雇用は戻ったと言われているが 未だに仕事にあぶれた人が多いニューヨーク

  by あおぞら  Tags :  

 真面目なハナシ、生きることは大変だ。大人になれば働き、やがて結婚して、子どもに恵まれ、母親は子育てをしながら仕事も同時並行でするケースも多い。仕事が順調ならいい、夫婦仲が円満ならいい、子どもが良い子に育てばいい。

 …これらが出来れば理想の家庭、絵に描いたような幸せな日々であろう。しかし、そうは問屋が卸さないのも現実。離婚して母親が親権を持ち、働きながら育てていても、特にコロナ下の経済の低迷は非情に解雇される。こういう時勢なので仕事にあぶれる人たちの再就職は、恐ろしい程に困難を極める。母親が大黒柱の母子家庭では、仕事が見つからない焦りはより深刻である。

 日系社会にも大打撃である。バブル期には引く手あまただった貴重な日本人は、今や昔ほど重宝されず日系企業は日本人よりアメリカ人の採用に切り替え、また日本女性が主戦場だった日系企業の役員秘書や、総務職はアメリカ人へと変わる傾向にあり、総務職のポジションすら廃止してしまう企業もある。

 経費節減を徹底すると、利益を生み出す営業部隊には予算を増やしても、直接利益を生まない総務職を省こうという流れで、一社が先陣を切ると、右へならへの風潮が日系社会に見られるようだ。

 ニューヨークでの仕事探しは、日本人はパソナのような人材派遣に登録して仕事を紹介してもらうのが多い。この日系の人材派遣はニューヨークの中心のマンハッタンに少なく見積もっても10社はある。

 景気後退で日系企業は縮小傾向気味である。仕事にあぶれた人たちが人材派遣に多く登録しても、肝心の仕事自体が減っているので、ひとつの仕事を得るのに、大袈裟だがオーデション状態でまさに買い手市場である。

 企業からリストラの場合は失業保険を受給できるが、受給期間は決まっているし、受給額も以前の給与額を下回るため、前給与額でカツカツの生活をしていた人たちには、更に苦しい生活を強いられることになる。彼等には落ち度はない。コロナ下で経済が干上がり、そのしわ寄せが日系社会にも及んでいるのだ。

 ニューヨークの街は今も空き店舗ばかりが目立つので、メディアでは雇用は戻っていると報道されても、その実態は感じられない。空き店舗の多くは飲食業、ネイルサロンも、ビタミンショップも、あっけなく閉業し、その店舗は未だに空のままである。

 漁場でも大漁で大もうけの年もあれば、不漁で不安になる年もあるように、いつか経済も明るい兆しを見せ、日々の暮らしを心配することなく、過ごせる日がくれば良いのだが、こちらニューヨークの現状は、雇用は戻ったと言われている割には、未だに街に活気は戻っていない。

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