市民議員双方向性のスマホツール『核兵器Yes or No!?議員ウォッチ』が軍縮をもたらす

  by tomokihidachi  Tags :  

[筆者撮影]
 今回紹介するのは、「核廃絶」を目指して国会議員を監視し、逆に議員を動かして平和貢献活動をさせることを狙いとして4月から始動した「核兵器Yes or NO!?議員ウォッチ」スマホツール。(特活)Peace Boatが誇る、国会議員の核兵器禁止条約への立場や日本の核武装に賛成か否かが一目瞭然で把握できる優れもの! サイト立ち上げ運営コアメンバーの神戸大学大学院生、元ピースボートおりづるユース特使の安藤真子さん、慶應義塾大学生の高橋悠太さんと共にプロジェクト発案者の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)の川崎哲国際運営委員が今後の展望を聞く主催事が2019年12月11日夜に開かれた。

[筆者撮影]アンケート調査の結果を説明する「議員ウォッチ」運営委員の神戸大学大学院生 安藤真子さん(24)

約700人の国会議員アンケート調査のうち、回答率は実に11%

一昨年からピースボートおりづるユースとして、ヒバクシャと船旅を同乗し世界中を回り、核兵器廃絶を訴えてきたという「議員ウォッチ」運営委員の安藤真子さん(神戸大学大学院生)。安藤さんはおりづるプロジェクトの道中立ち寄ったスペインのグラナダ大学で、広島のヒバクシャの方に講演していただき質疑応答を受けた時に「なぜ日本は被曝している国であるにも拘らず、核兵器禁止条約に賛成、批准していないのですか?」と欧州の同世代の大学生から問われ、ハッとした。

広島生まれの安藤さんにとってこの経験から「被爆体験や核廃絶を求める広島・長崎の経験を当然のように聞いて育ってきたのに、日本という母国がなかなか核廃絶へ舵を切らない核兵器禁止条約にも明確な立場を示せない。そういう姿勢が問われるのが世界的な視点なのだな」と思うようになった。そんな折、発案者の川崎哲氏に誘われて安藤さんはこの「議員ウォッチ」プロジェクトを立ち上げた。
「国会議員というのは日本の国民の代表として選出されている人々であり、彼らの意見を変えていくことが日本を変えていくことに繋がるのではないか。国会議員に対してアプローチをしていこう。そもそも彼らが核政策についてどう思っているのか?YESかNoか?いかに政策を図っていけばいいか?国会議員にプレッシャーをかけるためにも有権者の方に対してもどの国が今、どれだけの核兵器を保有しているのか?何発ぐらいが核兵器のボタンを発射できる状態になっているのか?まずは『知る』ということから働きかけていこう」という思いが今回のプロジェクトのスマホツール開発の発端となる。

安藤さんは今年の1、2月に現職の全国会議員にヒバクシャ国際署名に賛同している理由。賛同していない理由や、核政策に対してどう思っているのか、メールと葉書で700件以上のアンケート調査を行った。
「その結果、11%の回答率(2019年4月時点)でした。『議員ウォッチ』というスマホツールであっても、こんなにも国会議員と有権者である市民との距離は遠いのか、ということを痛感しました。現状、13%の国会議員の方々がヒバクシャ国際署名に賛同している。たとえ核兵器に対して賛成していたとしても、それはなぜなのか、理由を出し合ってもらって議員と議論をしようにも、その答えそのものがなかなか出てこなかった」と安藤さんは嘆く。

「核兵器Yes or NO!?議員ウォッチ」の使い方


[筆者撮影・編集]「核兵器Yes or NO!?議員ウォッチ」都道府県別・50音順 国会議員 検索の仕方

「核兵器Yes or NO!?議員ウォッチ」スマホツールを開くと、ヒバクシャ国際署名への賛同の有無への回答と47都道府県のボタンがある。各自の出身地域や居住地域の選挙区を見てみる。
例えば東京都だと国会議員が54名いるうち、10名が賛同しているというのが一番上に出てくる。
一番上の海江田万里衆議院議員をクリックすると、未回答だというところが見ることができる。
また、広島県選出の国会議員だと、ヒバクシャ国際署名に賛同している議員が結構多い。その理由まで見ることができる方もその中にはいる。
議員ウォッチの質問で回答を寄せられたものと講演会の発言で引用したものがある。また広島県で国会議員の方々に面会して発言を聞く活動をしている団体から記載したコメントなどもある。
「皆さんが実際にアプローチをしていくとなると、有権者の方が国会議員を選択し、直接HPやTwitterのアカウントに跳ぶこともでき、電話の掛け方なども記載しているので、これを活用してほしいです。例えば、あの時のこの国会議員の発言、一体どういう意図があったのだろうと思ったら、直接メッセージを届けられるのがこのツールの本当に凄いところだと思います」と安藤さんは語る。

[筆者撮影]2019年参議院選挙時の「議員ウォッチ」活用奮闘談を話す同運営委員の高橋悠太さん(19)(写真左)

「議員ウォッチ」を海外のようにSNSを活用して議員と市民が当たり前のようにコミュニケーションするスマホツールにしたい

もう一人の運営委員、広島県出身の慶應義塾大学生の高橋悠太さん(19)は高校時代、ヒューマンライツ部に所属し
当時から川崎氏に縁があり、核廃絶広島中高生による署名キャンペーンの活動を行ってきた。6つ年上の卒業校の違う安藤さんは、伝説的な先輩としてその運動でも高橋さんたちの間で語り草となっていた。
就職活動をしなければならなかった安藤さんに代わり、高橋さんが中心となって今夏の参議院選時に「議員ウォッチ」プロジェクトで奮闘することになる。
700数名の全現職国会議員のうち、ヒバクシャ国際署名に賛同しているのは九十八人。回答率(=賛同率)が13%。自民党議員396名の中の6名のみがヒバクシャ国際署名の賛同者。日本維新の会は0名などの党派もある。
高橋さんは「そもそも50%あるいは3分一回答して頂かないと、議論にならない遠い道のりの始まりだ」と感じた。
「参院選候補者273名(現職以外)のうち、回答してくれたのはわずか30名。結局のところ、現職も候補者も積極的に核兵器の問題に関心を示してくれたのは1割程度。さらに都道府県知事にもアンケート調査を行った。47都道府県あるうちの回答率は42%。ちなみに東京都の小池百合子知事は未賛同。1741市区町村ではなんと462の市区町村が日本政府は核兵器禁止条約に参加すべきという意見書などを採択している。4分の1以上の市区町村がこれだけ声を上げているという現状を政府はきちんと認識すべきだと思う。東京都23区ある中、これを出しているのは文京区だけです」と高橋さんは現状を認識して反応のない市区町村があることに驚いたという。

今年12月の「NHK」の世論調査で2000人強に電話インタビューをして約半数から回答を得た。
日本は核兵器禁止条約に賛成すべきか?65%が賛成すべきと、回答。
にも拘らず「議員ウォッチ」による回答率を鑑みて高橋さんは「民意と国会議員との間に大きなギャップがあると言える」と実際手作業で一人一人に調査した経験からその実感を語る。
その上で高橋さんは「議員ウォッチに国会議員の方に言いたいメッセージを寄せるのではなく、議員に直接言ってもらわないと困る。しかしなかなか活用の仕方が伝わっていないのが課題だ。そこで、デジタルネイティブと言われる若い世代に焦点を当てたい。海外では議員とTwitter上などSNSで双方向的なコミュニケーションが有権者と取れるのが常識。ところが、日本の場合はまだまだ国会議員が一方的にアピールしていることに留まっているように思えた。その現状を変えていきたい」と話す。

一例として「参院選で毎日新聞の参議院選アンケート調査記事に25,6項目ある中の一つとして「日本は核武装すべきか否か」が並んだ。それをPeace Boatのアカウントでピックアップすると、『リツイート』や『イイね!』で拡散されていく。そのように「議員ウォッチ」では市民が、政策決定者を可視化する必要性がある」と高橋さんは考えているとした。

グループディスカッションで見えた「さとり世代」に垣間見える熱量への期待と国会議員への落胆

司会進行役の両名はここからファシリテーターとなり、班を2つに分けて集った聴衆にグループディスカッションを始めさせた。
当初、運営委員の2人は議員の回答率(=賛同率)13%は、「議員ウォッチ」スマホツールを公開したら皆さんがすぐにツイートしたり、見解を議員に届けてくれて、すぐに回答数が伸びるだろうと思っていた。ところが現状はそうではなかった。アプローチの仕方としては、「議員ウォッチ」を活用して多層な世代が国会議員に直接進言したり、問いを投げかけてみる。それができないのはなぜなのか?

大学生(20代)
「『議員ウォッチ』の取ったヒバクシャ国際署名のアンケートに賛同していない国会議員の人たちの見解が載っていない。市民の大多数が思っていない意見というのは言いづらいのだろうなと思う。こちらが求めている答えしか聞けないのではないか。市民と議員のギャップがある」

大学生(20代)
「みんながやらないことをやるというのはすごく難しいじゃないですか。多くの人は多分、直接国会議員に会ったことはないし、自分の意見を国会議員に話したりしたことはないと思うんですよ。それを、『議員ウォッチ』に辿り着いたからといって、みんながやっていないからとか、大多数の人がやっていないからという理由で躊躇する。そう思う人たちがどれだけやりやすくなるかという環境作りをすることが重要ではないでしょうか。そうするとやはりメディアの力は大きい。こういう勉強会だとみんなでやろうだから参加しやすい。一人ではなかなかできない」

大学生(20代)
「私もこの『議員ウォッチ』サイトを見たこと自体はあるんですが、一人ではどうやってアプローチしていいか分からない。こういう風に電話のかけ方があるよ、ってなっても、そこにいくまで勇気が私もなかなか出ないタイプなので、それこそみんなでするとか。一人でして、挫けて『あーっ』てなるのもなんだか切ないじゃないですか。そうなったら、次に行動したくてももう一回それがあるんだったら、したくないなとか。なったりするとちょっと。それこそみんなでアプローチしてみようってなった方がいい。活用するにも、そもそも核兵器に興味ある市民が少ないのではないかなということもあって、友人と話していても、核兵器と言う話題になかなかならない。「議員ウォッチ」の活用も、その前に日本の現状をどう変えていくかとかなったら、より活用しやすくなっていくんじゃないかなと思いました。」

大学生(20代)
「議員さんに対して関心を持っている人が少ない。話題にならない。議員さんに対して答えなくてもいいんじゃないかと思ってしまう」

筆者の印象としては、せっかく核兵器の問題に関心を抱いて集った10~20代の若手世代の一群が「さとり世代」と呼ばれる特徴を持っているという課題を感じさせた。「さとり世代」とは2013年を代表する流行語大賞にもなった言葉である。特徴としては、物欲がなくデジタルネイティブであることから無駄を省く合理性を追求する。ボランティアへの意欲が高く、消費・所有に執着をせず、「さとり世代」以前の「ゆとり世代」までに見られる消費に重きを置く社会から、精神的な豊かさや幸福感に新しい価値観を見出す移行期にある世代ではないか、と言われている。
裏を返せば無駄な衝突事を避け、若干はみ出したりして周囲の同世代と違うことをする失敗や恥をかくことが苦手な気質を持っているとも言える。彼らに勇気を持って一歩を踏み出させる行動変革を促すには何が鍵となるのか?

会社員(40代)
「気候変動マーチなどの環境問題をテーマとしたイベントに参加する若者と、核兵器のような少し物騒なテーマを主体とする催事の何が違うのかを考えています。中高年の方々が環境のムーブメントの場を作る。それらを分析しながら若者にも訴えかけられる仕組みを作る、そうした1人では参加しづらい核兵器のようなテーマもみんなでやれる何かイベントのようなものとセットにした投げかけをしていくことがいいのではないか?」

大学生(18)
「一つの考え方を持った人ではなく、NPTに対して賛成か否か。双方から見たら、正しいと思うことを、悪と正義というのは同様の考え方じゃないか。正義から見たら悪だし。悪から見たら正義だと。自分の考えと同じ考え方を持つ人を作るということが自由に考えや意見を言える場作りをすることになるなら、一人一人の考えで一つの考え方が築き上げられるのではないか。市民から一方的に思っている質疑だけでなく、市民や議員お互いが正義であり、悪だと思っていることを双方向性に意見交換し合う。そのギャップが対極にあるなら、より中央に持って来れることが重要なんじゃないか。本来なら国会でやるべき議論が一般のレベルになるといいんじゃないかと思いました」

高橋さんに今の10〜20代の有権者運動についての熱意を伺うと…
「それぞれの個人によってその熱量は違うと思いますが、少なくとも私はこの活動を始めるまでそれほど政治に対しての関心は高い方ではなかったんです。今夏の参議院選が初めての投票だったんですが、まさか自分がこんなにも一人一人の国会議員のことを調べて、ほとんどこの核兵器の問題に興味を示さないのかということに気付いて落胆しながらも投票するとは思っていなかった。そこにはやってみようという熱量もあるし、期待もありました」と高橋さん(19)

グループディスカッションを一通り終えたファシリテーターの安藤さん(24)が
「例えば災害など自分の生活に直結している、自分の命に切迫しているものを感じられる問題の方が緊迫性を帯びていて、考えることが多い。やはり議員に対してもそういうトピックを問いかけることの方がより有意義ではないか。広島と長崎に原爆が投下されてから既に74年が経っているので、若い世代は特に核兵器の脅威に晒されているという感覚を持ちにくい。その緊迫性を持てないということが関心をなかなか持てないということにつながっているのではないか」とコメントを引き取った。

いかに双方向性の対話と議論を市民の側から働きかけていくか?

[筆者撮影]「議員ウォッチ」プロジェクト発案者のICAN国際運営委員の川崎哲氏

閉会間際にICAN国際運営委員の川崎哲氏が種明かしをした。
「もともと、『議員ウォッチへようこそ!』ということで、議員ウォッチのやり方などが色々と聞けると思って参加された方が多かったと思うのですが…逆に皆さんに話し合ってもらうという会にしていたわけです」。
背景には「運営側がこのプロジェクトのスマホツールを活用して市民と国会議員の議論を闊達にさせていこうという試みだったのですが、かなりよくやってもらって新しい動きを作れているという自負があります。しかし、なかなか本当に目に見えて達成してきているという実感が湧かないので皆さんのアイデアを頂きたいと思っていました」という事情があった。

ICANの活動などで世界中を飛び回る川崎氏には市民が政治に関わることが当たり前にある欧州の風習などを目の当たりにし、なぜ日本ではなかなか上手くいかないのか懊悩する日々が続いていた。
スウェーデン出身ICANのジュネーブ事務局スタッフ、ダニエル氏が日本のPEACE BOATセンターに来日講演した際の逸話があるという。
聴衆が「私たちのグループは主婦なので、なかなか政治について取り上げにくい」という話をしたところ、ダニエル氏は「意味が分からない。通訳の誤訳ではないのか?」と話したくらいのそんな感覚こそを、川崎氏は日本の市民にも求めているのだ。

焦点は抑止力に対する理論武装で核兵器は人を殺せる兵器だと棚に上げて思考停止している被爆国の国会議員をどう動かせるか?

―「議員ウォッチ」の中でもヒバクシャ国際署名に賛同している与党議員(中でも自民党)は6名と稀有でいかに今後の危機意識を共有し連帯してムーブメントを起こせる国会議員を一人でも多く増やしていけるかにかかってくるのではないか?
例えば被爆地広島県から選出されて、ヒバクシャ国際署名に賛同している自民党の小林史明衆議院議員がいる。

―米国のトランプ大統領は短距離、中距離の核ミサイル(開発)を止めようとはしていない。東アジアで短距離、中距離の核ミサイルが使われることは起きてもいいのではないかという兆候がある。それはいずれ東アジアが欧米を抜いて頂点に立つ時がくるからであるという専門家の見方もある。トランプ氏は、はっきりと「弱い核ミサイル、短距離、中距離ミサイルを研究せよ」と明言している。
日本が弾道の種類を問わず、米軍による新ミサイル日本配備に反対できるだけの理論武装をした、日本側の役割拡大を含む現実的代替案の提示こそを議論していかなければならないのではないか?ということこそを議論すべきだと思うが?

安藤さんは「中距離弾道ミサイルに限らず、核兵器という人を殺せる兵器を開発する他国と言う国を支援するというのは、国の立場としておかしいと思いますから、それを止めるために日米関係は非常に密接であり、だからこそ言えないのだという一側面もあると思う。しかし日本は被爆国であり、発言権と共に関係性を築かねばならない。なかなかそれができていないということは核兵器に関しても同様のことが言えると思う。核の傘の下にいる日本という立場を脱することができない限り、中距離弾道ミサイルであれ、なんであれ、なかなかその立ち位置を変えることはできないと思います」と語る。

―何にせよ、抑止力の問題だと思いますが?ウォーファイティングが前提の抑止力という概念はおかしいと思う?

安藤さんは「そうですね。人を殺せる兵器を保有していること自体が非人道的だということを誰も考えない。」

―核兵器を最小限に使用するために抑止力という考え方があり、かつそれが機能している
という現実を受け入れた上で、核抑止力の論理と軍縮の論理を両立させる。それはいかが思われますか?

安藤さん「反対です」

―「反対です」というだけでは、米国の中距離核弾道ミサイル配備論を振りかざされた時、理論武装として負けてしまうのでは?なぜ反対なのかということに対する説明責任を果たしていかないと核保有超大国の圧力に負けてしまう。その論理的説明をする前に国会議員が思考停止してしまっている。だからこそ、ヒバクシャ国際署名に賛同するか?核兵器に賛成か?否か?あるいはなぜ、その理由を言えないのか、無回答なのか。そこにこそ理由が集約されると思う。

安藤さん「なるほど。国会議員の方々自身が考えないんですか?」

―国会議員にとって都合の悪いことには思考停止して口にしないということではないでしょうか。例えば、共産党の志位和夫委員長は「党是としては九条改憲NOだ」と。しかし、個人的には少し変えなくてはいけないと思っている。本音と建前が違うということです。

同様の質問を安藤さんという次世代を担うユースが誠実に回答していることを踏まえて、ヒバクシャ国際署名に賛同している与党議員にもぶつけてみた。

自民党 小林史明(衆議院議員/広島7区/福山市)Twitter(2019年12月13日)

飛立 知希 Twitter(2019年12月13日)「小林史明衆議院議員へのダイレクトツイート」①

飛立 知希 Twitter(2019年12月13日)「小林史明衆議院議員へのダイレクトツイート」②
二度取材申請して、このようにダイレクトツイートしたところ、翌週明けに広報官の方に電話をいただき、比較的誠実な対応をしていただけた。
このように、多少不格好でも「赤信号みんなで渡れば怖くない」の精神でもいいが、私で参考になるかは分からないが、国会議員に対して恥をかいたり、失敗を恐れることもせず、時には自分が切り込み隊長になるくらいの意気込みを次世代のユースにこそ期待したい。

全体統括として、川崎氏は「その議論は重要だと思うが、今、『議員ウォッチ』でやろうとしていることは、その一歩手前の核兵器の問題に対して国会議員がどのような立場を取っているのか?というところであり、トランプ政権に対してどのように対処すべきかというのは、もう少し踏み込んだ議論になってくると思っている」と指摘した。

世界の先進例に学ぶ

Towards Global Peace- Strengthening Youth’s Involvement in the Global Nuclear Dialogue©️BAN KI-MOON CENTRE for Global Citizens

今年5月31日、「潘基文グローバル市民センター」が「グローバルな平和を志向して:グローバルな核対話に巻き込み若者(の意識)を強くする」という催事を韓国のソウル市に在する延世大学で執り行っていた。
同センターは潘基文元国連事務総長とオーストリアのハインツ・フィッシャー元大統領が2018年にオーストリアを本拠地として創設した国際教育機関だ。
 このイベントには次代を担うユース代表を招き、元国連軍縮担当上級代表キム・ウォンス大使や包括的核実験禁止条約機関(CTBTO)のラッシーナ・ゼルボ準備委員会事務局長も顔を揃えた。
 潘氏は「軍縮の分野で変革をもたらすにはユースと関わることが重要だ。気候変動への挑戦と同じくらい核対話を行うべきだ」とした上で、「国家リーダーシップというよりむしろグローバルリーダーシップこそ、グローバル問題を解決したり、平和を成し遂げていく上で非常に重要だ」とのメッセージをユースに送って鼓舞した。
(Ban Ki Moon Centre For Global Citizen “Towards Global Peace: Strengtening Youth’s Involvement in the Global Nuclear Dialogue” June 3, 2019)

潘氏が主張するように、核問題の対話と気候変動の問題は表裏一体である。
国連総会では日本が草案を取りまとめ提出する「核廃絶」決議が英仏の賛成なども取り付けて今年も26年連続で採択され、米国が棄権に回った。中国とロシア、北朝鮮、シリアと顔ぶれは変わらない。一方で核兵器禁止条約には日本は批准せず、反対を表明した。
他方、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)1.5℃特別報告書を踏まえた世界の動向からも今年のCOP25には注目が集っていた。
COP24でも既にSBSTA(科学および技術の助言に関する補助機関)結論文案として、「IPCC1.5℃特別報告書に『留意する(note)』ではなく『歓迎する(welcome)』への変更を求めていた小島嶼国グループの中の一つ、「マーシャル諸島」は、長期戦略として2050年温室効果ガス(GHG)「正味ゼロ(ネット)排出」に向けた動きを加速化させてきた。(2018年12月時点)
ところが、世界の地球温暖化による気温上昇を産業革命に比べた際、1.5〜2℃以内に抑えるという目標達成は現状対策レベルでは到底不可能だとCOP25の排出権ルール見送りから世論喚起の必要性について潜在的に高まる危機意識の共有を具体的な行動に落とし込む視点の欠落という課題。さらには政治レベルの危機意識の欠如という双方の課題から完全に「核問題の市民議員双方向性の対話」が必要だという問題認識は「気候変動問題」でも同様であるという一致をみた。

潘元国連事務総長が説く「核対話と気候変動への取り組みの重要性」両問題の最大犠牲国とはマーシャル諸島だ

How the U.S. betrayed the Mashall Islands, kindling the next nuclear disaster©️Los Angeles Times

「世界では気候変動への危機感がかつてなく高まっています。この状況をどう受け止めればいいのか」とスピーチし、「TIME」の”persons of the year 2019”の顔にもなったスウェーデン出身の環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16)に世界の注目が集まっている今。

実は「他のどの地よりも圧倒的にマーシャル諸島は人道的に直面している2つの脅威に晒され続けてきた犠牲国なのですー核兵器と気候変動という名の脅威に」とコロンビア大学の法学部マイケル・ゲラード法学学者は危惧する。
 これからここに書くマーシャル諸島共和国の住人たちの米国に遭わされてきた被害とは、日本の広島、長崎に次ぐ「福島」と「チェルノブイリ」のそれと等しく、原典となる力作のレポート”How the US betrayed the Marshall islands kindling the next nuclear disaster.”(2019年11月10日)の著者スーザン・ラスト氏はその意味で「rival(好敵手)」と記述している。ニュアンスが奇異であるが興味深い。
1946年から1958年の間に米軍はマーシャル諸島で原子爆弾の爆破実験を行なってきた。
1946年から51年までビキニ岩礁とエニウェトク島嶼で67の核実験のうち最初の23から225ktの9つの核爆弾爆破に着手。数百人の島民に避難を無理強いした。
1952年にはより巨大な25の人工爆弾が次の4年間ブラボー核実験を含み爆破させる。放射能が数百マイル広がり、ロンゲラップ島嶼とウティリク島嶼双方を汚染した。
1958年には4月28日から8月18日まで最後の33の地上核爆弾実験を行なった。
そればかりかその10年後の1968年になると、1個部隊を抹殺できるだけの毒性の強いバクテリアの生物兵器実験や通常戦力爆弾実験まで手広く行なったという。
日本とも切っても切れない因縁があるのは第五福竜丸の乗組員が被爆して死亡したブラボービキニ核実験事件が悪名高い。

さらに、著者がインタビューした大気被爆者のナージェ・ジョセフさん(72)はわずか7歳の少女時代にキノコ雲の目撃者となり、甲状腺を患った。それだけではない。マーシャル諸島のロンゲラップ島嶼の住人たちは米軍の放射能研究のモルモットにされ、がんや流産、奇形児という健康被害や10歳にも満たなかった児童がブラボービキニ核実験で白血病に罹り死に至らしめられている。
1986年にマーシャル諸島共和国はミクロネシア共和国などと共に米三小島嶼国間「自由連合協定(SAA)」を締結した。1988年には核被害補償法廷(Nuclear Claims Tribunal)を米・マーシャル諸島二国間で設置。被害国のマーシャル諸島共和国が23億ドルの支払いを求めたのに対し、米国はわずか400万ドルしか支払わなかった。

マーシャル諸島といえば、筆者が別稿で既に書いた2014年4月24日、故トニー・デブルム外相が中心となり、核保有国9ヶ国を相手取って国際司法裁判所(ICJ)に提訴した勇猛果敢な挑戦があった。この訴訟の被告である核保有国で、管轄権の根拠及び適用実体法の違いから対英国、インド、パキスタンの三ヶ国については2016年10月5日にそれぞれ判決が下された。しかし米、仏、中、露、イスラエル、北朝鮮に対しては「応訴管轄」を根拠としたため、ICJ規則38条「裁判の基準」5項に基づき、6ヶ国は名簿総件リスト化から外されている。いずれも敗訴とはなったが、ブルム氏ほど同時にパリ協定の理念を理解し地球温暖化に警鐘を鳴らして尽力し続けてきた人物はいなかったという。

しかし、前述の被爆者ジョセフさんの希望とは、国が米国を提訴したとしても、真に求めているものは、米国の謝罪や補償金などではないという。彼女はただ、先祖代々受け継いできたロンゲラップ島嶼に彼女の子供や孫、ひ孫たちと共に記憶の中で先祖たちと共にあるあのココナッツの木の下に戻りたいだけなのだ。

 そんな切なる願いを抱く温厚なマーシャル諸島の人々に対し、米国はまたしても非人道的な放射性廃棄物処理の途上で彼らに健康被害をさらにもたらし裏切った。
このレポートで強く訴えているのは、今日年代ものの墓に似たヒューストンの宇宙ドームの小さな類型のようなものがエニウェトク島嶼のルニット島に建造されてから40年が経つが、マーシャル諸島での核実験から汚染された放射性廃棄土壌のみならず、1951年と1955年に米国が本土のネヴァダ核実験場で行なった地域からも汚染された放射性廃棄物の土壌を運搬してこの地に埋め立てた。オリンピック水泳競技用プールが33個分入る彼の地は石などで地面にできた爆裂穴の中に2.26平方マイル内に汚染された43の爆弾によって粉砕された鋼鉄の一塊にできた穴から汚染された土壌とプルトニウムが陸上の基地にある、最も多くの放射能や毒物、オリンピック水泳競技用プール二個分の汚染されたデブリの価値が、島からサンゴ礁を超えて蓋をしたドーム状のクレーターになってルニット島にある。
このクレーターがひび割れ、高潮がドームを飲み込み洗い流すなどする度に、石灰岩でできた穴だらけのくぼみから人体に有害な放射能物質が流出していた。ドームを清掃している間に、マスクも、人工呼吸器も、病原体防護服も貸与されていなかった作業員6名が死亡。がんなどの重病を引き起こしたと一部報じられたが、米政府は認識していなかった、としている。
このレポートで度々声を上げてきたマーシャル諸島の司法・移民政策・労働省のジャック・アディング大臣(エニウェトク島嶼出身)は「この時、マーシャル諸島の人々…特にエニウェトク島嶼の人々は初めてこの明らかになった事実を知ったのだ」という。

米国の科学者であり、マーシャル諸島の核問題に関するキーパーソンとも呼べるエネルギー省のローレンス・リヴァーモア国立研究所のテリー・ハミルトン研究者は、1970年代と1980年代に米国が採取したサンプルからより汚染されたエニウェトク湖礁よりずっと多くの汚染物質がドーム内に貯蔵されていると示唆されているそうだ。
プルトニウムが空気を媒介して運ばれた時の人体に与える健康リスクを考え、ハミルトン氏は「エニウェトク島嶼に住む人だけが、核実験より数十年と経つ今、放射能汚染の健康被害の捨て石にされた」と警告した。

さらには生前のトニー・デブルム外相が奔走した地球温暖化問題のパリ協定から米国が離脱するという由々しき事態を迎える今より以前、1993年からマーシャル諸島の海面は年に約0.3インチというグローバル基準平均値が0.11から0.14。西太平洋の二倍の速さで海面上昇し続けてきた。
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による未来予測に基づき、今世紀の終わりまでに海面上昇が4〜5フィート上昇し得るのなら、マーシャル諸島のほとんどの島嶼が海の底に沈んでしまう。さらに「島が半分海面に浮き出たとしても」米国地理調査のカート・ストアラッツィ地図製作技師はこう言う。「損害を受けたインフラや汚染された放射性廃棄物質が逆に海に浸かると深刻な問題になる」と。

マーシャル諸島はその起源、中国と国交を断交していたが、米国の影響力を減らすことのできる中国の戦略的ロケーションと習近平政権の関心事の一部故に、中国はマーシャル諸島や他の太平洋小島嶼国へと触手を伸ばし始めた。中国による進出は米国の指導者たちにマーシャル諸島共和国のヒルダ・C・ハイネ大統領のような指導者に対し慈悲深さや配慮をすることを強いた。
ハイネ大統領は最近になって国連人権理事会の安全保障の席に着いたという。
地政学的移行としてもまた、マーシャル諸島には新たなレバレッジが与えられてきた。中国はその触手を中央、太平洋まで到達させていたのだ。その地域の最大貿易パートナーとして米国を遥かに凌ぐ24の諸国に援助と貸付を提供している。
米中経済安全保障批評委員会議会委員からの2018年報告書によれば、「米国の軍事プレゼンスを弱めるための地域に米国の影響力を損なわせようと試みたり、中国の軍事的なアクセス権のための開かれた場を生み出した」としている。

米国の最も信頼に足る太平洋同盟国―キリバス共和国やソロモン諸島は険しかった台湾との外交の結び付きの代わりに中国に喜んで応じている。

今年8月、米国のマイク・ポンペオ国務長官はミクロネシアまで出向き、マーシャル諸島を含む複数の太平洋島嶼諸国の首脳らと会談した。
ポンペオ氏は安全保障の軍事プレゼンスを提供する代わりに援助を提供し、米国でマーシャル諸島人のために働く権利も保障するとした、2023年に失効期限を迎える米・マーシャル諸島「自由連合協定(SAA)」の延長を用意する意図があると公表。
毎年年間米国からトータルで約3000万ドルの譲渡金を保証されてきた協定だけに、マーシャル諸島人を驚かせた。
政府高官たちはマーシャル諸島が新たな交渉力を持つ署名として受け取ったが、前出のアディング司法相は「我々にとってみれば生きるか死ぬかの問題だ。安易な元気付けに専ら依頼心を持つ余裕などない。我々に必要なのは、以前米国が見つけたものを確認し、それに挑戦することに重きを置く国際共同体からの中立な専門家だ」と米国の提案を斬り捨てた。

マーシャル諸島よりも遥かに力を持つはずの日本の国会議員はなぜ押し黙るのか

核兵器問題と気候変動問題の脅威―このような二重の危機に晒されている中で、それでも米軍の安全保障のプレゼンス、すなわち「抑止力」の底流が垣間見られるマーシャル諸島。
だが、この共和国には故トニー・デブルム外相のような石橋湛山的気骨あふれる政治家がいた。そして今なおその精神を引き継ぐジャック・アディング司法相(エニウェトク島嶼出身)のような米国の長いものには巻かれろ精神を敢然と跳ね返す勇猛果敢な政治家もいる。
中国はマーシャル諸島などのアジア太平洋の島嶼群だけでなく、南米のベネズエラやシリアのような中東にもその影響力を拡大させているが…
果たして北朝鮮ではなく、中国とロシアの脅威が先んじる日本の国防に対し、米国の核抑止力に依頼心を強く持ち、被爆国であるマーシャル諸島という小島嶼国より遥かに力を持つはずの島国日本の国会議員がなぜ日米同盟を最後の依るべき砦のようにしかできないまま思考停止しているのか。

一方、世界を取り巻く軍縮国家安全保障政策の背景は、米露INF条約破棄後のポスト新START条約時代に突入していた米国防総省(ペンタゴン)が、核兵器以前に通常兵器通常弾道弾搭載型の中距離ミサイルを対中国国防政策として掲げてきた。この対中政策により欧州の安全保障が犠牲になったとの批判も紛糾する中、ロシアを強く意識した米国による欧州核兵器配備受け入れ反対運動をロシア自身と中国が裏で支援する可能性も捨てきれない由々しき事態もあり得る。
他方、日本政府はINF条約について米国の「問題意識は理解する」としてきた。実はこの「理解する」とは、外交政策において「支持する」とは言いたくない際の

1)日米同盟の重要性に鑑み、米国のドナルド・トランプ政権の判断を真っ向から批判することを避けたい
2)ロシアのウラジミール・プーチン政権との平和条約締結を控えロシア政府を刺激することを避けたい

という二つの打算からくるものだった。日本としては巻き添えになることを避ける万策。
同様の文脈で「一帯一路イニシアチブ(BRI)」という経済パワー外交を展開する中国にとって、「開かれたインド太平洋構想(FOIP)」とは米中関係を超えてアジアに米国を関与させ続け、同時に日本としても米中競合に巻き込まれないように牽制する外交政策でもある。

核廃絶を目指す上で筆者が別稿でもこの「核廃絶」と「抑止力」という矛盾した課題に既に取り組んだ際の基礎研究として書いた「核兵器の使用の可能性を極限まで小さくするために核抑止力が現実として必要であり、かつそれが機能しているという現実を受け入れた上で、核抑止力の論理と両立する軍縮の論理を提示していくことが日本の核軍縮の専門家に求められている」という一見明快な国際法学上の法乖離論上「法の欠缺」の論理。
しかし米国の「核抑止」を欲する日本政府が本質的な国防上の問題を作った「脅威」そのものを排除するとなれば、そこには第二次世界大戦から連綿と受け継ぐ歴史修正主義問題という中心的根幹の課題をそもそも抜本から解決していかねばならない「抑止論」以前の問題があるのかもしれない。だが国会議員としてもそれを議論する手前の段階で政局争いが政策論争以上に全面に押し出されているように思わずにはいられない。それこそが不都合な事実を日本の国会議員に押し黙らせ、次世代を担うユースが明確に答えたアジェンダにさえ臭いものには蓋をして棚上げしてきた日本外交の不誠実さを生んでいるのかもしれない。
旧冷戦期におけるリベラリズムと共産主義、全体主義の間の内紛を起因とするイデオロギーによる核戦争の時代は終わった。
青山学院大学の羽場久美子教授は「ハンガリーのヴィクトル・オルバン氏を筆頭に欧州のポピュリストたちが盛んに『英国や米国のようなリベラル・デモクラシーではなく、イ・リベラル・デモクラシーを今や西洋の小国が目指そうとしている。デモクラシーは否定しないけれども、リベラリズムは否定する』と演説している。米近代のリベラリズムはこの200年で衰退し終わりつつある。だがまだ中国やインドの時代にはなっていない。そういうトランジションの中で我々はいかなる新国際秩序を模索するかだ」と語り「新国際秩序は中国や先進国である日本が、新興国と手を結んで異なる価値基準を共有し、互いにないものを吸収しあって築いていくものになっていくだろう」と指摘する。羽場氏は「東アジアで短距離、中距離の核ミサイルが使われることは起きてもいいのではないかという兆候がある。それはいずれ東アジアが欧米を抜いて頂点に立つ時がくるからである。そこを踏まえて欧州のリベラル・デモクラシーの限界のようなものを考察していかねばならない」と東アジアと欧米の安全保障の展望を語った。

また旧冷戦期に核削減への道筋にも導いたミハイル・ゴルバチョフ元共産党書記長(88)が今年12月「朝日新聞」(2019年12月17日)の単独インタビューに応じている。同紙の次の問いに対し
ートランプ政権は小型核弾道など「使える核」の開発を表明し、ロシアの違反を理由にINF条約を脱退後、中距離ミサイルの発射実験を実施した。ロシアも対抗姿勢を見せている。
「米露がまず、対話を再開すべきだ」と主張。「二度目の広島を誰も望んではいけないと、と思う。世界の核戦力の90%を持つ核大国は、核廃絶に動くということを世界の世論に請け負わなくてはならない」とした。核抑止力も明確に否定。「総じて世界を守らない。むしろ世界を脅威に晒し続ける。私は最近、ノーベル平和賞の受賞者たちに書簡を送り、核大国の指導者たちに訴えるよう呼び掛けた。核の削減と撤廃の交渉に戻るように、と。核抑止論に立って、『核兵器は戦争から世界を守る』と核を褒めちぎる専門家もいる。しかし、少なくとも一度は世界を自滅寸前にした。62年のキューバ危機だ。これを忘れてはならない」と強調した。

ー現在の状況への助言は。
「冷戦後に作られた国際安全保障の土台を生かすことが求められています。特に米国の共和党と民主党の国会議員たちに訴えたい。ここ数年の緊迫した政治状況が、核兵器の問題を含め米露両国の対話を妨げている。政党間の対立を乗り越える時だ」とした上で「米露関係を改めて動かす新しい理念が必要でしょう。少し前、レーガン時代の国務長官シュルツ氏と米露の専門家による民間フォーラム創設を呼びかけた。両国政府への提案を作るのだ。思考が軍事的になれば、国家の振る舞いも軍事化に繋がる。安全保障の問題解決の鍵は、兵器ではなく、政治だ。世界が軍拡や反目に転がらないよう、我々は行動できると信じている」

ー日本については。
「核兵器とは何かを体験した初めての国だ。日本の役割、日本の言葉は重い」と語り、米露の対話再開への後押しにゴルバチョフ氏は期待感を示した。

tomokihidachi

2003年、日芸文芸学科卒業。マガジンハウス「ダ・カーポ」編集部フリー契約ライター。編プロで書籍の編集職にも関わり、Devex.Japan、「国際開発ジャーナル」で記事を発表。本に関するWEBニュースサイト「ビーカイブ」から本格的にジャーナリズムの実績を積む。この他、TBS報道局CGルーム提携企業や(株)共同テレビジョン映像取材部に勤務した。個人で新潟中越大震災取材や3.11の2週間後にボランティアとして福島に現地入り。現在は市民ライターとして執筆しながら16年目の闘病中。(株)「ログミー」編集部やクラウドソーシング系のフリー単発案件、NPO地域精神保健機構COMHBOで「コンボライター」の実績もある。(財)日本国際問題研究所「軍縮・科学技術センター」令和元年「軍縮・不拡散」合宿講座認定証取得。目下プログラミングの研修を控え体調調整しながら多くの案件にアプライ中。時代を鋭く抉る社会派作家志望!無数の不採用通知に負けず職業を選ばず様々な仕事をこなしながら書き続け、35年かけプロの作家になったノリーンエアズを敬愛。

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