消毒液がないので塩素よりも強力な小型ガジェットで作る『オゾン水』という選択はいかが?電源はType-Cで充電!

  by 古川 智規  Tags :  

世の中はまだ新型コロナウイルス一色であるにもかかわらず、エタノールをはじめとする消毒液が一般には手に入りにくい。もちろん医療機関を優先してほしいし、そうすべきであると考える。ようやくマスクが店頭に並び始めた程度である。

手洗いは石けんで問題ないとしても、次亜塩素酸水では人体には使いにくいので、どこでもこれだけというわけにはいかない。できることならば、ありとあらゆるところを使用の制限なく消毒して回りたいところだ。
そこで手軽にせっせと作ることができるガジェットを取り上げる。生成できるのは「オゾン水」だ。記事中で詳細を述べる。

本機はWater Magician(ウォーターマジシャン)という名称で、⾃宅で簡単かつ安全にオゾン⽔を生成できるペン型の⼩型ガジェットをきびだんご株式会社がクラウドファンディングで販売している。使い方は簡単で、⽔道⽔やペットボトルの⽔などに1分間本体を浸けておくだけで、殺菌効果を持つオゾン⽔を作ることができきる。全長約18cm、質量25gの小型軽量設計のため、持ち運びにも便利だ。後述するが外出先では持ち歩かなければならない事情もあるので小型化しているのだと考える。

さて、本体は写真のように金属のケースに入っていて使用するときは中身を取り出して水に浸してスイッチを入れて約1分後に勝手に電源が切れるので、それを待って出来上がりだ。電源はバッテリーを内蔵しており、付属もしているがUSB TYPE-Cケーブルで充電するので、外出先ではモバイルバッテリーで充電することも可能だ。

ところでオゾンとは何者だろうか。若干難しい話になるが大切なことなのでお読みいただきたい。オゾンの分子式はO3で、酸素原子3つからなる。オゾン層で有名なあれだ。オゾンそのものは人体に有毒で高濃度で気体を吸引すると危険だ。しかしそれほどの高濃度な気体は発生しないし、オゾンは日本で食品添加物として認められているので食器や野菜を洗うこともでき、すすぎも不要だ。またオゾンは不安定で短時間で酸素と水に分解してしまい、その上脱臭効果もあるので安心していただきたい。ゆえに生成したオゾン水はすぐに使わなくてはならない。ここが持ち歩いて使う都度生成しなければならないゆえんである。

オゾンが殺菌する仕組みは酸化殺菌である。強力な酸化力により細胞膜や細胞壁を酸化、分解して溶菌させる仕組みである。ポビドンヨード(ヨウ素)や次亜塩素酸ナトリウムも酸化力の強いもので同様の原理で溶菌する。
一般的に周期表の17族すなわちハロゲン属の数字の少ない順から酸化力が強いとされている。フッ素が最も強く、次いで塩素、臭素、ヨウ素の順になる。ではオゾンはどこに入るのかといえば、フッ素の下、塩素の上に位置する。いかに強力な酸化力なのかがお分かりいただけるだろう。もちろん濃度によっても変わるので一概には言えないが一般論ではそうだ。
この強力な殺菌力を利用して日本では塩素が主流だが、海外では水道の殺菌、浄水にも使用されている。

写真は本機の先端部分を拡大したものである。細い穴からオゾンの混合気体が発生して水中に溶け込む仕組みだ。

一般的にオゾンは雷のような高電圧下で自然界で発生する。昔のブラウン管テレビ(ブラウン管は電子ビームを発射する広義の真空管で2万ボルト以上の高電圧を必要とする)でもオゾンは発生する。
本機は自然界や工業用に作られる高温、高電圧下ではなく低温、低電圧で水を電気分解して水中の酸素を利用する方法でオゾンを生成しているようだ。

マニュアルは英語とメーカーのある台湾語で記されているが、充電して水にストローのように突っ込んで電源ボタンを押すだけなのでさほど必要ではない。

オゾンの殺菌力については前述したとおりだが、日本医療・環境オゾン学会の2月14日付レポートによると、

新型コロナウイルスはエンベロープウイルスといわれている。エンベロープは、ウイルスが宿主細胞に結合するのを助けるウイルスタンパク質を含む脂質二重層からなる膜である。アルコール消毒は、このエンベロープを破壊するため有効であるといわれているが、ノロウイルスのようにノンエンベロープウイルスには有効でない。しかし、オゾン水はいずれのタイプのウイルスに対して有効である。

としたものの、新型コロナウイルスの不活化効果の有無は現時点では確認されていない。今現在、治験を行うことが不可能なためなのだろうが、同種のウイルスには効果は確認されていることから日本国内の病院では医師の判断ですでに新型コロナウイルス対策として使用されている例は実際にある。

グラスの水(電気分解するために水道水が良い)に本機を差し込むと電極から気泡が出てくる。1分ほどで電源が切れるので本機は水分をふき取りケースに戻せば、オゾン水の完成だ。あまりお勧めはしないが確認のために鼻を近づけてみると、オゾン特有のいわゆる「生臭い」においがしたので、確かにオゾンは発生しているようだ。
このオゾン水は飲用には適さないので口に入れてうがいする以外であれば、ほぼどんな状況でも使用することができる。入れ歯の洗浄や、加湿器に加えて空間に使用することも可能だ。

クラウドファンディングはすでに成立しているので、正規輸入が確実にされることは決まっているようだ。写真の240mlカップ、100ml、30mlスプレーボトル(いずれもガラス製)は、本機とは別に達成記念として1000円で頒布されるので計量が面倒で持ち運びできる専用ボトルが欲しい方はこちらも同時に支援するとよいだろう。
英語の説明書によると、30mlで生成した濃度の比較的高いオゾン水は約4時間、同240mlだとおよそ15分で分解してしまうようなので、使用の都度作るのが理想的だと言えるだろう。そのための小型設計である。手洗いや消毒で使用して残ったオゾン水は洗濯機に入れるとか、加湿器に入れるとか、あるいはトイレやバスルームに噴霧しても良い。30miスプレーは4時間程度は持つので短時間の外出ならそのままでいいが、作ったらとにかく使い切ることが重要だ。
興味のある方は詳細をご覧いただきたい。長く安全に使用することができるので、手に入れて損をすることはないだろう。

※参考
本品詳細・支援ページ
https://kibi.co/watermagician [リンク]

※写真はすべて記者撮影

乗り物大好き。好奇心旺盛。いいことも悪いこともあるさ。どうせなら知らないことを知って、違う価値観を覗いて、上も下も右も左もそれぞれの立ち位置で一緒に見聞を広げましょう。

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