友人はアメリカ人、女性、黒人、身長180センチはある日本人からすれば大女。ウォール街の勤務先で知り合った。
ニューヨークで長年暮らすと、この街を離れる人の多いこと!友人はドンドン離れていく。このアメリカ人の友人もブルックリン住まいだったが、ニュージャージーに引っ越し、更に同じ州内に引っ越していった。隣の州だからこの場合、ニューヨークを離れた友人にはカウントしない。
さて、この友人は失明した。出会った当初はぶ厚い眼鏡はかけてはいたものの、普通に地下鉄に乗り通勤していた。
ウォール街勤務のマイナス点は、業績が悪いと解雇対象になる。それも大手証券会社なら一気にドサッと解雇される。ご多分に漏れず我々は解雇された。それ以降ずっと友人関係は続いているが、友人は光を失った、失明してしまった。
失明した後に友人宅を訪れると、ゆったりしたソファに座り髪を切った私の毛先を触っていた。その姿を見て胸が苦しくなった。
これから彼女の人生はいろいろ不便を強いられると思った。勝手に気の毒に思った。しかし、それって自分の思い上がりでしかなかった。
友人は失明しても何も変わらない。一度たりとも愚痴を言ったことはない。逆に「見えなくなったことで見えることも出てくる」と、まるで『星の王子さま』あの名言を思い出す。
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。
かんじんなことは、目に見えないんだよ。サン=テグジュペリ
友人がお葬式に行った。それは所属している教会の牧師の10代の息子さんのお葬式だった。牧師さんには双子の男の子がいらして、その一人がお亡くなりになった。愛情深い牧師夫妻だろうから、悲しみの深さは想像も出来ない程だ。
双子はよく似ていたのか気になったので、友人にそう聞いてみた…「お亡くなりになった方はよく似ていたの?」に対して、友人はあっけらかんとして「わかるわけないじゃん、私、ブラインドだよ!」と返ってきた。
そのサッパリ感にじめじめした空気が一掃されて、前向きである力ってパワーがみなぎるのだなと確信した。
どうしてそうポジティブでいられるのか聞いてみた。そうすると「ネガティヴになるのって簡単じゃない?」と一言。
確かにそうだ。ネガティブになるのは簡単なことだ。
いい生き方をしている人たちは、おそらく前向きだろう。それに、マイナス事項に焦点を当てないと思う。人間、マイナス思考にはいくらでもなれる。世の中のイヤな出来事に焦点を当てていれば、イヤな出来事に簡単に感化される。
それを振り払って、幸せなことに焦点を当てることは幸せになるはじめの一歩になると思う。
どんなマイナスな出来事も、あえてプラスに考える。幸せになるためには、幸せになる要素を選ぶ必要がある。
新しい年を迎えるにあたって、このChoose Happinessをスローガンにしてみると、人生きっと上向きになると思う。
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