四川担々麺『赤い鯨』のメニューは医食同源の思想で薬剤師が「調剤」!?

  by 古川 智規  Tags :  

株式会社クロコが5月9日に人形町駅前にオープンした四川担々麺の専門店「赤い鯨」を取材した。
同店は2号店で1号店は赤坂にあり、松戸にある「どういうわけで、松戸」とは同系列の四川担々麺のお店だ。
トップ写真は2階客席からの眺めだが、もしここが和室なら明治の文豪が万年筆を走らせていただろうと思わせるたたずまいが垣間見える。

実際に建物は古く、およそ100年は経過しているとのこと。梅模様の紋章は元は伊勢梅という屋号の小間物屋だったようで、その名残でそのまま残っている。もちろん中身は現代風に改築されているが建具や雰囲気は昔のままだ。それだけでも見る価値がある文化財級の建造物だ。

本格的な丼物をテイクアウトで提供中!

さて、昨今の新型コロナウイルスによる自粛要請の中で、同店では担々麺のサイドメニューであった丼物を増量して単体で食事として完結できるような形で、テイクアウト対応をしている。
担々麺にとどまらずこのどんぶりからも、八角を使用していることが容易にわかる中華料理独特の香りが漂い、まことにエキゾチックだ。香港でも似たような香りを感じたことがあるが、風味も香港のものに似ていた。記者は四川省には行ったことがないので香港との比較でご容赦いただきたい。

テイクアウトメニューは以下の通りで、価格はすべて税込480円だ。

■ テイクアウト「特製どんぶり」

焼豚丼
こだわりの柔らか自家製チャーシューにとろとろの温泉卵を絡めた一品です。

ひき肉そぼろ丼
そぼろは特注の粗挽き肉を使い、しっかりとした肉感と旨味を感じられます。

パイコー丼
パイコーは豚ロースをさくさくとした食感を味わえる衣で包まれています。温泉卵を絡めた一品です。

担々麺は社員である薬剤師が参画!

さて、お店で食べるのであれば担々麺を食していただきたい。(写真は四川担々麺)この担々麺は四川料理と名乗るにふさわしい本流を踏襲している。すなわち唐辛子の辛さとは別に、痺れるような辛さが特徴の麻辣(マーラー)味は花椒(ホアジャオ)によるもの。
唐辛子による辛さの調節はどこのお店でもオーダーできるが、同店ではこれに加えて痺れる辛さの調節もオーダーできる。ということは、注文に合わせてスープを調合しているという意味で、それだけ手間がかかる担々麺である。東南アジアはもとより、中国南西部でもそうだが暑い地方の料理が総じて辛いのはカプサイシンにより発汗を促し、もって健康を保つためだともいわれている。

この担々麺を作るにあたり四川料理の料理人と一緒に参画したのはなんと薬剤師だ。それも外部の薬剤師ではなく社員だというのだからおどろきだ。(写真は咖喱担々麺)
同社飲食事業本部の統括担当で「どういうわけで、松戸」の店長も兼ねる山本剛史さんは担々麺が大好きで、管理薬剤師の職を捨ててラーメンを作る道に入ったという凄腕の薬剤師だ。
同氏によると店名の「赤い鯨」は鯨肉を出しているわけではなく「九治辣(くじら)」からきているという。九治辣とは九つの効果を持ったラー油という意味で、健胃・解熱・発汗・鎮痛・去痰・鎮咳・抗菌・滋養強壮・抗酸化という内容だ。特に漢方に興味があり薬学部に入ったという同氏は、食を通して食べる人の健康に積極的に関与していきたいと思い、その中でも医食同源に通じる食材の組み合わせで担々麺が最も理想に近いという考えのもとで試行錯誤を重ねたという。
実際に配合されるさまざまな香辛料は、単なる食のスパイスとしてのみならず薬剤として使用しているわけではないものの日本薬局方にも収録されているものと同じ材料を使用している。したがっていわゆる「お薬」でも「サプリメント」でもなくラーメンには違いないが、プロの薬剤師がお客の健康を考え、かつおいしく食べることができるように「調剤」した担々麺と表現しても過言ではないだろう。

同店の杏仁豆腐は特に記者のおすすめなので、白ゴマの香り高く食べる人の健康にも配慮された担々麺を食べた後にはぜひスイーツとしていかがだろうか。濃厚でほんのり甘いミルク味、しかもチーズケーキのようでありプリンのようでもある弾力性の高い不思議な杏仁豆腐だ。
テイクアウト需要には特製どんぶりで、お店では四川担々麺で、どちらもアジアンテイストの本物で健康志向のものであるので、味と香りを存分に楽しんでいただきたい。

場所は都営浅草線人形町駅、東京メトロ日比谷線人形町駅からそれぞれ1ブロックで、東京メトロ半蔵門線水天宮前駅からも徒歩数分で人形町通りに面している。住所は東京都中央区日本橋人形町2丁目5−2

※写真はすべて記者撮影

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