スポーツに精神性を求めるのは日本の美しい特徴だと思う。野球一つとっても、アメリカではプロ野球選手が試合中にガムを噛んだり、酷い人達はグランドに唾を吐く選手もいるのが、日本人にとってはとても受け入れられない行為に映る。
大リーグで長い間活躍したイチロー選手は、現役時代、シアトルの小学校で講演会をした際、生徒から「メジャーリーガーとして活躍するには何が一番大切か?」の質問にこう答えた….
「バットを地面に置かないこと。バットが芝生の水を吸うと、何億分の一かの重さや形の変化が起こってしまう。お父さん、お母さんが買ってくれた野球道具を大切にし、自分のバット・グローブ・靴を磨くこと」
イチローの精神性の高さが、もしかしたら実力以上のものを神様から受け取っているのかもしれないと思った。
シドニーオリンピックで世紀の誤審と呼ばれ、金メダルを逃した篠原信一氏も、今でこそお笑い芸人並みの面白さを発揮だが、現役選手時代は、そのクヤシイ誤審に対し自分が弱いから負けたと静かに答えた姿が印象的だった。
松山英樹選手の日本人初、アジア人初のグランドマスターズ優勝の朗報は日本を駆け巡り、松山選手も帰国し凱旋記者会見をしたばかりだ。松山選手の前人未到の偉業も素晴らしいが、同選手キャディーの早藤翔太氏の礼儀正しさが、スポーツ専門チャンネルESPNで放送された動画は180万再生。
松山選手がウイニングパットを決め、誰もが優勝者に注目し大きな拍手がわき起こる瞬間、キャディーの早藤翔太氏は18番のピンをカップに挿し、帽子を脱ぎ、コースに向かって一礼をした。アメリカ人が感動する位だから、日本人は更に感動する。
3大会連続オリンピックで金メダルを取り続けた柔道の野村忠宏氏の柔道教室をYouTubeで見たことがあるが、技以外に礼の仕方を教えていた。そして礼をする意味も伝えていて、日本人のスポーツと精神の合致を再認識したことがあった。
ここで、韓国の悪い例を出すのは気が引けるが、2019年、中国・成都で行われたサッカーのパンダカップで優勝した韓国選手が、表彰式で優勝カップを踏みつける姿を見せた。また、その踏みつけ行為の後に、他の選手が優勝カップに放尿するような動作をした姿が世界中に配信された。SNSの拡散も広がり大騒動になり後に謝罪はされたが、主催者側の中国は激怒し、優勝カップははく奪されてしまった。
スポーツ、特に海外遠征する選手たちは、自国以外ではしきたりも文化も環境も違うので、相手国に対し敬意をもち、礼儀正しくすることは必須である。
マスターズ優勝の松山英樹選手は14日の凱旋会見で早藤翔太氏のコースに一礼した行動に対し「いい行動だったと思いますし、僕も一緒にできたらよかったなと思っています」と話していた。松山英樹選手の偉業も素晴らしいが、早藤翔太氏のコースへの一礼もやはり素晴らしいものだった。
画像: Sports Illustrated の公式ツイッター(@SInow)より