マンハッタンを歩き回っていると『いきなりステーキ』の店舗を複数見て驚いたことがあったんですね。確か、このチェーン店がニューヨークに進出した頃、大々的なパーティーを行い、松井秀喜氏も招待され、宣伝に一役買わされていたんですよね。進出する勢いは凄くありました。
ところが昨年、ニューヨークの東側の41丁目を歩いていて『客入りはどうだろう…』と店に近づいてくる時に思うと、アレレ、アレ、通り過ぎそうになったのですが、店舗はなんともぬけの殻、看板だけは無残にも残されていて、すでに店じまいしていました。
マンハッタンの飲食で根強い人気はラーメンなんですね。ラーメンと名がついていれば結構流行りますし、また、ラーメンごときにニューヨークでは日本円で1000円以上はしてしまうんですね。店の利益率はべら棒に高いですよね、ラーメンですもの。まだ物珍しさもあるし、日本人の顧客も当然見込めます。
それでいきなりステーキが颯爽とニューヨーク進出した際、『大丈夫かな?』とは思ったんですね。アメリカはステーキの本拠地。日本のステーキ屋がアメリカに進出することは、まるでアメリカが日本で吉野家もどきの牛丼屋を開店すると言う感じでしょうか、ちょっと方向性違うかな?って感じ。
基本、ニューヨークのステーキ屋さんは高級志向なのです。だから日本で人気のいきなりステーキをこの地に持ってきても、高いお金を出して高級店を好むステーキ好きの人には好まれない。じゃ、平均的なアメリカ人の客層を取り込めるか?
いやいや、そんなに甘くなかったんでしょうね。平均的なアメリカ人は冒険をしないと思いますよ。だからあえて日本から来たステーキには興味がないだろうし、かと言って日本人が行くか?となると、わざわざアメリカで日本のステーキ屋にはいかないでしょうね。
まぁ、もし、いきなりステーキの複数店舗の売り上げ好調なら、日本人も興味を持って行ったかもしれませんが、兎に角コケちゃったから、閑古鳥鳴く店には誰も入りたくないんですね。いきなり閉店してしまったこの店舗は本当にいつ見ても人が入っていなかったので心底心配したんですよね。
通常、店舗を出す際のリースの期間は決まっているし、途中解約なら膨大な違約金を支払わなければならないだろうし、アメリカを甘く見ていたかな?
ユニクロや無印良品はニューヨークで大人気です。きっといきなりステーキもそれに続けと夢を見たのかもしれませんが、アメリカの特にニューヨークは夢から醒めるスピードに更に加速度がつく感じ。
いきなり店じまいで面喰いましたけど、本拠地の日本もいきなりステーキの苦戦は続いているようです。何もニューヨークまで手を広げなくてよかったと思うのです。良い肉を提供するという姿勢は素晴らしいですが、それで頑張って利益をあげて、海外に進出したのでしょうが、狭いマンハッタンにいくつもの店舗をオープンし過ぎました。ちょっとやりすぎという印象ですが、勝ちにでたかな?とも思いました。
ニューヨークの店舗続々店舗閉鎖の惨事を目の当たりにしていたら、日本も経営が大変だと知りました。これって経営者が暴走しすぎたのではないでしょうかね?ニューヨークの店舗でもあの経営者の写真がドンと貼られていて、自己主張激しすぎと思いましたが、どちらかというと成功の上に胡坐をかいて、聞く耳を持たない裸の王様的な経営をしていたのではないでしょうかね。
甘くないんですよね、外食産業を海外で成功させるのは。でも、本拠地もコケているなんてお気の毒。
画僧: from flickr
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