八村塁選手がアメリカ・プロバスケットボールNBAのドラフト会議で日本人初の一巡指名され、ワシントン・ウィザーズに入団決定したニュースに日本が湧いていたら、早速ナイキのブランド『ジョーダン』と契約。八村選手の憧れのマイケル・ジョーダンのブランドだから驚きだ。
この21歳の若者の人間的器に驚いたのは、ドラフト一巡の指名の後、すぐにインタビューが入った。これは日本のテレビでも既に報道されているが、女性リポーターが「八村選手は日本の国旗のバッジをつけていますね、これは初めての日本人ドラフト一巡指名の快挙をまるでプレゼンしているようですね。NBAの一巡指名された心境はいかがですか?」と問うと、
「信じられません、アンリアルですね、これは私にとり大いなる意義のあるもので、私の家族や、母国の日本に感謝してもしきれません」
となんともいじらしいことを言う。ここでこの青年の人間性が出てきますね、素直、優しい、聡明…..等々
それを聞いたレポーターは「では、その気持ちを日本のご家族やファンの皆さんになんて伝えたいですか?どうぞ、日本語で言ってみてください」と振られると、
八村選手はいきなり日本語を話さずに、英語のままで
「まず最初に、中学の時のコーチに感謝を伝えたいです。最初に会った時にコーチは自分を指さして『NBAに行くからね』といきなり言ってきたのですが、僕はコーチをその段階で信じてやってきて、それに高校のコーチやトレーナー、大学のコーチやトレーナー、チームメイト、もう皆さんに感謝したいです!」
と言った後にようやく日本語で短く話し始めた。
何に驚いたかというと、このインタビューが始まる前にアナウンサーが前もって八村選手の経歴を流しているのだが、ゴンザガ大学に入学当時は英語は殆ど話せなかったと言うのだ。もう一度、英語は殆ど話せなかったのだ……この短期間でよくぞここまで英語を習得した。
八村選手は頭がいいのだ。バスケットボールの才能も凄いのだろうが、それと同じくらいに語学の才能もある。わずか3年で全く難なく英語の掛け合いが出来るのは至難の業だ。
アメリカはこの青年を好きになるだろう。
アナウンサーは八村選手を「実に礼儀正しい」と紹介した。アメリカにおいてこの「礼儀正しい」と言う形容はあまり聞くことがない。最近ではいつ聞いたかな?と思い起こすと、大坂なおみ選手がセレナ・ウィリアムスを負かせて優勝した際の態度にマスコミは「礼儀正しい」を連呼した。そう思うと日本人の美徳がアメリカで評価されるのはこの上もない喜びだ。
ワシントン・ウィザーズの本拠地が首都ワシントンDCなのもいい。ニューヨークにもフィラデルフィアにも近く、また同じ東海岸のボストンにも近い。大学のあるワシントン州と比べると同じワシントンと言っても首都のワシントンDCは大都会だ。
日本人初の快挙は、この八村選手の頭の良さが生み出したものだと考える。言葉の壁を越えゴンザガ大学に留学し、3年の間でバスケットの技術も、またそれ以上に語学力で成果を出した。
お父様はアフリカのベナン共和国の出身なので公用語はフランス語。富山出身なのでインターナショナルスクールに通い英語を学べる環境でもなく、英語に触れることはなかったはずなのに、英語を話せない18歳は海を越えて3年ほどで記者会見でも問題なく質疑応答できる語学力を身に着けた。
バスケットの才能も凄いが、語学力も、また新しい生活環境にも苦労、努力の甲斐があったことを考えると、本当に日本人初のドラフト一巡の快挙が誇らしい。何より、人格者と見た!
国技の相撲は心技体、八村塁選手はアメリカのプロバスケットボールで日本の精神の心技体で精進していくだろう。美しい精神で健闘をしてもらいたいと願う。
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