外から見たニューヨーク 中から見るニューヨーク

  by あおぞら  Tags :  

ニューヨークからロスアンゼルスに移住した友人を訪ねたことがあった。元々友人は西海岸志向。経験としてニューヨークに住んでみたかったと言った。ニューヨークで働いていた会社がニューヨーク支店を閉めて、ロサンゼルス支店に統合するので願ったり叶ったりで東海岸から西海岸への異動となり、引っ越し費用等は会社で負担してもらえることになったそうだ。

友人はロック好き。ライブは圧倒的にロサンゼルスの方が熱量が高く量的にも多いそうだ。住まいはハリウッド・ブルーバード。ただ、この通りはロサンゼルスの主要な東から西へ、もしくは西から東へと言うべきか、その大通りなので川のように長い。どの地域のハリウッド・ブルーバードかに寄り地価が異なる。

ハリウッド・ブルーバードの横道に入り数分の位置に友人宅はあり、夜は銃声が聞こえたこともあるという決して治安は良くない土地と言う。昼間に歩いていると決してそうは感じないが、夜には歩くべきではないと言う。

チャイニーズ・シアターのある華やかな観光地のあのハリウッドまで、その大通りのハリウッド・ブルーバードを徒歩で45分程歩けば着く距離にある。友人はニューヨークとは大きく異なる気候と地形のロサンゼルスの生活を謳歌しているように見えた。

大都会のロサンゼルスの家賃は高い。しかし、ニューヨークと比べると支払い安い家賃である筈だ。物価もニューヨークと比べると安いし、車を所有していない友人は地下鉄駅の近くに住み、通勤は地下鉄を利用していた。

ニューヨークの地下鉄はお金持ちも使用するし、まさに公共交通機関であるが、ロサンゼルスの地下鉄や更に市バスなどは車を所有できない貧しい人達が乗る乗り物とされていると言っていた。確かに市バスには白人は少なく、メキシコ系の人々で埋め尽くされていた。

住めば都と言う。どの土地でも住んでみればそこが一番になるのだろう。友人はニューヨークの話をし始めた時「よく、あの街で住んでいるね。私にはキツカッタ。離れてみてそれは更にわかった」と言った。私自身はこの街に長年住んでいてマンハッタンから引っ越しをしたことがないので感覚がわからなかった。

しかし、このコロナ禍でニューヨークは一気に変わった。そこでこの街の圧力をこの期に感じ始めた。今も感染者が増え続けているので自宅待機は推奨されるもので、それはいいことなのだが、こう自宅にずっといると外出することが億劫になるのだ。ある意味、引き籠もり開花!と言ったところだろうか。

それに街に出ても平日でも人が少ない。まるでゴーストタウンのようで、リモートワークだけでニューヨークは成り立つ街だったのだと認識させられる。

コロナ禍でニューヨークを離れた人が激増したそうだ。そのせいもあるのか住居探しや、ホテル予約サイトを見ると軒並みディスカウントされている。値上がりすることしかなかったニューヨークの価格がコロナ禍により激変した。

日本の有名人もニューヨークに移住した人たちも多い。彼らは元々財力を確保した状態での移住なので生活の心配はそうないだろう。だから彼らが発信するニューヨーク情報はそれほど悲壮感はないはずだ。

現状のニューヨークはかなり深刻だ。スープ・キッチンと呼ばれるホームレスの方たちへ食事を提供する施設の利用者が激増したそうだ。街を歩けば空き店舗が目立つ。それに歩いている人が少ない。12月に入りまたレストラン内での飲食が禁じられた。外食する人は当然外出する意味がないので更に引き籠もる。閑古鳥を鳴かすループが仕上がっている。

実は傷ついているニューヨーク。はた目にはそう見えないかもしれないけど、相当弱っているニューヨーク。何もニューヨークだけでなく、これは東京も大阪も同じことだろう。

2020年の幕開けにこんな現状を誰が想像しただろう?東京オリンピックが華やかに開催され、街は活気づく予定だった。蓋をあければこんな感じ。

苦しくとも受け入れるしかない。自分でどうすることも出来ないことは静かに様子見をするしかない。コロナ禍により大打撃を受けた人、それにあまり平常と変わらないような恵まれた人もいることだろう。

いずれにせよ、受け入れよう、この現状を。

いつかきっといいこともあると。

画像: from flickr
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