電気圧力鍋で即効調理!圧力鍋が怖いと思う方にボイラー技士が仕組みを解説

  by 古川 智規  Tags :  

圧力鍋というと時短便利調理器具という反面「怖い」「爆発しそう」「不安」といったイメージが女性を中心に多いのも事実だ。
それにはさまざまな理由があるが、それは後述するとして今回は面倒なことをしなくてもよい、ちょっとオシャレな電気圧力鍋、A-Stageが販売する「Re・De Pot(リデ ポット)を使ってみたのでレビューする。
実際の調理例は後半に記述するが、圧力鍋は怖いと思われる方のために二級ボイラー技士免許を持つ記者が仕組みを前半で解説するので不安な方はそちらからお読みいただきたい。

圧力鍋の仕組みをボイラー技士が解説!

では圧力鍋の仕組みを二級ボイラー技士の免許を持つ記者が偉そうに解説しよう。とはいえ実生活でよく見る現象ばかりなので偉そうに語っても大した内容ではないので安心していただきたい。また理論上の話が多いため、この項は参考程度に不安を感じない方は読み飛ばしていただいて構わない。

圧力鍋の原理とは、大きなもので言えば火力発電所や蒸気機関車、小さなものであればヤカンと同じ原理だ。水の沸点は大気圧では摂氏100度。これを超えることはできず水は水蒸気となり膨張する(体積が増える)。膨張した水蒸気は逃げ場を求めてヤカンなら注ぎ口に向かっていく。それでも追い付かなければヤカンのふたを押し上げて逃げようとする。このフタを動かす力をもっとためてピストンを動かすようにしたのが蒸気機関車で、逃げ場を求めて集まった水蒸気を羽根に当ててタービンを回して発電するのがか火力発電所である。全部同じ仕組みだ。

逃げ場を求めて動力となりうる水蒸気の逃げ場を完全にふさげば今度は容器内の圧力が増していく。高圧になれば沸点が上がる。つまり水は摂氏100度では沸騰せず圧力によりそれ以上の温度まで上がることを意味する。よってジャガイモでもカボチャでも100度以上の水でかつ圧力の高い状態で煮れば短時間で食材の中まで浸透するので、時短になるというのが圧力鍋の利点である。

であればいくらでも高圧にしていけば高い温度で超高圧な状態で一瞬で調理が完了してしまうよいことだらけだ。ところが、蒸気機関車を動かししてしまうくらいのエネルギーがあるのに際限なく圧力を上げていくと今度は容器が耐えられなくなり破裂する。ちなみに爆発ではなく破裂という。

圧力容器というのは金属で作っていても圧力の限界を上げることは難しく、ボイラー級の圧力を得ようと思えば圧力鍋の厚さが数センチメートルになってしまう。そんな鍋は重くて持てないばかりか、製造費用が高額になり費用対効果が薄れ現実味はない。

ではどのあたりが適当なのかというと、今回レビューするA-Stageが販売する「Re・De Pot(リデ ポット)は定格圧力が83kPaだ。これはゲージ圧力と言い大気圧をゼロとした時の相対圧力なので、絶対圧力を計算すると184.325kPaとなる。これではどれくらいの圧力なのか分からないので、気圧に変換すると約1.82気圧である。この気圧では理論上、水の沸点は摂氏117.65度に達する。煮え立つお湯よりも高温で、大気圧の1.8倍の圧力で煮炊きすればご飯は約6分の加圧で炊きあがる(減圧時間は除く)。

圧力鍋が怖いと思われる理由は前述の破裂事故にある。圧力を上げ過ぎれば容器が破裂するので逃し弁や安全弁を装備して定格圧力以上にならないようにしなければならない。もちろん法律に基づいて細かい安全基準がありそれを満たしているのでマニュアル通りに使用している上では安全と言える。

通常の圧力鍋はガスコンロ等の火加減でコントロールする。圧力が上がるとSLと同じように弁から蒸気が噴き出す。この見た目と音も怖さの理由なのかもしれないが、本品は火加減を電気で自動調整しているので圧力が上がり始めた時は蒸気が噴き出るが、圧力表示ピンが上がると音も蒸気も見えなく聞こえなくなる。よって普通の電気鍋を使用する感覚でデジタル表示を見ておけばいいという怖さを覚える女性にも安心で親切な設計だ。

伝熱面積や種類により異なるので一概には言えないが、本品より少し上の圧力の温水ボイラーだと、ボイラー技士の免許や講習・特別教育を受けたものしか取り扱えなくなるくらいの高圧であることには変わりがないので、安全に取り扱うためにマニュアルに記載された注意書きは順守していただきたい。

男のおこわもどき

さて、お勉強が終わったところで調理に取り掛かろう。面倒は嫌いなので材料を全部投入して調理するだけだ。今回は「男のおこわもどき」を作ってみた。
材料は写真の通り、スーパーで割引になっているものだけを購入した。新たまねぎ、生しいたけ、ステーキ用牛肉ともち米が原材料のおかき。コメは無洗米でざっと洗うだけの手間いらずだ。今回はコメ2合で作ってみた。計量カップも付属しているので簡単だ。

電源コードをつなぐと電源が入りレシピブック通りに作るオートモードとマニュアルモードで調理時間を設定する。今回はマニュアルで10分程度の圧力調理で十分だ。

材料を適当に切り刻む。ステーキ肉は切ってもいいが1枚まるごとで構わない。この時にたまねぎとしいたけ各1個は別に取っておく。スープに使うためだ。

コメと規定量の水を入れてその上に切った材料とおかきを入れる。おこわはもち米で炊くものだが、わざわざ用意するまでもないので、もち米から作られたおかきを投入することにより圧力鍋で溶けて餅になり、ご飯と混ざっておこわ風になる。
調味料は適当に。塩や醤油でいいだろう。

材料が投入できたら、圧力調理モードで加圧する。

右側の圧力切替弁は密封位置に、中が沸騰してくると左の圧力表示ピンが上がるので、そこからは内部では加圧されていると判断できる。火加減は自動制御されているので何もすることはない。本機からアラームが鳴り、調理終了が告知されるがまだ中の圧力は高いため自然に温度が下がり圧力が下がるのを待つ。減圧され大気圧とほぼ同じになるとピンが下がるので、こうなれば容器を開けても大丈夫だ。

焦げてしまったのはごはんではなく、おかきが材料の餅だ。ステーキ肉は簡単に切れる程度まで柔らかくなっているので、この状態でしゃもじを使えば肉もたまねぎもいい具合に混ざる。

実際にはもう少し短い時間でも十分にできていたのかもしれないが、焼餅になってしまったところでそれはそれで美味しいのでよしとする。そしてご飯は2合だが全体の量は多いので、出来上がったおこわもどきを肉をひと切れとともに少し圧力鍋の中に残しておく。

同じ材料と残したおこわでスープリゾット

圧力鍋のお釜に残ったおこわもどきに適当な量の水と、残しておいた新たまねぎまるごと1個を切らずに、刻んだしいたけを投入し、調味料を入れて再度加圧調理する。時間は適当に5分でも10分でも、調理時間は伸びるが試しながらやってもよい。調味料に七味を加えればピリ辛になるし、塩だけにすればプレーンに近いオニオンスープになる。

圧力鍋で調理した玉ねぎはすぐにでも溶けてしまいそうなくらいに柔らかくなっているが、形が保たれているのが特徴だ。またご飯も餅になったおかきも少量入っているので、オニオンスープのように見えるが実際はスープリゾットになっている。

これで調理回数は2回だが、材料の調達は1回で時間も30分以内なので男性でも簡単にそれなりの食べ応えのある料理ができる。
カラーも3色あり女性にはオシャレで食卓に置いておける便利な調理器具だ。しかし男性目線から注文を付けるとすれば、せっかくのデジタル表示があるのだから圧力計や温度計を装備してほしいところだ。遊び心に過ぎないが内部の圧力や温度が上がっていく様を数値として見ることができれば男性の多くは鍋の前から動かなくなることだろう。
工夫とアイデア次第で付属のレシピブックに掲載されている立派な料理から、記者が作った見た目はどうでもいい、ただ美味しくがっつり食べる男料理まで自由自在なので、ぜひ挑戦してみてはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影

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