究極のアジフライ「鯵王」製造プロジェクト開始!家庭でもできるシェフのフライ方法も伝授

  by 古川 智規  Tags :  

鳥取県境港市のアジフライカンパニーである角屋食品は、これまで時期や採算の問題で実現できなかった究極のアジフライづくりに挑戦すべく「鯵王」製造プロジェクトを始動した。これに合わせて本プロジェクトによる究極のアジフライ「鯵王」を2021年8月8日までクラウドファンディングMakuakeにて先行販売している。お届けは9月末までの予定だ。
新型コロナウイルスの影響で、昨今の外食産業は大打撃を受けているのは承知の通り。しかしながら家にいても美味しいものを食べたいという日本人の欲求は通販でのお取り寄せへと向いているのも事実だ。そんな美味しいお取り寄せの一例として、このアジフライを食べてみたのでレポートする。

アジフライは多くの人に愛されている一方で、アジと衣のみという洋食でもなく和食でもなく、なんとなく定食屋の定番という域を脱せず、しかしそのシンプルさゆえに美味しくすることは簡単ではない。アジフライカンパニーを自認する同社では、そんなアジフライを「もっと美味しくできる、もっと感動してもらえるものにできる」との思いで産地や原材料、手作業にこだわり「より多くの人に喜んでいただけるように」とアジフライを作り続けてきた。作りたくてもかなわなかった究極のアジは「鯵王」というブランドアジである。

「鯵王」は鳥取県・境港(さかいみなと)産で5月-7月に採れる旬の限定アジ。刺身でも食べられるほどの新鮮さと、同社が普段使用するサイズの2倍の大きさで脂質含有量を1尾ずつ測定・選別し、約1/1000の確率で出現するアジを使用する。

1尾ごとに丁寧にパックされたアジフライは冷凍で届く。かなり大きいので、一人1尾で十分な食事になる。

今回はせっかくの高級アジなので、記者が調理するのではなく都内一流ホテルの中華料理シェフに家庭用の調理器具で揚げてもらうことにした。プロの技とコツを伝授するので参考にしていただきたい。

1尾がどれくらい大きいのかというと、まさに手のひらサイズで、冷凍状態でもかなり分厚い。凍ったこれほどの厚さのモノを上手にフライにするのも一苦労だが、そのコツは「いつまでも鍋を火をかけておかないこと」だった。

ちなみにこの写真は、左側がプロに言わせると失敗作だそうだ。あえて家庭でフライにするとこうなるという見本だそうだ。右側は衣が立ってアジフライ全体が明らかにふっくらと膨らんでいる。こうなるのが正解だそうだ。
冷凍のアジフライを火をつけたまま高い温度で揚げてしまうと、せっかくの衣についているパン粉が開く前に表面が固まって揚がってしまい、中に火が通るころには表面が揚がり過ぎになってしまう。よってアジがふっくらと膨らむのを阻害してしまい、ぺったんこのフライになってしまう。もちろん素材が良いのでこれでも美味しかったが、ちょっともったいない。

あえて火力として使用したのはカセットコンロ。鍋は以前に記事で取り上げたことがあるが、絶対に焦げ付かないことを記者が実証済みのKALOS BEAUTY TECHNOLOGYが販売する家庭用の「スライパン 5点セット」のうち18cmポットだ。これで1尾ずつフライにする。油は半分くらいで十分とのこと。
油の温度は160度くらいから揚げ始めるのが良いそうだ。最終的には途中で火を入れることにより160-180度で揚げることになる。温度がわからないだろうが、熱伝導の良いこの鍋の場合は普通のサラダ油を鍋に投入してカセットコンロに火を入れて2分は必要ないとのことだった。2分待たずに火を止めてしまうのがミソなんだそうだ。そうすることにより油の温度管理がしやすく家庭での失敗が少ないという。

揚げ具合は家庭ではたいていが色で見るのだろうが、プロは音で判断するそうだ。シュワシュワという初期段階の音は水分が出ているときで、それが高い音に変わる寸前に引き上げてしまうのが良いタイミングとのこと。途中で油の温度が下がり泡が出なくなるが、その時にはじめて火を入れて温度を上げるのだそうだ。しかし音が変わる前と言われてもわからないので、明らかに高音に変化したら上げてしまって構わないらしい。そのあとは油の余熱でフライがゆっくりと進行するので、高い温度で揚げ始めるのは厳禁だ。

途中で揚げている面をひっくり返すが、これはアジフライが浮いてきたタイミングでよい。両面を揚げているうちに色がこんがりきつね色に変わり、アジフライが膨らんでくるのがわかる。

シェフによると食べなくてもかなり良いパン粉を使用しているのは分かるとのこと。衣の立ち具合で材料の良し悪しがわかるのだそうだ。

揚がったアジフライを切ってみた。身も衣もふっくらとしていて、美味しそうだ。大きく分厚いので食べ応えあもありそうだ。油から引き揚げた後にキッチンペーパーに置いても、油がちゃんと切れていると余熱で中身まで熱が通り、余計な油もほとんど落ちない。

実際に食べてみると、ソースも醤油も不要と思えるほど味が濃く、ある程度の塩味が効いているのでこのままで食べても良い感じだった。ふっくらとしたアジの身はジューシーで適度な脂がじゅわっと出てきて、衣はサクサクで身からはがれたりはしない。揚げ方が悪いと揚げ油の切れが悪く衣に残り、せっかくのアジの脂が台無しになるのでプロの技を家庭でも実践して、美味しいアジフライを楽しんでいただきたい。ご飯のおかずにはもちろんだが、ビールのおつまみとしても申し分ないのでお試しいただきたい。

※写真はすべて記者撮影

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