人間の業の深さ、ミンクの殺傷

  by あおぞら  Tags :  

デンマークの西部で殺処分された大量のミンクが埋められたニュースを読む。

デンマーク政府は『11月4日、1100カ所以上あるミンク農場に殺処分を命じた。すでに、当局と農家が協力し、感染が確認された250万匹が殺処分されたという

行ったことのないデンマークはイメージ的に動物愛護に手厚い国のような気がしていた。童話作家、アンデルセンの生まれた国、『みにくいアヒルの子』や『人魚姫』を読んで育った人たちなら、そう思うのが自然な気がする。

世界最大のミンクの生産地がデンマークであるのが驚きであり、また、ショックでもある。

北国、ニューヨークの冬には以前なら毛皮を着た女性がちらほらいた。それが年々毛皮を着る女性が少なくなっている。これには理由があり、毛皮を着ることで被害を受けることが多くなっているのだ。

どういうことかと言うと、私自身、実際、目の前で見たのだが、アッパーイーストは納税額の高い住人の多い高級住宅街。こちらに高そうな、ミンクの毛皮を着た女性が、ご主人と思しき人と信号待ちで立っていらした。そこへ細身でしっかりした体つきのマラソンランナーのような女性がつかつかと毛皮の女性の前に立ち「アニマルキラー!!」と叫び、丁度信号が変わっ横断歩道を小走りで去っていったのだ。

周りにいた人は私も含めて呆気にとられたし、言われた毛皮の女性もオロオロするだけで、隣の男性もなすすべもなかった。衝撃は大きかった。このようなことが頻繁に行われていたので、毛皮を着る人が少なくなっていったのだと思う。

それに、毛皮を着てしゃなりしゃなり歩くことが出来たのは、昔のハナシかもしれない。ニューヨークに関しては毛皮を着ている人たちへの視線は冷たく、ともすればバカにされている”嘲笑”の視線が注がれる。

アメリカでは毛皮人気は下降路線真っただ中だろうが、それにしても人間の業である。

雑学好きの私は、雑学の本をむさぼり読んでいた時があった。その中で知ったことは『なぜ毛皮のミンクには同じミンクなのに値段の幅が広がっているのか?』の解説だった。記憶を辿りながらで書き連ねると….

① ミンクの捕獲地によって値段が違う(同じマグロでも大間のマグロが高いように)
② 夏ミンクと冬ミンクの違い(夏は毛量が少なく、冬ミンクは毛が密である)
③ ミンクの色(色が美しく大きなものほど価値が高い)
④ 毛皮職人の腕による(美容院でカリスマ美容師だと高いのと同じ)

デンマークの生産地の中でも優劣が付き、高級品を扱う生産地のミンクは値段が張るのだろう。しかし、デンマークがミンクの生産地で世界最大とは、なんだか悲しくもある。

ミンクのコートに必要な数は、なんと70~80頭分と言う。ミンク自体が小動物なのでそれだけ必要とするのだろうが、それにしてもなんとも残酷な毛皮作りの工程よ。動物の皮欲しさに、皮を剝ぐのである。

まさか人間がどこかの星に連れ去れら、その星で人間の皮が貴重で、皮を剥ぎ取られるとしたらどうだろう?ああ、恐ろしや….

毛皮産業で生きている人たちにも生活があるが、どうにかその人たちが生活に困らないような手はずを整えて、この毛皮産業を此の世からなくすことは出来ないだろうか。

ミンクを着るご婦人方よ(男性もいるが)、ミンクを殺傷してまでも、それでもミンクのコートを着たいですか?

画像: from flickr
https://www.flickr.com/photos/kinghansen/49933843028/sizes/z/

ニューヨークから発信しています