アメリカでブラック企業に直面したら……..❓

  by あおぞら  Tags :  

 こちらアメリカでは『コロナ下でも求人が持ち直している』とウォール・ストリート・ジャーナルの見出しにあった。しかし、記事内容は、レイオフされている状態が一息ついての職場復帰であったりと、好景気の求人率が上がっている状況とは極めて異なる。

 アメリカでは、特に都市部のニューヨークやロサンゼルスの日本人が仕事探しをする際、パソナ等の民間の人材紹介所を利用するのが主流。社員としてして就職する、または、派遣社員の形態を選ぶとか、そこは登録者のニーズにあった仕事探しができる利点がある。

 人材紹介所を通しての就職はかなり難しい。理由は求人案件1件に対し、多くの人たちが殺到するからだ。これは日本とておなじだろうが、こちらアメリカでは日系企業数が圧倒的に少なく、その割に在米日本人は多いのだ。例えば一流商社に採用される場合は、履歴書選考を経て、第一次面接、第二次面接、第三次の最終面接まで進んで最終結果が出る。3度もその商社に足を運び、毎回違う人たちとの面接だ。

 一次面接では日本人が3人に、アメリカ人が一人で英語の実力が試される。もし、アメリカ人との面接の受け答えがキチンと出来ていないとその時点で落とされると思っていい。

 二次面接では一次面接を担当してくれた日本人の役職の高い方と、人事部のアメリカ人の二人体制で進められ、最後にその部署の責任者の日本人が顔出しして、言い方は悪いが面接者を品定めする。

 三次面接では、別のアメリカ人の人事の人、そして役職が更に一歩上がった日本人も登場する。長き、長き、道のりだ。『よ~く知っているなぁ?』とお思いであろうか? そりゃそうさ、私自身の体験談である。

 結果? 残念でした❣

 このような七面倒な面接の手順は全部人材紹介所が踏んでくれる。面接者はただ面接の日時を待つだけでよい。….と言っても3回も面接に足を運ぶ時、スーツは変えた方がいいか?と悩む。一次面接には勝負スーツで望むが、二次面接も同じスーツなら相手の印象はどうだろう?と、チマチマ悩むのである。

 さて、では人材紹介所を通さない求人案件もある。Indeed に “Japanese Bilingual” と在住の州を打ち込めば、瞬時にリストが現れる。

 では、もっともブラック企業に当たる確率の高い求人方法をお知らせしよう。それは日系コミュニティーのサイトに掲載されている求人広告で、Indeed にはきちんと年収や時給が明示されているが、こちら日系コミュニティーサイトには金額の提示がないのが殆どだから、ほぼ、最低時給と思っていい。

 こんな話を聞いた。ある日本人が子育てがひと段落して、仕事を再開しようとしていた。その方はニューヨークの大手日系企業勤務経験があったが、求職を再開した当時は40代後半。人材紹介に登録はするものの、年齢やまた仕事を離れた期間が長かったため、正社員も派遣の仕事すら紹介してもらえなかったと。

 しかし、やはり働きたい気持ちが強く日系コミュニティーのサイトに格下げして就職活動を始めたら、面接で訊かれたことは「結婚していますか?」「子供はいますか?」と。これはアメリカでは面接で訊いてはいけない質問‼ アウト、アウト、アウトなのである。

 要するに子供のいる女性は、子供の具合が悪かったり、子供のことで仕事を休むことが独身者に比べ多いため、それを知りたいだけなのだ。その方は採用されたが、丁重に断ったとのことだった。こういう面接から違反だらけのブラック企業に就職してもロクなことはないから、採用から『即刻辞退』は賢い選択だったと思う。

 他の方からの声も聞いた。先述の女性と同じく暫く仕事を離れていて、求職再開しても人材紹介所や Indeed で引っ掛からなかったため、ブラック企業案件満載の日系コミュニティーのサイトで仕事をみつけたら、9時5時の契約なのにスマホに9時前、終業後の5時以降、バンバン仕事のテキストが入ったそうで、その時間外労働の対価は支払われなかったそうだ。勿論、その方もその見事なブラック企業を辞めた。

 ある人も同じ経緯で仕事日系コミュニティーのサイトで見つけたら、仕事以外の時間帯に平気でメールしてきて、仕事の話し合いを終業後の6時に提示され、時給のあるなしを訊いたら「ない!」のこと。その方も即刻その会社を辞められたそう。

 上記の方々は、ブラック企業の判断がすぐついたので、ブラックを避けることが出来たが、例えば経験の少ない、若い方々でしかも素直で従順な働き手が、労働法を知らないとしたら、ブラック企業の餌食となり、就業後も残業を強いられ対価は支払われず、勤務日以外に平気で個人メールに仕事のメールを送信されて、気の毒に仕事をさせられる羽目になる。

 大手企業なら人事部に問題を相談できるが、ブラック企業には人事部はほぼない。社員数は数人の零細企業だ。どこにも文句の言いようはないし、そもそもブラック企業勤務の人たちは労働法を遵守する以前に、その労働法を知らない!ブラック企業の社員たちは頭は無知、真っ白ホワイトなのだ。

 ブラック企業に直面したら、その対処方法を考えよう。アメリカは言うまでもなく法治国家である。州の労働局に苦情を申請すればいい。もしくは首都の労働本局にファイルすればいいのだ。イヤな出来事から学ぶこともできる。ブラック企業撃退はアメリカ政府を味方につければいい。

 悪に対して戦う勇気もきっと経験になるだろう。

ニューヨークから発信しています