逆に『そこに愛はないぞ!』と言いたい三菱UFJ銀行、優秀新卒に1,000万円の破格厚遇の戦略

  by あおぞら  Tags :  

 チョット、見ましたか? 三菱UFJ銀行が、来年春に入社する新卒社員から「新卒年収1,000万円」を導入で、それだけの高収入をどんな新卒が得られるのか?っちゅうと、金融工学やデジタル技術に精通した専門人材を対象としているんだそうですよ。

 これね、ニュースとしては掴みはありますよ、でも、三菱UFJ銀行のこの破格の好待遇は銀行としては失策に思いますね。単純に今現在働いている実直な行員はいい気がしません、やる気をなくします。真面目な先輩社員と優秀な新卒の年収とはなんの因果関係はないかも知れませんが、このような年収を新卒に設定する三菱UFJ銀行には、アイフルのCMのキャッチフレーズみたいに「そこに、愛はあるんか? 信じられる愛は、あるんか?」を素直に問いただすと、愛がないような気がするんです。

 新卒年収1,000万円で採用された人たちは、自分たちが優秀であるという自負もあるでしょうし、特別待遇で入行する新卒は銀行側からは扱いにくいかもしれません。その人たちも年収重視で入行したとしたら、より高額提示してくれる外資系銀行や、投資銀行に転職する可能性は大です。

 実は仕事は誰でも出来ると思うのです。スマホを誰でも使うように、ワードやエクセルやパワーポイントを習いに行かなくても、職場で徐々に使い方を覚えて身に着けるとか、基本、特別な能力は必要ないと思うのです、一般企業に於いてですね。まぁ、研究職とか以外では…..

 メガバンクに入行するのは優秀な大学を卒業された方々なのは理解します。しかし、中には大学はそれほど優秀でなくてもデキる人は必ずいるんです。また、新入社員の時は全くいいとこはなかったけど、勤務年数を増すごとに仕事が出来るようになり、人から厚い信頼を得る人もいます。

 要は縁あって採用した社員を銀行でキチンと育てればいいのです。初めから出来る人を鼻先に人参をぶら下げて1,000万円の年収で誘って採用しようという魂胆が、キツイ言い方かもしれませんが銀行側に浅ましさを感じるのです。

 ある大手金融機関に勤める30代の銀行員のブログを見たことがありました。国立大学を卒業し、大手銀行に入行し、ご丁寧に年収までブログに記されており、その年収はブロガーより10歳も年上の銀行員の年収と変わらないと自慢されている書きぶり。だいたい、こんな自慢話をブログにタラタラ書き連ねるのは決していい男ではないと思ったら、容姿のことを取り出すのは卑怯ではありますが、30代でカツラが必要な程の御髪でございました….

 こういうブログで自慢話オンパレードの銀行員が将来良い上司になるとは到底思えないのです。だから優秀な大学を優秀な成績で卒業した人を採用しても、その人自身の人間性に問題があるような人は、決して銀行のためにはならないと思うのです。

 年収自慢のその銀行員がやがて支店長になるとしても、問題が生じたら自分が対処するでなく、副支店長を矢面に立たせ、自分は何もしないタイプだと思います。

 企業側は銀行や商社などの優良企業も、そうそう『優秀』を基準に採用するを止めればいいと思います。それよりも、人間重視で学生の内からボランティアをするとか、人のために骨身を惜しまずに行動するような人が、結果的に優秀な企業人になると思うのです。

 銀行で働くということは、収入は安定するし、社会的な信用も得るし、恵まれた職場であるのは確かだと思います。優秀な人を確保するというより、自分たちで人を育てようという気持ちを企業は持てないものでしょうか?

 外資系銀行が派手であり、年収も桁違いに多いのは理解します。ただ、そのスタイルを日本の銀行が取り入れる必要は全くないと思いますし、バブルがはじけてから銀行が潰れたり、統合したり、吸収したりと形を変え生き残ってきましたが、それほど安泰な職種ではなくなったかもしれません。

 だからこそ、優秀な新卒に破格の年収を与えるというようなまやかしでなく、厳しい状況の中から立て直しに尽力してくれるような人こそが銀行には必要なのではないでしょうか?

 新卒に年収1,000万円を出そうとする三菱UFJ銀行は、その優秀な新卒より今いる銀行員に愛を注いだ方がいいですね。大事な行員の気持ちを逆なでするような、新卒年収年1,000万円は、あまりにもそこに愛がなさすぎると思うんですね。

ニューヨークから発信しています