どうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。
最近流行しはじめた「〇〇〇が1年間無料!」というLINEを使った懸賞詐欺ですが、この特殊詐欺は以前からありました。
メールやSMS、ツイッター、SNSなど個人アカウントに対し、「ご当選おめでとうございます!」というメッセージが届きます。「なんで応募していないに当選したのだろう……」と思ってしまう半面、“当選”というワードに人は惹きつけられてしまいます。
それらはすべて懸賞詐欺ということになるわけですね。怪しいと疑いつつ、興味本位でとりあえずはメッセージを開いてしまう……懸賞詐欺師たちはどこを狙ってきているわけです。騙される側も、初めから鵜呑みにしているわけがない。でも、疑念を抱きながらも内容確認するうちに「あれ? これは本当なのかも?!」と信じきり、騙されてしまうというわけです。
ですから、当初疑いを持っていたとしても騙されるほどその手口が巧妙になってきているということ。懸賞サイトを使い、ポイント購入させて課金を騙し取る手口もたくさんあります。
例えば、《あなたは全米規模の宝くじに当選しました》《Twitter懸賞で当選しました!》《簡単なアンケートに答えるだけで豪華賞品が当たる! 選べます!》などなどあなたのケータイやスマホにも一度は届いたことがあるでしょう。時代が変われば、また同じ詐欺手口が復活を遂げる。時代が変われば、手を変え品を変え、また騙される人が増えていくわけです。
今回は、20年前からメールでの懸賞詐欺に携わっているW氏(51歳)に、ひと昔前の懸賞詐欺と最新懸賞詐欺について話を聞きました。
懸賞詐欺の種類は3つ
丸野(以下、丸)「懸賞詐欺に携わって、もう20年くらいになるとか?」
W氏「そうねぇ、そんなに経つね。ヒットするものもあれば、全然ダメなものもあるけど、基本的にリストが回っているから、みんなどの手口かには引っかかっていると思う」
丸「具体的にどんな手口を使ってきましたか?」
W氏「懸賞詐欺の種類って3つあるのよ。ひとつ目が《“懸賞に当たる!”と登録させる懸賞詐欺》、ふたつ目が《簡単にネットで稼げることを匂わせて誘う懸賞詐欺》、みっつ目が《“割引の懸賞に当たった”と商品を勝手に送りつける懸賞詐欺》。とりあえずの最終目的は、金目的とポイントを購入させること、個人情報を取ることが目的だね」
丸「3種類ですか……。よく大企業の公式アカウントなのに、“公式マークがないものには気をつけろ”とかいいますよね?」
W氏「ああ、よくある懸賞詐欺アカウントを見破り方でしょ? あんなの勝手に取得して勝手に貼りつけるから、見破る方法にはならないよ。こっちは犯罪やってるんだから……」
こんなメールやLINE通知には気をつけろ!
丸「気をつけるべき点って、ありますか?」
W氏「いろいろあるよ。でも、ほとんどの懸賞詐欺メールや懸賞サイトじゃ個人情報の登録を求められるから、個人情報が流出している可能性が高いね。ユーザー名とIDが怪しかったり、応募締切日や当選人数とかの最低限の情報がないもの、高額現金プレゼント、当選実績が確認できない、当選通知にクレカ情報入力を求められる、当選DMでサイト登録を求められる……こんなものは全体的に詐欺の可能性が高い」
丸「もしひっかかってしまったら、どうなるんですか?」
W氏「LINE登録したら大量の広告メッセージが届く、メールアドレスが流出する、クレジットカード番号が流出して身に覚えのない高額請求がくる、住所・電話番号・メアドなどの個人情報流出なんかが考えられるよね。昔からこんなものはある。おかしなメールには反応しないことが大事。さもないと、突然自宅に商品が届いて、中に案内状が入っていて、その費用を請求してくることもあるんだから……。勝手に送りつけてきておいてね(笑)」
丸「詐欺師ってめちゃくちゃですね」
今問題になっている懸賞詐欺
丸「偽の『ケンタッキーフライドチキン』のLINE懸賞が出回っていますが……。Wさんも一枚噛んでいると?」
W氏「そうねぇ。それだけじゃなくって『スシロー』や『ローソン』『すき家』なんかもやったよね。というか、人気店は世の中にごまんとあるから、この手口はまだまだ使える」
丸「手口的にはどのようなものなんですか?」
W氏「偽の《ケンタ1年分プレゼント》というLINE懸賞を“当たりました!”とバラまいて、URLに誘導。そこに飛ぶとゲーム形式のサイトになっていて、プレゼントボックスがある。3回タップすると《当選!》と称して、2つのことをカモにやらせる。まずは、《友人5人にLINEで同じ詐欺メッセージを送らせる》、それから《指定した国際電話番号に電話をかけさせる》。いわば被害者にチェーンメールを送らせて、さらに被害者を増やしていくわけ」
丸「ヒドい手口ですね」
国際的な詐欺グループが加担?!
W氏「これはキャリアごとに違うけど、スペイン(+34)とかレソト(+266)なんかの高額な国際電話をかけさせて、NTTドコモのアフリカ・チュニジア(+216)なんかは30秒で200円近い電話代が入るから……。実際に電話すると、引き延ばし工作で日本語クイズがはじまるわけ」
丸「高額な国際電話をかけさせてどうなるんですか?」
W氏「騙されたやつは高額な国際電話料金を請求されると、国際ワンギリ詐欺と同じ手口で、相手が支払う通話料の一部を《接続料》として、こちらが使っている国際電話会社にも支払われるわけ。かかってきた電話料金の一部が契約している人間にキャッシュバックしてくれる契約というのが一部の国際電話会社に存在するわけよ。この手の詐欺は、国際的な詐欺ブローカーが存在していないとできない手口だから、素人にはムリだけどね」
丸「国際的詐欺グループが加担していて、ケンタ1年分というのはなんだかおかしな感じですね」
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今後は社名を変えた同じような詐欺メールや詐欺LINEが出回ると思われます。特に応募などしていないのに、《〇〇1年分プレゼント》というおいしいメールは絶対に開かないようにしてください。自分を守れるのは自分だけです。もしもチェーンメールを送っている人を見つけたら、ぜひ「これ、詐欺だよ!」と教えてあげてください。
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