事前予約でチケット購入のニューヨークの美術館 ◆ 人が少ないので優雅に絵画鑑賞できる利点

  by あおぞら  Tags :  

 近代美術館の英語名は、The Museum of Modern Art。その頭文字を取りMoMA(モマ)と呼ばれている有名過ぎるニューヨークの美術館だ。この美術館は2004年11月に再オープンし、建築総工費900億円をかけ、時間もかけ増築した。なんと日本人の建築家、谷口吉生氏の設計案が選ばれた。そのせいか歌舞伎座の花道を思わせる渡り廊下があり、その辺に日本の情緒を感じる。

 さて、コロナ過で閑古鳥鳴くニューヨークは街中も人出が少ない。当然、美術館も少ない。美術館は事前にオンラインでチケットを購入し、その時点で人数制限されているので、信じられないくらいの人の少なさで、なんだか特別意識を感じる程である。この美術館内で閑古鳥が鳴くのは大いに歓迎したいところだ。

 流石にMoMAは近代的で、美術館の建物に入ると係員に促されて、床に足跡が書かれたシールの上に立つと、その時点で体温が測られるようで、問題なければ美術館の入り口突破で、チケット受け取り口に向かう。

 以前なら人がごった返す一階は人がチラホラいるくらいで、まるで京都の龍安寺のような静けさがある。チケットを手にするといよいよ美術間の中に入るのだが、コロナ禍以前では美術館スタッフにチケットを見せて、そしてセキュリティー係員が荷物チェックをしていたが、おそらくチケットを事前購入している為、美術館に購入者の情報が入っていると見えて、荷物のセキュリティーチェックがなしなのだ。

 しかし、その分、コロナ禍以前ではセキュリティーチェックを仕事として働いていた方々は、お払い箱となってしまったのか…それも気の毒である。ただ、いちいちバッグの中を見せる必要がないのは楽である。

 近代美術館で一番有名な絵はゴッホの『星月夜』だろう。だいたい人が集まっているので独り占めすることなどはコロナ禍以前では土台無理であった。しかし、このコロナ禍に於いてはいいこともたまにはあり、このように誰も周りにいないゴッホの名画と対面できる。

↓ 浮世絵に影響を受けたゴッホはこの絵に葛飾北斎の『富嶽三十六景』を取り入れている

↓ ピカソの大作『アビニヨンの娘たち』 アビ二ヨー通りの娼窟を描いた作品 相当大きい

↓ オランダ出身の抽象絵画のモンドリアンの作品 ↑と違い見た目ほど大きくはない

 優雅な気持ちで美術鑑賞できるのは、勿論、人が少ないからである。しかし、不思議なものであまりに人が少ないと味気ない気がする。ニューヨーク自体大都市なので、美術館には人が大勢いて、それが美術館の風景であった。それに行きたいときに気ままに出かけるのが美術館の良さでもあったが、コロナ禍の真っただ中の今は美術館の人数制限が鉄壁である。

 ただ、確実に言えるのは事前にチケットをオンラインで予約購入するため、絵画泥棒はコロナ禍に於いては出てこないのではないだろうか。そういう意味では美術館サイドは少し安心しているかもしれない。

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