【書評】マイ・ストーリー(原題:BECOMING)を読んでみて….

  by あおぞら  Tags :  

前ファーストレディー、ミシェル・オバマの『マイ・ストーリー』を読んでいる。Amazonによれば『アメリカ合衆国の元ファーストレディの回顧録としては異例の爆発的な売れ行きで世界中で社会現象となっている』と内容紹介されている。

私自身、ミシェル・オバマに対して好意的ではなかったが、この本の最終章の一言が心に響いた….

「私は社会から無視されることを知っている」と言うことだ。私はずっと無視と共に生きてきた。無視の歴史が私のルーツだ。

これは本人が黒人であることで、今まで随分差別を受けてきたことを最後の最後で告白するような印象を受けた。私は日本人である、そしてニューヨークに生活している。「差別されるか?」と聞かれたとしよう、そしたらおそらく「ない」と答えると思う。そして、しつこく「差別されたと感じたことはないか?」と聞かれたら、ひとつ感ずるところがある。

エレベーター内に女性のみが乗っている。白人女性の場合は確率的に自分が先に出ようとする意志をメラメラ見せる人が多い。私自身は相手が白人であれ、黒人であれ、アジア人であれ、宇宙人であれ、先に降りてもらうように心がけている。先に降りることで争うなんて、まぁ小さすぎるじゃないですか?

アジア人の私が人種差別を感じないと言えるのは、このニューヨークと言う土地柄であり、何人でも街に馴染むのがこのニューヨーク。まさに人種のるつぼとはよく言ったもんだ。

それで黒人差別について考えてみる。

とても残念なことなのだけど、些細な犯罪を起こすのは圧倒的に黒人が多い。ニューヨークの市バスはうなぎの寝床みたいに長く、丁度2台分のバスを繋いだ長さである。乗車口は前からで、降車口は一番前の乗車口からでもいいし、中ほど、後方部に二つほど専用降車口がある。あくまで降車口である。但し、後方の降車口は運転士から死角になるため、無賃乗車で乗り込むケースが多い。圧倒的に黒人の比率が高い。

また、地下鉄駅のイースト・ハーレムを使う際、毎度の光景でイヤになるのだが、地下鉄から降りて駅から出る時、非常出口を使って出る人が多く、非常ドアが開いているスキに無賃乗車をしよとする人が既に非常口から降りる人を待ち、そのまま無賃乗車の人となる。イースト・ハーレムの住人は圧倒的に黒人主流だから、通りに出てもアル中や、麻薬の匂いがあちこちでしている。環境、思いきり悪しである。

じゃ、黒人だから犯罪率が高いか?と言うとそれは違うと言い切れる。私のかつての日本人の上司は国連に出向していた。そこでかつてアシスタントをされていた女性をパーティーの際に紹介してくださった。エチオピア人でセネートさんと仰る知的で上品な方だった。一緒に写真などを撮ったりしたが、住所を聞かれたら、後ほど焼き増ししたものをご丁寧にもカードを添えて送ってくださった。当時も、セネートさんは国連の職員だったと思うが、上司に「セネートさんはエレガントでいらっしゃいますね?」と申し上げると「エチオピアの文部大臣のお嬢さんなんですよ」と仰った。

私は国連近くに住んでいるため、国連職員の黒人や、また領事館もこのあたりには多く、アフリカの領事館勤務の黒人をよく見かける。やはり彼らはスーツをバッチリ着こなし、女性は民族衣装風の個性的な洋服で外交官の威厳を感じる。

人としての威厳は人種ではなく、本人からにじみ出てくるものだ。人種で色分けし、差別する人間の愚かさよ。

但し現実に目を向けると、アメリカは未だ白人優位である。見よ、政治家を、見事に白人男性が有力ポストを抑えているではないか!

アメリカでの黒人は未だに白人のようにチャンスに恵まれない。しかし、黒人であること、女性であること、自由の国と呼ばれるアメリカで理不尽な扱いを受けた黒人女性が、努力、めぐり合わせ、好運によりアメリカ初の黒人ファーストレディーになり、その8年間を終えての回顧録。

好きではなかったミシェル・オバマを好きにさせた一冊であった。

※ 邦題は『マイストーリー』原題は『Becoming』

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