデミー賞授賞式という正装した晴れがましい舞台で、スミス夫人で女優でもあるジェイダ・ピンケット=スミスの頭髪を茶化されるのは不愉快であり、明らかに場違いで、『コメディアンの冗談』で済まされるものではない。ましてや、ジェイダ・ピンケット=スミスは脱毛症に悩み、あの髪型にせざるを得なかったのだ。

 アメリカ人の友人に聞いてみた、「どう思う?」と。「アンガーマネージメントが出来ていなかった。暴力を振るうのはもってのほか。何かしらの制裁は加えるべき」と答えた。私も同意見であった。私は付け加えて、「この”ビンタ事件”は恥ずべきことだけど、起こったことは意味があったと思う。反面教師の学びもあるし、悪例で自分たちも気をつけないといけない…と人々に思わせたことは、決して悪くはなかったと思う」と。

 エンタメ専門のニュースを見ると、数年前のインタビュー映像が流れ、ウィル・スミスがインタビューを受けている。笑顔でいつものスミスだったが、インタビューが終わりかけ、男性インタビュアーと軽くハグをし、一回でなく2回以上続いたように見えたが、いきなりスミスが男性インタビュアーを突き飛ばし、さっきの笑顔は何だったのだ?と豹変した映像を流していた。

 その笑顔から怒りへの移り方が、丁度アカデミー賞授賞式の時の ”いきなりキレる” だったのでウィル・スミスの本質なのかと思った。またエンタメニュースでは、舞台上で子どもにビンタをする演技の仕方(ビンタの振り)を何度もしながら指導していたので、ビンタに対して ”慣れ” というのもあったのかもしれない。

 スミス自身はフィラデルフィア出身で、歌手のピンクもフィラデルフィア出身。ヤンキー色が強い市でもあるので、血が騒ぐ気質があるのかもしれない。ただ、ウィル・スミスはいい気になっていたと思う。テレビカメラを前にしたインタビューでも、過去インタビュアーを突き飛ばし、今度はアカデミー賞授賞式でプレゼンターのクリス・ロックにビンタし、席に戻ってからも放送禁止用語を発して口汚く罵るさま様は、決して大げさでなく地獄絵図だった。どれだけ周りの空気を悪くしただろう、そして茶の間の視聴者を。

 個人的にはアカデミー賞主演俳優賞をはく奪してもいいと思う。オリンピックならドーピングが判明すればメダルは即はく奪される。公然と人前でテレビの前で人に平手打ちを喰わせることは、謝ってすまされることではないことを、ウィル・スミス自身に知らしめる必要はあると思う、それに社会への警告として。

(Photo:TechCrunch-https://commons.wikimedia.org/wiki/File:TechCrunch_Disrupt_2019_(48834434641)_(cropped).jpg)

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