被災地の野菜・果実を救え 世界のシェフが参加するおいしい救済プロジェクト

  by 松沢直樹  Tags :  

今も広がる台風15号と集中豪雨の被害 クラウドファウンディングで被災農家の支援

台風15号ならびに、10月10日から翌日にかけて関東甲信越・東北に降った集中豪雨は、各地に多大な被害をもたらした。
特に、首都圏の台所ともいえる千葉、茨城、長野、福島の農地への被害は甚大であり、農林水産省の推計では、農産物・農業設備を含めて被害額は2000億円を超えるとしている。(10月30日現在)

農業設備の被害も深刻だが、目下の問題は、収穫期を迎えた農産物である。そもそも日本は、年間に生産される1400万トンの野菜のうち、400万トンが収穫されても食卓に回らず廃棄されている。これらの野菜を少しでも多く食卓に回し、消費者と農家をサポートしてきた「チバベジ」、「ポケットマルシェ」の活動が注目を集めている。

チバベジ」は、日本で廃棄される野菜400万トンを加工食品にするなどして、少しでも多く食卓に回すなどの活動を行ってきた団体だ。
また、「ポケットマルシェ」は、農家や漁師と消費者を直結し、廃棄される食品を減らすとともに、生産者・消費者の相互扶助を行ってきた。

これらの活動で背骨ができていたこともあって、今回の災害にあたって、被災農家から野菜を買い取って支援するクラウドファウンディングを立ち上げた。11月5日時点で、目標額500万円に対して、188万円が集まっている。

台風15号千葉県被災クラウドファウンディング チバベジ ホームページへ

世界のシェフがレシピを寄付 消費者が農家から直接農産物を買うきっかけに

その後、「チバベジ」、「ポケットマルシェ」の農家支援を後押しする形で、フランス在住のシェフ 神谷隆幸さんが発案したアイデアに、世界中のシェフと消費者から共感の声が集まっている。

そのアイデアとは、被災農家から農産物を買ってくださった方に、ダイレクトメールで神谷シェフ考案のレシピを送るというもの。
当初は、神谷シェフが投稿した被災した長野のりんごを使う「タルト・タタン」のつくり方だった。

その後、神谷シェフのアイデアに共感した世界中のシェフを中心に、多数のレシピが寄付されている。
Togetherにまとめられているので、ぜひ一度ごらんいただきたい。

まとめ 台風被害の農家のために惜しげなく公開されるレシピが全部美味しそう

スーパーで被災地から送られてきた野菜や果実を購入するのも、大きなサポートになるが、農家と直結してサポートしている「チバベジ」、「ポケットマルシェ」に連絡をとって、野菜や果実を取り寄せてみてはいかがだろうか。

安全が担保されていて、おいしい上に、被災された農家の方を応援できるなら、こんなおいしい応援はないはずだ。

余談だが、増税の上に、今回の災害で正規の流通ルートに乗る野菜や果実が高騰するのは必至である。被災農家から野菜や果実を直接買うことは、単に被災農家の応援になるだけではない。我々の財布にもやさしいことをお伝えしておきたい。

松沢直樹

福岡県北九州市出身。主な取材フィールドは、フード、医療、社会保障など。近著に「食費革命」「うちの職場は隠れブラックかも」(三五館)」近年は児童文学作品も上梓。連合ユニオン東京・委託労働者ユニオン執行副委員長