1980年代がニューヨークのポップアートの黄金時代だったと思う。アンディー・ウォーホール、キース・へリング、ジャン=ミシェル・バスキアと今は亡き芸術家が生きたニューヨーク。
ウォーホールは1980年代には50代だったが、1987年に58歳で亡くなり、へリングは1990年に31歳で、そしてバスキアはその2年前の1988年に27歳と言う若さで亡くなった。3人とも亡くなるには若すぎた。ウォーホールだって58歳と言っても、日本の芸能人で58歳の男性と言えば、中井貴一、柳沢慎吾、風間トオルとまだまだ若い。
ポップアートが花開く土壌にあったニューヨーク。成功のカギは才能もあるが、タイミングだろう。あの時代に生きていたから名を残せたかもしれないし、逆に若死にしたことが更なる人々への記憶と残ったかもしれない。
さて、↑の写真はちょっとキース・へリングを思わせるタッチの絵だが、この写真だけ見ればこの絵が一体なんなのかはわからない。
しかし、↓の少し距離を置いた写真を見てみると実態がわかってくる。遠目でみると模様のように見えるが、コミカルな絵がぎっしりと壁面を覆っている。これ、大型ショッピングモールの駐車場の壁一面に描かれているのである。
この絵自体に値段はつかないかもしれないが、それにしてもこの駐車場の大きな壁部分にこれだけギッシリ詰まったイラストは圧巻である。
この絵をプリントして、シャワーカーテンを作ったりしてもポップだろうし、洋服生地にするもの面白そうだ。折角のイケてる絵柄をただ駐車場の壁画にしておくのはもったいない!
しかし、密かにそんなビジネスアイデアを考えても、行動に移せない私は地団太を踏むのみ。
キース・へリング似のこのイラストを見て、本家のへリングのことを想う。
この芸術家は1980年代にニューヨークの地下鉄で、チョークを使って絵を描くサブウェイドローイングという手法で注目された。今、ニューヨークの地下鉄は厳しく落書きなどしようものならすぐに逮捕されるし、1980年代と違い防犯カメラも至る所に取り付けられているので悪さがしにくい状況である。
ニューヨークは行動したもの勝ち。それに人が多い分だけ注目される、そして運が良ければきちんと化ける。
ただ、あの頃、違法ながらも許された地下鉄の落書きだから注目されたのも成功の要因で、今のように合法的に書く壁画はポップであっても、面白みに欠けるのかもしれない。
それでも、イースト・ビレッジ辺りなどは特に斬新な壁画に街に彩を添えている。因みにこの壁画はイーストハーレムのイーストリーバープラザの駐車場である。