ニューヨークのローカルニュース専門局のチャンネルを常につけている。ニュースでありながら、結構、同じ映像を流している。
テレビだけれどほぼラジオ代わりで耳で聞いているが、ハッとしたのは今月半ば、YMCAの職員を半分にすると言ったときだった。もっと詳しく知りたくて検索すると、10月17日付のデイリーニュースで知ることができた。
てっきりアメリカ全土だと思ったら、やはりニューヨークのローカルニュースを扱っているので、それはニューヨークのYMCAのことだった。
The YMCA of Greater New と記事にあるので、ニューヨーク市やその周辺の郊外を意味していると思うが(Greater New Yorkとは東京で言うと東京23区と町田市や狛江市などの大都市近郊の市も含むエリアとお考えいただきたい)、それらの郊外を含めるニューヨーク市に非営利団体のYMCAは24箇所あるそうで、3,600人の職員が働いている。しかし、この新型コロナ感染で約半分の1,599人が解雇されると言う。
日本のニュースで全日空がコロナ禍で、400人以上もの社員をグループ外のノジマや成城石井に出向させることを知る。アメリカではこんな手厚い措置は期待できない。
アメリカの大手航空会社、ユナイテッド航空は7月にスタッフの半分を10月に解雇すると発表した。そして、今月スタッフの半分の36,000人が解雇された。
冷淡な解雇をバッサリするアメリカと比べて日本はそれでも温情がある。全日空とユナイテッド航空の社員に対する姿勢はこれ程までに違う。
解雇に関してはアメリカはこういうバッサリが通例なので、切られる側も覚悟はできている。かなりドライである。
しかし、まぁ全日空は5千億円の赤字と言う。それなのに社員を解雇せずに400人以上を出向させる。それに”全日空が20年ぶりに月給減”の記事見出しもある。それでも給与が支給される!
改めて全日空の社員への手厚い待遇には驚かされる。それだけ大手企業は守られているということか。
確かに全日空にはいいハナシなのだが、日本にもアメリカ並みにバッサリ解雇された人たちも多いと思う。中小企業でコロナ禍の影響を受けたら経営者はひとたまりもない。大手は守られて弱小企業は守られない。それを考えると世の中不公平だと思う。
定例会見でニューヨークのデ・ブラシオ市長は、このコロナ禍における世の中の停滞は誰のせいではないと紳士的に言っている、トランプ大統領のように中国のせいだ!と言うこともなく…..
そうなんだ、誰のせいでもないけど、とばっちりは市民に押し寄せてくる。解雇を恐れない公務員などは安泰だが、小市民たちは不安を煽るような現実と直面する。
ただ、全日空の社員が出向に関して、顔を隠してインタビューを受けていた女性社員がいたが、あの場合、本音は言わなかった方が賢かったと思う。そのインタビューで女性社員は、全日空から都落ち的に家電量販店やスーパーでは働きたくないと言う気持ちが、いとも簡単に汲み取れてしまった。
容赦なく解雇するアメリカの企業、それと比べて全日空の社員の恵まれた環境。ユナイテッド航空は今月36,000人が解雇されているのだ。
全日空の社員は、それでも恵まれていると思う。
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