平和無きスポーツの祭典「東京五輪パラ」のコロナとの闘い

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 3度目の緊急事態宣言は2021年4月25日(日)から2021年5月31日(月)までの延長に決まった。政府は2021年4月23日に東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に「基本的
対処方針分科会」に尾身茂会長は政府方針が見直され「北海道、岡山、広島について改めて『ステージ4』と判断される」ことから「まん延防止等重点措置」に該当する処置には禁物だ。

特措法改正で「まん延防止等重点措置」「緊急事態宣言」の違い

【©️Yahoo!JAPAN】

 その緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の政府間せめぎ合いの中で、決まった新型コロナウイルス感染症の世界的パンデミックで、日本でも3度目の緊急事態宣言が発令された。2021年3月30日(スイス時間)に国際オリンピック委員会(IOC)臨時理事会が東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催日程を決定。各、令和3年7月23日〜同年8月8日。パラは同月24日から同年9月5日までとなる日程だ。
 衆議院議員の中谷一馬氏が第204回国会本会議第88号(令和4月13日)において質疑し、内閣総理大臣の菅義偉氏から開催日程及び東京五輪パラの安全な大会運営を目指して新型コロナウイルスワクチン無しでも、必要な防疫措置をはじめとした総合的な新型コロナ感染症対策について、IOC、大会組織委員会、東京都との緊密な連携の下、検討を進めている」との答弁を得ている。 
だが肝心のIOCの長を戴くトーマス・バッハ会長を始め、一部地方自治体が嬉々として心躍らせ切望していた「聖火リレー」の場所と無観客コースも合わせ調整に調整を加えた聖 火リレーコースの一つである広島県に予定していたバッハ会長が急遽来日をキャンセルしてきた。
ところがゴールデンウィーク(GW)を乗り越えた大阪のみならず東京都も、1日あたりで新規コロナ感染者が約1000人を超えている。専門家らは減少傾向になると予見していたが読みが甘かったというわけだ。

東京都の財政局は令和3年1月29日発表「2021予算年度」に着目すると、2021年度一般会計予算案は前年度比1.6%増の7兆4250億円。
新型コロナウイルス感染症の影響による「中小企業融資制度の拡充」延期が東京五輪パラの延期に伴う追加経費が歳出を押し上げている。
 医療風邪ウイルスガバナンス研究所の上昌広理事長は「コロナは季節変動する風邪ウイルス同様冬場に流行し、夏に小さな流行が起きる。昨年の第二波は真夏で第三波が10月から立ち上がってきて、丁度今頃からピークアウトし始めた。夏に小さなピークあるだろう」。
予測より時期尚早の読みだ。しかし「コロナ禍が収束しなければ、訪日外国人客の数は限られる。無観客開催ならインバウンドもゼロ。900億円チケット収入も水の泡。税金で補う可能性が増す」との鋭い指摘もしていた。

 目安箱を設置しての縦割り行革相であり、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種担当相の河野太郎大臣は、連日の「ワクチン配給に不備が見られる」「副反応のアナフィラキシーショックを引き起こし、くも膜下出血で死亡者がいる(60代)」との報道があった。
 河野氏は就任時の記者会見で「メッセンジャーRNAワクチンという初めて使用取扱するワクチンのため、自治体にもまだ周知が行き届いていない。ワクチン接種後、健康状況調査を経過観察として義務づける。まずは厚労省担当部門が7週間、次いでファイザー社が、(独)医薬品医療機器総合機構(PMDA)が追跡調査を行う。副反応を含む何らかの異常値が見つかれば、即座に厚労省審議会にかけられ公表するなど透明化を図っていく」。とスタート時、力強く述べていた。そのためワクチン接種のリスクの高さが薬害補償や例えばレムデシベルも含む特例承認にも被験者は強い危惧を持っているという。
 第204回国会衆議院本会議で立憲民主党・無所属の松原仁氏が、この「新型コロナウイルス向けワクチン接種の『副反応』に伴う補償適用状況」を質して受理されたところだ。
 また、約3ヶ月に迫った東京五輪パラに、無給医なる医師のボランティア化の状況からこうも医療崩壊が叫ばれる中、市民は既に悲観視をもち始めた声も聞こえる。

  「東京オリンピック・パラリンピックは再延期か中止になるのではないか?」

 第204回国会衆議院本会議に立憲民主党・無所属の石川香織氏が「東京オリンピック・パラリンピックが再延期・中止になった際の保険金」について(令和3年5月10日)に質問主意書を提出した。受理されたばかりで答弁は今後を注視すべきだ。

 日本医師会としても新型コロナウイルス感染症対応医療従事者支援制度「休業補償保険金・死亡補償保険金の請求」という医療従事者専用の「日本医療機能評価機構」による労災・補助制度があった。残念だが本制度加入募集期間の期限は終了してしまったが…
 国の補助制度としても「令和2年度新型コロナ対応医療機関労災給付上乗せ補償保険加入支援事業補助金」を設けていた。コロナ禍で医療現場は逼迫し現場は混乱を極めている。

 万一、緊急事態宣言第3回発令でコロナ禍第4〜5波が襲来したとしたら、五輪予算経費としてチケット売上900億スポンサー費(企業68社)7000億円という重債務がのしかかる。
 この試算から3兆5000億から2兆8000億差し引いた開催経費の大部分が税費だ。
 この3兆円を超えてさらにコロナ対策費が上乗せされる。
 なぜ圧倒的にコロナ禍で不利な五輪開催は「強行」か「中止」の二極化に割れるのか?推し進められる要因として「五輪マネー」の行方は何処か?考察してみたい。
東京五輪パラ2021がもし「中止」になるとしたら、五輪史上初となってしまう。これは世界的に日本のメンツが丸潰れになるため国家規模の赤字財政で日本崩壊に突き進むシナリオだ。今や「アフターコロナ」「ポストコロナ」時代が到来したとも囁かれるシンクタンク、メディア。
 
 こんな最中、森善朗前東京五輪パラ大会組織委員会(IOC)会長の失言騒ぎで、五輪担当相を長期に務めた橋本聖子氏が森氏の後任にスライド就任した。丁度五輪パラまで約150日を切ったという断崖絶壁からのスタート。コロナ対応もその後の手腕の見せどころだ。橋本現会長になってから五輪組織委のみならず、国会でも「性的差別嗜好」の議案が頻繁に提出され議論を交わす機会が増している。

しかし万一、五輪大会中止になった場合の財政負担について今、「開催都市契約」が注目されている。
東京が2020年大会の開催都市に決定した際に東京都、公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)、国際オリンピック委員会(IOC)の3者で取り交わした契約である。
その第66条「契約の解除」後半…

<理由の如何を問わずIOCによる本大会の中止またはIOCによる本契約の解除が生じた場合、開催都市、国内オリンピック委員会NOC(National Olympic Committee)、
及びオリンピック組織委員会OCOG(Organizing Committee for the Olympic Games》。OCOGはここにいかなる形態の補償、損害賠償またはその他の賠償またはいかなる種類の救済に対する請求及び権利を放棄し、また、ここに、当該中止または解除に関するいかなる第三者からの請求、訴訟、または判断からIOC被賠償者を補償し、無害に保つものとする。OCOGが契約を締結しているすべての相手方に本条の内容を通知するのはOCOGの責任である。>
【©️PRESIDENT Online】

という五輪開催における「契約解除・賠償する」保証のリスクがもろにこの条約上、降りかかってくる可能性も捨てきれない。

<万が一、組織委委員会が資金不足に陥った場合は(中略)東京都が補填することを保証する><東京都が補填しきれなかった場合には補填、最終的に、日本国政府が国内の関係法令に従い、補填する>との規定が定められている。

この「開催都市契約2020」によると、着目すべきは本契約は今般の新型コロナウイルス感染症のような「人命救助」か「平和のスポーツ祭典実現」かの選択肢は世界を抱き込んだ一大イベントである。万一コロナ禍が終息せず、様々な事態が生じる場合でも、契約を解除して大会を中止する権利は『IOCだけ』が権限を持つ、という前出の第66条「契約の解除」による一方的な現実規則になっている。

東京五輪パラプリポストマネーの行方…

そんな東京五輪パラ大会全体予算案に対し約1兆6000億円の「支出」がある。既に支出済みの金額はいくらか。

例えば競技場・選手村などのハード面は既に竣工している。
・新国立競技場
・東京アクアティクスセンター
・有明アリーナ
・海の森水上競技場
・有明テニスの森
・夢の島公園アーチェリー場
・武蔵野の森総合スポーツプラザ
・東京体育館
・東京辰巳国際水上競技場
・東京スタジアム
・東京高裁フォーラム

 ゼネコン業界の工事日程はとっくにポスト五輪に移り、オリパラが無事に終了した後の過程まで話は進んでいる。例えば海の森水上競技場は、五輪に需要だった座席数を一般の競泳場に改修したり、分譲マンションやパビリオン。晴海の選手村の跡地は、早々と分譲マンションの集合住宅「HARUMI FLAG」も完成しており期待が集まる。

 一方で、東京五輪後のゼネコン大手4社は10年ぶり減収へ新型コロナでピークアウト。
五輪工事終了、「東京商工リサーチ」(2021年2月12日)の統計によれば、新型コロナ拡大ゼネコン大手4社の2021年3学期の連結売上高合計は前期比7,482億円減収。
 2011年3.11発生3学期に4社「鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設」。
合計売高が前期を割り込んだ10年ぶりの減収の様を呈した。

 そもそも再延期や中止ができない東京五輪パラの内部事情とは、まずメディア放送権料への莫大な投資金。ディック・パウンドIOC委員が巨額な放送権料と引き換えにIOCは世界のスポーツ興行の歯車に組み込まれている。バウンド氏は1995年、米国三大ネットワークNBCと複数大会と契約し、巨額権料引き上げに成功した交渉担当チーム「サンセット」を率いた功績を持つやり手の人物だ。
・オリンピック放送機構(ORTO)の「ORTO“98」が98年「長野大会放送機構」を創設。
・オリンピック・ブロードキャスティング・サービス「OBS」
  五輪開催都市はIOC子会社の「OBS」と契約締結が必須。
・オリンピック・チャネル・サービス「OCS」
・IOC「 TV・&・マーケティング・サービス」株式会社「ITMS」

ここで事例に挙げられた「長野冬季五輪パラリンピック大会」を引き合いに「五輪パラ後の財政」という意味合いで本大会は成功したのか?その成否を当時、長野県知事だった田中康夫氏へのまさに2003年の渦中におけるインタビューからまさに今の東京大会の未来図をコロナ禍抜きで探った。

 2003年、私はDVカメラとヴォイスレコーダー両手に長野県庁2日目でぶら下がり取材、独占インタビューに成功した。
 取材当時、田中 康夫 長野県元知事(当時)は「今、信州長野県は予算の中の2割を借金返すことに使ってるんですよ。その借金がどうしてできたのかと言えば、『オリンピックという大きな目的のために財源を使った』とはいえ、他の都道府県がバブル以降、公共事業費等縮減して新しい産業に移っていく時に、逆に『長野県は公共事業費に2倍、県単独事業費が3倍になって、その『借金を返す時』が今ここにきてピークを迎えているんですよ。『全国ワースト2の財政』なんですよ。『投資的経費』という『公共事業費や県単独事業費に使っている金額と同じ額を借金に返していかなきゃいけない』んですよ。そして国の側は地方交付金を大幅に削減しているという現実があるんですよ。まさにこの綱渡りを一緒にどう乗り切るかという建設的な議論を是非いただきたい。それに対して予算のどこがおかしいのか。予算の提案権が議会にはないとおっしゃるけれど、予算をもう少しこのように修正しようではないかという、前向きな議論を私は議場において交わしたい。」と述べていた。

 長野冬季五輪パラ大会…スキージャンプの原田雅彦選手が「船木〜〜〜!!!」とラストジャンパーの名を地上から見上げた、原田選手が感極まって呼ぶラージヒル団体戦で最終滑走者を待った場面は日本国民の記憶に歴史上も残ることだろう。
 五輪ムックやグッズも飛ぶように売れ、誰もが「長野大会成功」と認識評価した。だがその長野は五輪以降、前述のように「オリンピックという大きな目的のために財源を使った」ことで「全国ワースト2の財政難」に陥った。田中康夫知事(当時)本人が責任の所在と根拠を明らかにしながら記者団に説明した。

 コロナ禍という絶対的違いがあるとはいえ、五輪後、「借金の返済」に充てた長野大会東京五輪の行末を占うヒントになるかもしれない。

【コラージュ筆者作成】
<東京都の財政>投資的経費
・五輪大会約1000億円収益放送料
・オリンピック開催経費はIOCと大会組織委員会の『直接経費』1兆6400円
・令和2年に初めて五輪1年延期した際の追加経費3000億
・団地取得費…1289億円(前年比31.8%減)
・工事費など…8114億円(同5.7%減)
・幹線道路整備の用地取得で前年度に大型案件(環境第一号線の拡幅用地取得含む)などだ。
が、一方で東京五輪が奇跡的に開催される場合、放映料を原資とする

・ICC負担金…850億円
・チケット収入…900億円
・スポンサー料がIOCとの直接契約560億円
・日本側と契約した3500億円

<東京都財政 間接経費>
・会計検査院2013年招致〜2020年が7年間で1兆円超え
が併せて約2兆7000億円

上記を踏まえて、具体例を挙げれば
①「国立競技場将来構想」有識者会議で早期に試算
・五輪に8万人収容の観客席(旧約5万4000円)
・これに東京都が個別に道路整備により約8000億が上乗せされる。
・空き地再利用は当初から一転、「都営アパート・民間施設」
 (土地利用可能でも通常は10年単位で立ち退き交渉を経てから)

②頓挫しかけたはずの神宮外苑前開発
東京都五輪招致に失敗したはずの2016年にメインスタジアム
埋立地の晴海に予定していたスケジュール通りに選手村の建築は2020年大会で旧国立競技場の建て替えに転じた。
「広大な建物」を建築業界で「観覧場」なる用語がある。
「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」

③東京都
神宮外苑一帯を厳粛な建設規則の上、保護
・第二種風到地区
・緑区
・文教地区
・都市
  改正都市計画公園・緑地の整備方針

橋本聖子組織委会長の英断?「500人看護師派遣要請」

 「東京五輪・パラリンピック」競技大会は、大会組織委員会、JOC、JPCを核としてこれまでに計6回「新型コロナウイルス感染症対策調整会議」を開催。組織委員会感染症対策センターを設置し、保健衛生の拠点とした。さらに晴海に建設された選手村総合診療所内でコロナ疑いがあるアスリート・パラアスリート等に迅速な医療と療養を提供できる施設を完備している。
 同会議などの協議を重ね、ワクチン導入にあたり五輪パラアスリートのワクチン確保の優先接種見通しが立った。
だが橋本聖子大会組織委新会長が就任後「(五輪会場付き医務室に)看護師を500人派遣要請した」発言が飛び出し東京都医師会を初め医学会から悲鳴が上がっている。この他、橋本氏は公認スポーツドクターの公募もかけている。医師免許取得後4年の経過以上。日本スポーツ協会の認可降りた医師だ。
 しかし、「東京大会の各競技会場の医療体制計画」では5000人規模の医療従事者を必要としている。当初の五輪医療施設と配置される医療従事者の数と待遇は?その内訳の当初は以下に列挙する。

①「選手用医務室」…医師2人・看護師2人・理学療法士2人
②「観客用医務室」…医師2人(1万人以下)・看護師4人(観客が1万人増える毎に医師1人・看護師2人を増員)
※交代制で42会場5000人以上を稼働する。
③会場医療責任者…1人
④5000人の枠外で駅から会場までの道中に設置される「救護所」…医師

 上記、①②は無報酬で③④だけが有償の予定だ。五輪組織費予算計画大会経費として2940億円を追加した1兆6440億円の見積もり。6割強を公金に頼っており、延期に伴う施設維持費やコロナ検体費用など、最低限コストに抑えて大学病院や医師会に呼びかけ経費削減を図っているようだ。
 東京都医師会は昨年の東京五輪延期前に三つの会場へ派遣を要請されていた。当初は必要な医師(約50人)と看護師(約100人)を集ったという。しかし「無報酬の医療従事者派遣では現場の反発を招きかねない」と都医師会の新井悟理事(※取材?)懸念した。さらに「研修も必要で3月までに確保しなければ間に合わない」と危惧していた。東京都医師会の猪口正孝副会長は「コロナ回復患者の行き場がない。コロナ患者慢性期を受け入れようにも万床で埋まっている。」コロナ患者の受け入れ数が公的・民間600床のうち8割が民間だ。公民各半数ずつ。東京全体ではおよそ10万床。およそが民間病院だ。

 政府・地方自治体・医療従自者たちも実際、ワクチンを医療従事者を先行と優先に、の後期高齢者、高齢者・介護施設のケアワーカー、基礎疾患者を先手にオリパラアスリート団にも優先的に打つ方向性で調整を進めてきた。
 東京五輪パラリンピックをめぐるコロナ対応にも医師不足が問題浮上しているが、コロナ患者を受け入れるほど減収となり、従来の病院経営も圧迫している。
 東京都病院機能毎に役割分担化は1月の時点ではコロナ専門病院を公的病院に指定し都立広尾病院・公社荏原病院・豊島病院に決まった。
 大阪府では13市民病院がコロナ専門病院化として、東京都に先駆け緊急医療フェーズにいち早く、トリアージした大阪の医療現場の裁量も大きい。
 
 だが、あるシンクタンクの有識者は「WHOがテクニカル、エージェンシーとして、政治的干渉に追従することが政治的干渉により完全な独立ができない」とWHOをポリティクスの側面から「WHO にはコーディネーションの力がないUNICEFを頼ったり、中国と対話し続け抗体を摂取しようと武漢へWHOの調査が入っていた」述べたが国際政治学の他の専門家は数多く「エクイタブル・アクセス」を主張している。「WHO、国連、先進国の連携がいかにコロナ禍を乗り越えていくか。今後はリスクアセスメント・トラベルアドバイスとWHOのリコメンデーションとして国際社会に臨むかだ」とも付け加えた。
 国際政治学の有識者の視点は、「コロナウイルスという感染症のメディカルではなく、ポリティカルなカテゴリーに位置付けてWHOに分析・考察を急がすべき問題だ」と強く説き続けてきた。
 
 3回目の緊急事態再再宣言で新たにインドからも変異株が日本国内に入ってきているリスクが確認された。
 病床数も日常的に満床で病院に受け入れられなかった在宅療養死、それでも病院の敷地内に停めてあるワゴンで療養機器と向き合いながら陽性陰性判断士として働き続けている無給医。公都立以外の私立病院に負担が集中する。

しかしこの絶望的な感染症との闘いにもし打ち勝てず、万一五輪パラ大会が無観客試合という妥協案でも開催不能に陥ったら…「平和の祭典スポーツ」の頓挫によって次に危惧されるのは「紛争」や「戦争」である。 

かつてからアフリカの南スーダン共和国が、戦争を終息できず、赤ちゃんから高齢者、大統領に至るまでもが皆人を殺すことしか知らない国民同士が殺め合う。そんな国内情勢でもリオ・デジャネイロ五輪パラリンピックに「南スーダンの星」と呼ばれる選手団が、自らの国旗をはためかせながら入場し、笑顔でトラックを歩いて開会式場のトラックを行進した記憶が久しい。コソボも2008年にセルビアから独立宣言し、2014年にIOCが承認した。
 過去に戦争が原因で中心になったオリンピックは3度ある。第一次世界大戦を起因とする1916年の夏期五輪。そして第二次世界大戦で中止になった1940年の夏季五輪と1944年の冬季五輪だ。その感染症を過去の事例から見ていけば、パンデミックを挙げるとすれば2009年の新型インフルエンザ(H1N1)が流行し延期して開催された2010年のバンクーバー冬季五輪が過去にある。またリオ・デジャネイロ夏季五輪の前にはジカ熱流行問題が浮上した。

 近年、このような以前からの戦争の、在り方が形骸化している。「第5の戦場」サイバー戦の脅威」という書籍の発刊がある一種の「新戦争の時代」の到来を告げた。英国の国家サイバーセキュリティーセンター(NCSC)が2020年10月19日に「ロシア軍の情報機関が、東京五輪パラリンピックが延期になる前に関係組織や関係者へのサイバー攻撃を仕掛けていた」と情報戦は既に常態化しているのだ。
 オリンピック・パラリンピックは規模の大きな催事であることからも話題に上りやすく比例するかのように国際的な攻撃は非常に多々発生している。
にわか情報であるならともかく2016年には世界アンチ・ドーピング機構(WADA)も国家レベルで攻撃を受けている。
サイバーセキュリティー後進国の日本も「サイバー攻撃トレンド2020年中間レポート」によると、サイバー戦争激化をテーマとしている。サイバー攻撃は500%も増加したという。
また2020年上期から現在に至るまでコロナワクチン開発に至った国家間の攻撃が増加し、国家間の開発会社がターゲットになっている。
 自衛隊指揮通信システム隊の約200数十名がそのサイバー防衛を狙っている。
令和3年度に自衛隊サイバー防衛隊(仮)を新規に再編成し陸海空自衛隊のサイバー関連部隊から要員を移管して540名規模にすることを予定している。今後は1000名までの部隊員数増員を目指す。
 日本はサイバー攻撃グループである「APT(Advanced Persistent Threat)10」によると思しき日本企業に対する標的型攻撃が多々確認されている。「APT10」はファイア・アイ社が各自、攻撃や諜報活動を行なっている。また個人攻撃としてランサムウェア(身代金要求型攻撃)を利用してくる特徴があるが、これらは氷山の一角に過ぎない。

 東京都知事の小池百合子氏は行革担当相の河村太郎氏と相席し、東京五輪パラリンピックを前に「サイバーイニシアチブ2020」を打ち出した。
現代で起きる戦争の非戦と平和希求。綺麗ごとが現実にはまかり通らない理論の中で「平和」への概念が変わってきた。

「スポーツあっての五輪」⇄「平和あっての五輪」

ジャパネット創業者の高田明氏、サッカーJリーグ2の「ファーレン長崎」という自身保有のサッカークラブを持つ。社長退任後には会長職として主に運営面に携わる。そんな高田社長は五輪前に「新しくスタジアムを創る。街づくりは平和の象徴に繋がる。これからは「勝ち負けだけじゃないスポーツにこそ、平和への意識付けをしていくことが世界平和へ繋がる。」広島市出身の高田氏が今年の「核兵器禁止条約発効」を祝う東京―広島―長崎リレー対話イベントで長崎市長の田上富久氏と語った。

筆者は大いに誤解して閃いた。今年初頭、高田会長は対談の場で語った自らの保有する「J2ファーレン長崎とサッカーJ1サンフィレッチェ広島との親善試合が近々決まった」との高田氏の言動に「スタジアム建設」=「東京五輪パラ」=「スポーツの平和な祭典」という発想を抱きスタジアム建設は五輪マネーの増収益に直結するものではないかと仮説を立てていた。しかし高田氏が「スタジアム建設を長崎でしている」との考えを示したことから既に竣工したホームでの試合になったファーレン長崎と分かった。そこで筆者は思う。「スポーツの平和の祭典」の開催場とは聖火リレーも含めて開催場所を問わない「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」政策を政府は9月創設のデジタル改革庁に向けた準備を着々と進めてきた。このコロナ禍は社会活動のあらゆる局面で「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を加速させたが、日本の状況については「通信インフラは整備されていたが、ITの利活用はできていなかったことが露呈した」と慶應義塾大学の村井純教授は指摘した。
その上で2000年に制定された「IT基本法」の改正に言及し、「DXを加速させるには、サイバー空間をセキュアに保ち、『セキュリティby デザイン」を念頭に、全産業、全地方を視野に入れた新たなデジタル政策が必要だ』と提言した。
【©️CYBER INITIATIVE TOKYO 2020】
 
コロナ禍で十分人々の生活や働き方は激変した。しかもパンデミックとなれば尚更グローバル・クライシスで、尊い人命を左右する。良くも悪くもZoomなどを使ったテレワークが社会に浸透し外出を控える分、人間の叡智を働かせてIT、電化製品、LINE、SNSを使いこなす「マスク着用必須」の常態化がライフスタイルになってしまった。
そんな最中の五輪パラ史上、「無観客試合」という異常な事態を政府、IOC、東京都が覚悟するなら、例えば各「五輪開催競技場」に備え付けられた巨大スクリーン画面のある「現場」とそれを電波で繋ぐ「TV」によって見られるものは、少し考えればリモート観覧こそが日常生活ではないか。また台湾の天才I T担当相オードリ・タン氏がコロナ禍発生直後、アプリ開発を行い、マスク予防の解決策を成功裡に導いたという。
台湾のタン氏の功績を知った日本政府はいち早く「東京五輪・パラリンピック観客等向けアプリに関する質問」を衆議院議員・立憲民主党の丸山穂高氏の質問主意書提出に内閣衆204第86号に答弁書を送付した。
先ず質問主意書には外国人観客向けのアプリなどの導入が検討、準備中だ。同アプリ開発には、約73億円を投じる契約である。コロナの変異株への懸念が拡大していることなどから政府、東京都、大会組織委員会は3月20日にIOC、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表者により五者協議を開き、外国人観客の受け入れをしない決定を下した。
東京五輪パラの入国者に係る出国前や入国時の検査、入国後の行動管理や健康管理等の必要な防疫措置については検討中である。

質問主意書で丸山衆議院議員が主に伺ったのは、もっと技術的な内容だった。

<本アプリの対象O Sはアンドロイド及びiOSの二種類が原則となっているが、世界的にはブラックベリー、Tizen、O S等政府対応以外のOSの利用者も一定数存在している>
<海外からの入国・帰国の前後において、健康状態に異常のない方も含め、検疫所長の指定する場所で入国日を零日として14日目まで待機し、公共交通機関を使用しないこと等の対応を求めているが、対象者本アプリを使用すれば14日間の待機の免除、ワクチン接種不要とすることが検討されている>
<スマホの貸し出しも不所持者には貸し出しをする>

経産省による「サイバー攻撃の状況を踏まえた経営者への注意喚起」(2020年12月18日)による国内外のサイバーセキュリティ環境における東京五輪パラの安全性は十分か?
新型コロナウイルス感染症が拡大した2020年3月以降、インシデントの相談件数など増加している。具体的には電子メールを媒介して感染を広げるマルウェア「Emotet(エモテット)」の被害だ。
 
実は五輪パラのような国際的な大規模というのはサイバー攻撃とは非常に多々発生する攻撃だ。米国を例にあげると6000名以上の要員を持つ米国のサイバー軍(United States Cyber Command : USCYBERCOM)を有しており、2018年5月4日統合軍に格上げされた。ロシアは軍参謀本部情報総局(GRU)や旧KGBを母体とする連邦保安庁(FSB)がサイバー攻撃に関与していたという説が濃厚だ。

そんな各国サイバーセキュリティーのロシア軍情報機関の動向を見てみよう。ロシアの国家規模ハッカー集団による「コージー・ベア」(別名デュークス=Dukes)、「ファンシーベア(Fancy Bear)」「トゥールラ=Turla)」などから世界初導入新技術で遠隔サイバー攻撃のプランAが浮上している。それと並行して中国の「61398部隊」なども「戦略支援部隊」のもとにサイバー戦部隊が編成されたという。グローバル規模の国防力を動員しなければならない。また北朝鮮は世界で初めて国家が主体となってサイバー攻撃でバングラデッシュのグラミン銀行やニューヨーク連銀まで至る金融機関にハッキングし、自国の力だけで経済力を稼げるようになってしまった。
だがその北朝鮮は東京大会不参加の意向を表明している。同国はこれまでも五輪不参加という「外交カード」に使ってきた。思い出してほしい。平昌五輪外交としてスポーツの政治工作の場として利用された。南北と米朝の要人が会談することが叶った。日本は拉致被害問題の解決の機会に向け、日朝関係の進展を目指す。

 中国にとって来年の北京冬季五輪は習近平国家主席の長期化政権維持成功への道。東京五輪には日中協力関係にある。しかし中国には香港、ウイグル、チベット、台湾など各種人権問題から国際的な非難の声が止まない。

 米国ではコロナよりも決定権限を持つ米国五輪パラリンピック委員会(USOPC)が重要な意向を持つ。中国の時とは逆でジョー・バイデン現米大統領に菅義偉首相が協力を申し入れている状況だ。1980年モスクワ五輪ボイコットの時と政策・社会運動が対極にある。

 上記の中国関係の新彊ウイグルなどの政治的な人権問題。五輪参加国が世界共通してまさにグローバル規模であるが故に、ミャンマー、ロヒンギャ、パレスチナ、イスラエル、イラン、シリア、アフガニスタン、ロシア、ベラルーシ、ウクライナなどから多様な抗議活動、ボイコットが巻き起こることが想定される、このうち米国などがジェノサイド認定をしたミャンマーと関係者の新彊ウイグル、香港はその友好支持者がすでに日本でもデモを展開している。

<h2 class="h2_news"長年、五輪パラに携わってきたプロフェッショナルの教訓

「五輪アスパラリートが表彰台に立った時、膝をついたり拳を揚げたり、メダルを噛んだり…。「政治的メダルを発する」所謂「表彰台パフォーマンス」がある。
1968年メキシコ大会における米国黒人アスリートによる「黒い拳事件」というレイシズムが表面化する。競技施設において政治的、宗教的、人種的プロパガンダを禁じる「五輪憲章第50条に対し、表現の自由から果敢にアプローチしたものだ。米国は当時、黒人差別撤廃運動の高まりを背景に、米国五輪パラリンピック委員会(USOPC)がこれらのデモ活動を制裁対象ではないとした。当初IOCのバッハ会長は「五輪パラを政治プロパガンダのマーケット(市場)にするべきではない」と、スポーツ「非政治主義」=「政治」の理念に則って実践してきたが、世界的なオリンピズムの潮流に乗って「50条ガイドライン」を決定するなど、国連総会は、日本が率先して常連の提案国して五輪大会ごとに休戦決議を採択して国際紛争の解決や、停止を呼びかけている」。
【©️日本オリンピック・アカデミー会長の望月敏夫氏】

【©️「切断ヴィーナスショー」越智貴雄】
 「写真家の越智貴雄氏が昨年開催予定だった「東京五輪パラ2020」が始まる日に流れてしまい、これを好機と見て「義足だけの」モデルを集めてショーを開いた。
ランウェイを歩くその堂々たる姿は、パラ陸上女子として五輪出場内定した前川楓選手だ。
 前川選手は「私は義足が大好きなんです。競技中でもこういう場でも義足を格好よく履いて走っていたいんです」と自信に満ちた表情を浮かべる。
そんな前川選手の「ショー」の中で取ったのは「世界男子ブレードランカーのキング・オブ・ザキング」 ジョン・ボルトン選手の金メダル勝利ポーズだ。
 前川選手に直撃したわけではないが、ファッションを「表現の自由」としてスポンサーの広告などにメダリストとなると引くて数多だ。

 令和3年4月13日で開かれた防衛大臣記者会見で「NATOサイバー防衛演習「ロックド・シールズ2021」への自衛隊初参加が発表された。この演習は国家のITシステムや重要インフラ事業者も含めたチームを編成し参加する。サイバー攻撃を想定したもの。防衛省・自衛隊の要員を中核に、他省庁や民間の重要インフラ事業者にこれによって日本としてのサイバー攻撃対処能力向上は参加国などの連絡・調整などを通じたサイバーセキュリティの動向の把握がある可能性が高い」ことが表明された。

コロナ禍で顕著になったサイバー攻撃の激化。世界規模で国家関与が疑われるサイバー攻撃の活発化を世界的視点を掴もう。

 元米国土安全保障長官でチャートフ・グループ共同創設者・会長のマイケル・チャートフ氏は「医療や産業、重要なインフラの根幹を担うサイバー空間は、一国だけでは防御できない。国際的なルールを設定し、各国が協調して攻撃に備える必要がある」とマイケル・チャートフは指摘した。
次いで警察庁サイバーセキュリティー・情報化審議官の河原淳平氏も「インターネットがソーシャルインクルージョンである以上、安全性の確保には国際協力と規範が重要であり
実世界の法律をサイバー空間にも適用する必要がある」との見解を示している。
東京五輪開催7月予定を控える日本がコロナ禍でその「平和の祭典の機会」を無駄にすると、世界の問題児だったドナルド・トランプ前大統領に負けじ劣らぬ厄災が降りかかって来るかもしれない。まさにそれこそが新型コロナウイルス感染症だ。これは第一弾に過ぎず、次、次、と試練は待ち受けているかもしれない。
 戦後75年、戦争をしなかった国は8カ国だ。アイスランド、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、ブータン、日本だという。
第二次世界大戦の原因となるものが、北欧諸国には基本的に存在しなかったのである。
 戦争の原因は
第一:地政的に米ソ代理戦争に関わる位置になかった。
第二:民族対立や宗教対立を国内に抱えなかった。
第三:経済的な貧困の所得再配分政策(社会保障の充実と税の控除)を機能させ改善してきたところに特徴を持つ。
第四:国民の政治意識、当事者意識の強さ。民主主義と平和主義を政治を政治に反映させる運動が継続的に行われている。戦争に対して否定的スタンスにある。

これに対して被爆敗戦国の日本の将来のために…
 <今後、戦争をする国・しない国の分岐点>
第一:時の政権と国民が過去の戦争を反省し不戦の決意をしているか。
第二:人権教育、平和教育を真摯に追求している国か。
第三:国民の命と福祉を大切にするか。社会保障・社会福祉財政の重視か軍事費への財政への傾注化が問われる。
第四:戦争推進イデオローグ・研究者と組織、団体に対して、明確に対抗し平和・共生の文化、思想を広げる社会的集団の存在の有無
第五:戦争政策、軍事抑止力協調政策に傾倒している今の政治。国家によって情報操作・管理が進められ国民的な論議が制限される可能性が大だ。

政治に利用されるスポーツの平和祭典

 「平和の祭典」=「スポーツの祭典」と冠されたIOCは戦争の前に無力だった。大戦前後には予定された大会が中止され、「スポーツが平和をもたらすのではなく」「平和があってのスポーツ」という現実を受け入れるしかなかった。
時代を超えても五輪パラに深く関与する国際情勢上の政治の動きを振り返る。

 1936年のドイツ・ベルリン大会ではユダヤ人排斥を進めるナチス政権に対し、欧米で参加ボイコットが起きた。ナチスは大会期間中ユダヤ人排斥緩和を五輪ボイコットに利用した。聖火リレーと世界各国からのテレビ放送料をメイン収益にIOCは荒稼ぎした。
 1980年モスクワ大会オリンピック・パラリンピックという初の共産圏開催地に選ばれたが、前年、アフガニスタン侵攻を果たし米国がボイコットに動いていた。乱れ狂う国際情勢上、日本政府は早々にボイコット方針を固め、日本オリンピック委員会(IOC)がこれに従った。IOCの理念から日本は大きく後退した。参加を訴えた柔道無差別級代表(当時)の山下泰裕氏は、五輪出場のアスパラリートの一人として、やっとの思いで床の上に立てる出場権を掴んでからの出場不可男泣きだった。しかし2019年にJOC会長、翌年IOC委員に就任した。「平和とスポーツの祭典」をアントニオ・サマランチIOC会長が1992年に「オリンピック休戦」を提唱し、翌年、国連は総会でオリンピック休戦遵守に関する決議を採択した。その対象とはユーゴスラビア解体後のボスニア・ヘルツェゴビナ紛争の真っ只中だ。サラエボは84年冬季大会開催地でもあった。そこで近代五輪パラ100周年の94年に当たる
 ノルウェーのリレハンメル冬季五輪の期間中の休戦を呼びかけた。しかし休戦には至らなかった。その後もIOCは朝鮮半島問題で南北統一旗による南北アスパラ選手団の行進や2016年ブラジルのリオデジャネイロ大会で難民選手団の参加を認めるなど、
 2019年に入ってからリトアニアを始めラトビア、エストニアからなるバルト3国は20世紀に入ってからドイツと旧ソの侵略によって想像を絶するような悲惨な運命に遭ったという。旧ソが崩壊しても独立を回復してからも、隣国ロシアからの脅威の下で、いかに自国民を守るか、その為に知恵を絞っている。

デジタルは改革関連法案WG座長の慶應義塾大学 村井 純教授は「IT基本法への提言」15項目中、重要な特徴は以下の3点を挙げている。
①「情報アクセシビリティー」
②「置いてきぼりをつくらない」
③テクノロジーの善用(デジタル技術やデータが悪用されないようにサイバーセキュリティーを確立)
上記①②は「デジタル敗戦」の教訓から改善を目指すものだ。
村井教授によれば「阪神大震災、東日本大震災、新型コロナ、こうした経験を踏まえ、人の生命を守るためにデジタル技術やデータを使うというデジタルの倫理的使用や善用をしっかり実現する」と言う。
 確かにコロナ陽性者接触者アプリ「COCOA」は不具合が出るなど出だしから暗礁に乗り上げた形だ。しかし世界的にもプライバシーや個人情報保護が重視されている。日本は後発国ではあるが、このアプリに関してだけいうならば、陽性者データ管理は「分散型」でセキュリティーの穴を突破されがちなサーバー上の管理にはしていない。これはデジタル先進国イスラエル、エストニア、ドイツそしてスイスと同様だ。
欧州では先駆けて1980年に「個人データの自動処理に関する個人の保護のための条約(ヨーロッパ第108号条約)」が欧州評議会で採択されている上、2018年5月以降デジタルデータを保護するための「eプライバシー規則」を規定。医療のデジタル化体制においても「電子健康カルテ(EHR)」をデータ、インフラ、ツールとして「国家電子健康カルテ(EHRs)」の開発を進める。そしてHER交換申請書のアプリを通じて健康データのオンライン上の互換性が合う可能性。また国境を横断したEHRsのような遺伝子情報(少なくとも2025年までに1000万人)そしてデジタル健康画像と「EU一般データ保護規則(GDPR)」の法令を遵守すべしとしている。欧州は2022年までに電子健康デジタルサービスインフラ(eHDSI)に参入している22の締約国間で電子化された患者の概要と電子処方箋の交換が可能となった。当初は国境を越えた電子健康データと医療画像の交換。そして研究結果と報告書の免除を行い、仮想上の面談(診療)モデル。そして欧州照会ネットワークへの登録からであり、「ビッグデータ計画」を支援するものだ。これらの活動は予防と診療と治療(がんや稀な難病など)を支援し、調査し、革新と政策決定さらには公衆衛生の分野でEU締約国の活動を規律化している。
 それに比べ、日本のデジタル改革医療分野と言えば…医療の高度IT化によるスマートヘルスケア(=ヘルステック)の周辺医療機器向上段階にやっと入った。
 第204回国会内閣委員会 第12号(令和3年3月24日(水曜日)で衆議院議員・立憲民主党の中谷一馬氏は「現在、ワクチンに関するシステムは、ワクチン接種記録システム、VRS、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム、G―MIS、新型ワクチン接種円滑化システム、V―SYS、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム、HER―SYSなどがあります。それぞれを動かすには医療機関や接種施設がIDなどを登録する必要がありますが、この作業が医療関係者任せになっているという指摘がありまして、コロナ対応などで忙殺をされている医療現場にそれぞれのシステムの初期設定をせよというのはいかがなものか」
中谷氏はワクチンのデータ一元化がなされていない現状を解決すべく問題の要因を推測して日本人の8600万人が利用しているLINEを効率的に利用することをITデジタル担当相の平井卓也氏に要請した。

 世界中に蔓延している新型コロナウイルス感染症(COVID19)との医療現場との闘いをデジタル改革で乗り切る。

◆ウェアラブル端末数事例
・スマートウォッチ
・VR医療業界
・ARゴーグル+センサー・ネットワーク・アプリソフト・サーバー
メリットとしては遠隔地医療サービスや救急対応の)クオリティの向上が見られる。
このヘルステック(I T×医療の相乗効果)の導入により、効率が上がるため医療業界の人手不足解消に繋がると大いに期待されている。

 上記デジタルトランスフォーメーション(DX)を背景として3つの要点がある。
1)スマホ中心市場による消費行動変容
 スマホ投資で株式市場が身近なものになった現代(ex:メルカリ)
2)ビジネスモデルを破壊
 (ex:ディスラプション→ゲームチェンジ→Uberウーバー)
2)コロナ対策としてBCP(事業継承)対策にテレワーク推進
 データ管理一元化、デジタル化
 
これは(独)情報処理推進機構(IPA)がサ防ぐサイバーセキュリティを始め情報技術の安全性やデジタル難民化する日本の超高齢化社会のIT教育、I Tトラブル処理などを可能にできるエキスパートを育成することにも注力している。

 DXの事業好例を挙げよう。
◆大塚製薬がNECと共同で服薬支援を目的とした「プレタールアシストシステム」開発だ。
プレタールとは脳梗塞の再発抑制のための抗血小板薬だ。錠剤を収納する専用ケース、服薬のタイミングでLEDが点滅して服薬状況をスマホに送信IoTモジュール、服薬状況を確認できるスマホアプリの3構成されている。服薬本人の飲み忘れ予防、服薬履歴の家族、薬局、医師が確認することが可能になる。
 大塚製薬としても患者が服薬するタイミングなどのデータを収集できるようになり、それをビッグデータとして分析することで様々な価値創出が期待できる。

 ニューノーマルなデジタル強化社会。昨年6月に発表されたスーパーコンピューター世界ランキング、日本は「富岳」が第一位を獲得している。ポストコロナに見込まれる厳しい国際競争環境の中で日本の存在を高めるとともに、国際社会が自由・民主主義・基本的人権・法の支配などの普遍的価値観に立脚したものとして発展していくべきである。
 果たして断崖絶壁の「東京五輪パラ」開催を危ぶんでいるコロナのワクチン接種はすでに始まっている今、7月までに全国民大規模接種を終え、コロナに勝つことができるんだろうか。

tomokihidachi

2003年、日芸文芸学科卒業。マガジンハウス「ダ・カーポ」編集部フリー契約ライター。編プロで書籍の編集職にも関わり、Devex.Japan、「国際開発ジャーナル」で記事を発表。本に関するWEBニュースサイト「ビーカイブ」から本格的にジャーナリズムの実績を積む。この他、TBS報道局CGルーム提携企業や(株)共同テレビジョン映像取材部に勤務した。個人で新潟中越大震災取材や3.11の2週間後にボランティアとして福島に現地入り。現在は市民ライターとして執筆しながら16年目の闘病中。(株)「ログミー」編集部やクラウドソーシング系のフリー単発案件、NPO地域精神保健機構COMHBOで「コンボライター」の実績もある。(財)日本国際問題研究所「軍縮・科学技術センター」令和元年「軍縮・不拡散」合宿講座認定証取得。目下プログラミングの研修を控え体調調整しながら多くの案件にアプライ中。時代を鋭く抉る社会派作家志望!無数の不採用通知に負けず職業を選ばず様々な仕事をこなしながら書き続け、35年かけプロの作家になったノリーンエアズを敬愛。

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