実は前進しているアメリカの黒人差別撤廃!しかし、それには河原の石のように、大河の一滴のように時間と年月をかけて……

  by あおぞら  Tags :  

白人警官が黒人男性の首を抑えて死なせた事件が起きたのは先月5月25日、ミネソタ州ミネアポリスの路上でした。なぜ黒人男性が白人警官に抑えつけられたかと言うと偽札使用の容疑でした。

イヤ、情けないハナシですよ、いい大人が偽札を使おうとするなんてあまりにも幼稚だし、犯罪にしても頭悪すぎ!と一笑に付すって感じですが、警官としては当然捕らえなくてはいけません。

しかし、その捕らえ方が問題でした。

黒人男性が武器でも持っていようものなら、例の首を抑えての扱いはわからないでもないし、手早く首を抑えている間に周りの警官の協力を得て手錠をかける必要があったと思います。

しかし、黒人男性は武器もなし。それなのに白人警官は路上で白昼8分46秒も膝で首を抑え続けたのです。コレ、たまたま通行人の17歳の少女が映像に収めたので、まぎれもない証拠となりましたが、スマホがここまで浸透していなかった10年前であれば、葬られていたありきたりな出来事だったと思うのです。

『ありきたりな出来事?』随分酷な書き方をするなと….と思われる方もいらっしゃるでしょう。随分感じの悪い書き方です。しかし、それには理由があります。

私には黒人女性の友人がいます。人種差別について話すことは今までなかったですし、友人は実に聡明な女性で会話の内容は実に前向きな話題が多く、敬虔なクリスチャンのため神についての話もよくします。

その友人から電話があったので、ここぞとばかりにこの事件について聞いてみました。

黒人が酷く扱われることについては「白人も人間です、黒人も人間です、同じ人間です。黒人が悪さをしました、取り調べします。でもね、膝でクビを抑えて『息が出来ない』と言っているのを無視するのはあまりにも惨い。これはね動物以下の扱いですよ。ペットにすらあんな態度はとらない。黒人を動物以下の扱いにしている。我々黒人は人間はおろか動物以下の扱いですよ

これにはもう言葉が出なかったですね。それにこれは私も思っていたのですが「あの警官は相手が白人だったらあんなことしたと思う?してないよ、するはずがない」と言いました。

それでニューヨークのセントラルパークでも先月人種差別の事件が起き、公園内では犬のリードをつけなくてはいけなくて、看板でも表示されています。白人女性が犬のリードを外していたので、黒人男性がリードを付けるように促しただけなのに、白人女性はプチ発狂していきなり警察に電話し「アフリカンアメリカン(黒人の意)に脅迫されている!!」と叫んでいるのです。あまりにも異常な女性の行動に開いた口がふさがりませんでした。黒人男性の物言いはインテリと見えましたが、実際、ハーバード大卒の編集者でありライターであるとのことです。

私はあの事件に関しても興味があったので、黒人女性の友人に意見を言ってみました….「あれを黒人男性が録画していたからよかったけど、録画していなかったら黒人男性は逮捕されただろうと言っていたけど、まぁ、ご本人はインテリだし、見ればすぐわかるから逮捕はされなかったでしょうけど」って言ったら、かぶせるように「あのね、見た目やいい洋服着ていたって関係はないのよ、黒人というだけで逮捕されるのよ!」ああ、これが現実か….

それを聞いて呆然としましたね。

日常茶飯事に黒人差別は行われていて、人種問題は実にデリケートで『臭い物に蓋をする』と言うのは申し訳ないのですが、アメリカの実情はこんなものです。

セントラルパークの事件は、ミネソタ州で起きた白人警官が黒人男性を殺した事件より早く起きており、こちらは死に至るような大きな事件ではないにせよ、地元ニューヨークではニュースの中心も中心、ニューヨークのローカルニュース専門局などは四六時中同じ映像を流しているようでした。

そういう黒人差別のムーブメントの序章が既にあったので、ミネソタで起きた事件に世間が注目し、コロナで圧迫されている国民の気持ちが、若干ストレス解放みたいに、そこに集まったのではないかと推測します、個人的に。

黒人差別の抗議は一気に全米に広がりました。こちらニューヨークでも凄いことになっています。

黒人差別は常にあり、但し、このように大きな事件が数年に一度マスコミを賑わせ社会問題になります。今回のミネソタの事件は意味あり意義あり、黒人差別の解消に少しでも前進していると思います。

まだまだ時間はかかるでしょうが、決して後退しているわけではなく200年以上前は奴隷としてアメリカに連れてこられたことを考えると、200年でそれでも向上しているのです。

河原の石のように、角がとれるのは時間をかけて、石と石がぶつかり合って丸みが帯びるように、人種も河原の石と同じようなものだと思います。ぶつかり合って、時間をかけて。

ですから、黒人差別の事件が勃発することにより、それをうまく使って差別撤退の材料とすべきなのです。無視が一番いけない。抗議は実際エネルギーもいるし、疲弊することも多いでしょうけど、事件が起こったら逆境を逆手に取り、それを良しとして、黒人差別撤廃のための大河の一滴とすべきたと思います。

画像: from fkickr
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