秋田南部の知られざる伝統野菜の漬物『お酒に恋する かなかぶ漬け』がワサビのようで感動!

  by 古川 智規  Tags :  

秋田県、それも南部のにかほ市あるいは由利本荘市付近で栽培されている伝統野菜に「かなかぶ」というカブがある。このカブを漬けた「かなかぶ漬け」を紹介したい。
まず、カブという野菜はアブラナ科で、ダイコンも同じアブラナ科ではあるが、カブはアブラナ属、ダイコンはダイコン属という違いがある。かなかぶは、ダイコンのように細くそれを小さくしたような形状である。8月に播種し10月から12月にかけて約15センチメートルになったものを収穫する早生野菜であある。語源は「火野カブ」に由来するといわれ、文字通り焼き畑で栽培された歴史を持つ。

今回紹介するのは『お酒に恋する かなかぶ漬け』と名付けられた漬物ブランドである。
かなかぶは前述の通り、冬に収穫して漬け込み出荷されるが、年に1度しか出荷できないので11月ごろに出てしまうとそれっきりである。しかし、開封前ならば冷蔵保存で6か月は持つので夏前くらいまでは楽しむことができる。

なぜそんなに冷蔵庫で保存するのかというと、置いているうちにパッケージの中で漬け具合が変わり、味わいが変わるからである。その季節ごとに移ろう味がさまざまなお酒に合うということで『お酒に恋する かなかぶ漬け』と名付けられた。

とりあえず、そのままプレーンの状態で食べてみると、かなり歯ごたえのあるしっかりとした硬さ。そしてワサビのようなさわやかな辛みが鼻を抜け、甘酢の酸味が後から付いてくる。このままであればぜひとも茶漬けに添えてかき込みたくなるようなたまらなさである。

さて、メーカー推奨のお酒との合わせ方だが、出荷直後、すなわち1月くらいまではカブ独特の辛みが効いていてビールや山廃仕込みの純米酒に、それから3月くらいまでは辛みが若干まろやかになりボルドーやロワール産のソーヴィニヨン・ブランやジントニックで、そして5月くらいまではかなりまろやかになるのでシングルモルトウイスキーや国産オレンジワイン等が合うという。
記者はジントニックと白ワインで合わせてみたが、ワサビ様の辛さはお酒の味を邪魔せず引き立たせるように感じ、試飲試食であるにもかかわらず調子に乗って一気に3杯も飲んでしまった。

食べ方もさまざまであるが、大きく切ってご飯のおかずにも、薄く切ってお酒のおつまみにも幅広く、しかも開封する季節により味わいが異なっているのでその都度の楽しみがある。

作り方により地域により味は千差万別のようだが、基本的には域外で食べるのは難しいものだった。しかし、「ひとによし」が販売するこの『お酒に恋する かなかぶ漬け』は東京でも手に入れることが可能になった。港区高輪(品川駅近く)にある秋田県のアンテナショップ「あきた美彩館」で販売を開始した。

販売時期が限られているが、保存がきくので開封時期の回数分だけ購入しておき、その月の味わいを楽しむということができそうだ。
食べたことのない素朴だが味わいのある漬物でお酒を楽しんでみてはいかがだろうか。

※写真はすべて記者撮影

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