ウマ娘で学ぶ「子供のやる気を引き出す方法」とは?

ウマ娘とは?

『ウマ娘 プリティーダービー』(ウマむすめ プリティーダービー)は、Cygamesによるスマートフォン向けゲームアプリとPCゲーム、およびそれを中心としたメディアミックスコンテンツ。略称は『ウマ娘』。

ジャンルは育成シミュレーションゲームで、競走馬を萌え擬人化したキャラクターである「ウマ娘」を育成し、「トゥインクル・シリーズ」と呼ばれるレースでの勝利を目指すという内容。

参照元:wikipedia

話題になっていたのでやってみたのですが、結構面白いです。また年配者の方ですと競馬に興味のある方が多く、話題造りとしても優秀なコンテンツだったりします。

それだけではありません。競走馬の擬人化というテーマのため、登場キャラは基本的にアスリート的なキャラです。そこには天才や努力家。あるいは名馬の血を引く、文字通りの「サラブレッド」が存在し、それぞれの人間性が非常に丁寧に描かれています。

そんな中でも一際異彩を放つキャラがいるのですが、それが一体誰かといいますと、

ナイスネイチャ

です。

ナイスネイチャ(競走馬)とは?

1990年に中央競馬(JRA)でデビューし、1996年に現役を引退するまで41戦7勝の成績を残し、うち重賞を4勝。GI戦線で長らく活躍し、3着が多い「ブロンズコレクター」として人気を博した。1991年から1993年の有馬記念では3年連続3着という記録を残した。2021年4月現在、存命中のJRA重賞勝ち馬の最長寿記録(牡馬)を更新している。主戦騎手は松永昌博。馬名は英語で「素晴らしい素質(Nice Nature)」の意。

参照元:wikipedia

何故異彩なのかというと、前述のとおり、登場するキャラの多くがアスリート的な思考の持ち主。即ち「負けず嫌い」「ポジティブ」。あるいは一見穏やかに見えても「内に秘めたる闘志」といったものがあるのですが、そんなキャラとは対照的に、

自虐的、ネガティブ

しかし、個人的にはこの性格は非常に注目すべきだと思っています。何故ならスポーツのみならず、勉強、もっといってしまえば学校生活で苦しんでいる子の特徴を彼女は代弁しているといってもいいからです。

※競走馬としてのナイスネイチャは牡馬ですが、ゲーム中のキャラは女子なので、便宜「彼女」という表現を用います。

自己肯定感が低いキャラ


競走馬としてのナイスネイチャは「ブロンズコレクター」の異名をとるように、善戦はするが勝ちきれない馬という評価でした(いわゆる「善戦ホース」)。

そんなエピソードを基にしているため、ゲーム中の彼女はひたすら自己肯定感の低いキャラとなっています。また実際の競走馬で同時期に活躍したトウカイテイオーが天才。そして自分は決して届かない存在として、憧れとも嫉妬とも思える複雑な感情を抱いているわけです。

「自分には無理」
「努力しても無駄」

努力が嫌い、というよりは諦めてしまっている。その一方で、才能のある子は努力すればするほど力を発揮する……。

努力を美徳とする大人達はそんな両者を常に比較し、前者を「やる気がない」「怠け者」と叱る。逆に後者は「努力家」「模範生」として褒めたがります。

しかし前述のとおり、決して彼女はやる気がないわけでもなく、努力を否定しているわけではありません。

諦めてしまっている

のです。例えていえば、穴の開いたバケツで海水をひたすらすくい続けるような「苦行」が出来ないと考えている……。

そんな彼女に対し、如何に「努力が実を結ぶか」を伝えるか。もっといってしまえば「自信をつけさせるか」がストーリーのメインテーマとなっていきます。

まずは出来ることから

トップクラスのレースではエリート達との実力差を見せつけられ、心が折れてしまう……。

そんな状況を打開するため、一旦はG1戦線から離れ、G3で勝つことを目標に切り替えるのですが、実際の勉強でも同じようなことがいえるのではないでしょうか。

単に「勉強しろ」と怒鳴る。あるいはゲームや漫画を取り上げれば勉強すると思うのは大人の一方的なエゴです。本人は勉強が嫌いなのではなく、勉強を始めたら始めたで、

「何時間勉強したんだ?」
「何でテストの点数が悪いんだ?」

同じ勉強時間をすれば、誰でも同じような成果が出ると思っている。あるいは勉強が出来る子の倍、勉強をすれば断トツで一番になれるとでも思っているのでしょうか?そんな身勝手な要求に対し、ハッキリ「無理」と言っているわけです。

だとすれば、

「一体、どう勉強すればよいのか?」
「何故、一生懸命勉強しても点数が低いのか?」

これが分からない場合、いつまで経っても勉強はしません。その一方で、ゲームはいつまでもやり続けます。理由は簡単で、

やればやっただけの成果が出るから

例えばRPGの場合、敵をたくさん倒せば経験値が積み重なり、レベルアップとなります。そうなれば強い敵と戦ったり、様々なダンジョンやイベントにもチャレンジできるようになります。

一方、勉強はどうでしょうか?たくさん勉強をすれば経験値が集まるがごとく、成績は上がるでしょうか?残念ながら答えはNOです。ゲームでも、例えば最初の敵がなかなか倒せなかったり、あるいはクリア寸前で何度もゲームオーバーになってしまった場合、どうでしょうか?結局ゲームに飽きてしまう。

結果、そのゲームはもう二度とやりたくないと思ってしまいますよね。この場合、まず1面をクリアする。あるいは1面より2面が簡単な場合はこちらがまず1面をクリアし、2面からプレイさせてみる……。

そうすることで、実際にクリアできる感覚を味わうことが出来ます。そうなるとゲームのコツが分かってきて、結果として全面クリアできるようになるケースがあります。そして勉強の場合、このような状態。即ち「最初の1面がクリアできずに挫折してしまう」あるいは「2面が1面より簡単というのを知らない」というケースが決して珍しくないのです。

つまり「やればやっただけの成果が出る」という感覚を如何にして本人に掴んでもらうため、周囲のサポートが欠かせない。ゲーム中のシナリオでは、

レベルを下げてもいいので、まずは勝つこと

そして、それによって自信をつけさせることが最優先課題という形で進んでいきます。

所詮は理想論

もしこれを読んでいるあなたが、

「そんなの理想論に過ぎない」
「甘ったれるな!」

とお考えであれば、ここから先は読まないでください。ハッキリ言って、

時間の無駄

なので。「説教」であなたの自尊心が満たされるのであれば、それ以上言う事は何もありません。

自分の成長は気づきにくいもの

さて、ゲームのシナリオでは小倉記念の後、再びトップレースへの復帰となります。最初の敗北とは打って変わって大勝利。それもトップクラスのレースで。受験勉強でいえば偏差値40から一気に60~70になるようなものです。

しかし、こういった成果って実際に模試の結果が返ってくるまでは分かりませんよね。たとえ模試を受けた時点の偏差値が70だとしても、実際に受けている間は「どうせ自分の偏差値は40」という感覚なので。

そのギャップ、あるいはタイムラグを補うために必要なのが「小さくても結果を出すこと」。例えば小テスト等で、

「この問題が解ければ偏差値50」
「知ってるだけで模試の点数が10点UP」

こういった問題を、実際に解けるという感覚が身につくまでやらせる。分量が少なかったり、あるいはわずかな時間であっても実際に正解。あるいは得点できたという感覚は本人に対して大きな自信をもたらします。

そして、その問題を解けたならばとにかく褒めること。動画の中にはしばしば「紙のトロフィー」というものが登場しますが、実際に努力をしたこと。そして不完全であっても成果を出したことは、しっかりと褒めることが重要です。

褒める=チヤホヤするではない

先生の中には、残念ながら「褒める=チヤホヤする」。そして、チヤホヤすれば本人が調子に乗りはじめ、人格形成に支障をきたすと思っている。あるいはいい結果を出した時こそ「調子に乗るな!」「まだまだこんなんじゃダメだ!」と叱ることが美徳だと思っている方が少なくありません。そうではなくて、

ちゃんと認めてあげてください

偏差値が50の子に対し「70はいける」と嘘をつく必要はないのです。しかしそれと同様に、偏差値が50の子に対し「40のくせに」と否定してはいけない。

嘘をついてはいけないのです

嘘をついて褒める、つまりチヤホヤすることはダメですが、嘘をついて叱る。即ち「ネチネチ説教」もまた、プラスではなくマイナスの行為なので。

子は親のアクセサリーではない

なぜ「勉強しろ!」と叱るのでしょうか?本人(親)曰く、本人(子)の将来のためだといいます。

本当にそうでしょうか?確かにスポーツだとか、あるいはYouTubeで食っていくと考えている子の中には「学校不要論」あるいは「勉強不要論」を唱えるケースは存在します。

いじめや発達障害等、学校という組織に馴染めないケースならそれも一つの価値観かもしれません。しかし、そうでない場合、それは自ら将来の選択の幅を狭めてしまっている。したがって、大人が軌道修正させてあげる必要はあるでしょう。

一方、

子供の成績が悪いと親である自分の世間体が悪い

テストの点数が悪い場合、その原因を考えることもなく、ひたすら怒鳴る人がいます。本人のため、厳しく育てることがプラスになると思っているつもりでしょうが、果たして本当にそうなのでしょうか?

結局のところ、子供の成績が自分の「子育て偏差値」のように思っている。あるいはスポーツの勝敗が指導者の指導力として評価されると思う。その結果、自分の思い通りにならないと「俺の顔に泥を塗った」と言わんばかりに激しく怒り出す……

自分の評価を子供に背負わせている

です。

動画でも言及されておりますが、トレーナーの将来をウマ娘に背負わせる行為です。実際の子育てや教育、あるいはスポーツの世界ではこのようなケース、思ったよりも多いのではないでしょうか?

子供は親のアクセサリーではありません。生徒も同様です。優秀な生徒は教師の引き立て役ではないのです。

一流の勝者は一流の敗者たれ


3年目の有馬記念、当初のライバルというより「絶対届かない存在」であったトウカイテイオーに対し、無事リベンジを果たします。勝った方としては非常に嬉しい。

しかし負けた方としてはどうでしょうか?大一番、それも自分が負けるはずがないと思っていた相手に負けた時の悔しさは言葉では言い表せない程でしょう。

しかし、そこで負けた言い訳。あるいは勝った相手を貶めるような発言はありません。まず勝者に対して勝利を褒め称える。そして、今度は自分が勝つと、既に前を向いている……。

良き敗者になれない者は、良き勝者にはなれない

挑戦者として勝った次に待っているのは新たな挑戦者であり、これまでの追う立場から今度は追われる立場となります。むろん、勝ち続けることは大事です。しかし、いつかは負ける時が来るでしょうし、あるいは無敗のまま「引退」をしなければならない時が訪れます。

なかなか勝てないときは多くの場合、勝者から学ぶことが多いでしょう。しかし実際に勝った時。あるいは勝ち続けている時はむしろ敗者から学ぶことが多いのかもしれません。

おまけ


ゲームのクリア動画です。基本的に無課金でプレイしたのですが、その中では結構頑張った方だと思います。

ひが光司@朝食旅人

早起きのためにホテルの朝食巡りをはじめ、「金なし、コネなし、キャリアなし」の状態から朝食会をはじめとする交流会を100回以上開催。 「名刺、自己紹介なし」をコンセプトに出会った相手はごく普通の人からベストセラー作家、カリスマセミナー講師まで500人を超える。   現在は「初対面の相手と「名刺、自己紹介なし」で2時間話す方法」のコミュニケーション方法も指導中。最近、-15kgのダイエットに成功した。   ブログ「東京ホテル朝食日記」(https://ameblo.jp/hotelmo/)は2008年より連載。 電子書籍「ブログが続かなかった私が10年間ブログを書き続けてみてわかったこと」amazonランキング1位獲得(オンラインマーケティング部門)

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