伊藤忠商事は2020年~2021年の商社ランキングで、三菱商事に次いで2位。3位は三井物産でした。日本の商社のスケールは大きく、支社は世界各国にあります。商社は『商い』のプロですね。そのプロの伊藤忠商事のホームページには、こんな読み物があります。(引用先:https://www.itochu.co.jp/ja/about/history/oumi.html)
近江商人と三方よし
近江商人の経営哲学のひとつとして「三方よし」が広く知られている。「商売において売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそよい商売といえる」という考え方だ。滋賀大学宇佐美名誉教授によれば、「『売り手によし、買い手によし、世間によし』を示す『三方よし』という表現は、近江商人の経営理念を表現するために後世に作られたものであるが、そのルーツは初代伊藤忠兵衛が近江商人の先達に対する尊敬の思いを込めて発した『商売は菩薩の業(行)、商売道の尊さは、売り買い何れをも益し、世の不足をうずめ、御仏の心にかなうもの』という言葉にあると考えられる。」とのことである。
商社はハッキリ言ってカッコよいです。ですから、この『三方よし』の実直な近江商人の教えがしっくり入ってきません。そこで、通天閣の下にある立ち食いうどん屋の『三𠮷(さんきち)うどん』をご紹介したいと思います。
このうどん屋のニュースは民放在阪局で年末取り上げられています。 昨年の大みそかも取材されていたようでYouTubeに既にアップされていました。(ABCテレビニュースより:https://www.youtube.com/watch?v=Qhk33Z5pAas)
『三𠮷(さんきち)うどん』のかけうどんは1杯170円。 昨年、小麦粉が高騰しても、この価格は16年据え置きだそうです。朝の5時から仕込みをするのは、2代目の岸野友和店主(54)。両親が始めたうどん屋を21年前、33歳の時に引き継いだそうです。9時開店から閉店時間までは、奥様のみどりさんと夫婦で切り盛りされます。奥様は若々しくてステキ…
新世界に住む67歳のおっちゃんは、20年間、ほぼ毎日うどん屋さんに通い続ける常連さん。食べるのは決まってきざみうどん(油揚げを切ったものとネギ入り)。
ここで店主はカメラに向かってこう話し始めました…. 「ある意味、あのお客さんが来てくれはったからコロナ中でもずっと店を開けてた。お客さんの生活の一部になっているんで、やっぱり、休むわけにはいかんな…」と。
67歳のほぼ毎日来るお客さんもいれば、昨年の年の瀬取材でインタビューされたのは27、8年ぶりに訪れたお客さんで、この男性は30歳の頃は毎日通っていたそうです。あれから27、8年経過すると三十路の男性は、しっかり還暦前のおじさんでした。
お客さんは多種多様で、生活困窮者に見える男性もいれば、年末の帰省で大阪に戻り懐かしく立ち食いうどんを楽しむ若い家族、京都から通天閣へと職場を変えた人力車を引く男性、また、竹中工務店の方々の姿もあり『珍しい…』と思うのですが、なんと通天閣の3階から地下迄、ぐるぐるのすべり台『タワースライダー』が出来るようで、請け負っている竹中工務店の技術者方々が作業服を着てカウンターに並んで黙々と食べておられます。
新世界の重鎮と言える『串カツだるま』の上山勝也会長(60)は年の瀬の恒例行事として、このうどん屋さんに来られるようです。朝日放送の記者のインタビューにこたえる映像から、食べていらっしゃるのはそばでしたので、年越しそばだったのでしょう。
このニュースは本当に心を温かくさせてくれました。生活困窮者も有名飲食店の会長も、手ごろな価格のうどん・そばを味わえるのです。まさに、近江商人の心得の『買い手によし、売り手によし、世間によし』です。
近江商人の商売を学んで実践しておれば、企業の不正などは起こる筈もありません。
大阪にお出かけの際は、三𠮷(さんきち)うどんにお立ち寄りくださいね。商売の基本が学べ、きっと体も心💗も温かくなるはずです。
●三𠮷(さんきち)うどん●
大阪市浪速区恵美須東1丁目18−6
営業時間:9時~17時迄で、水曜日は定休日
水曜日は定休日でお休みがあることを知り、安心しました、よかった、よかった~😋