草トーーク!~旧友と語るインターネット今昔~

  by マツダ草介  Tags :  

windows95発売以降発展していった日本のインターネット界隈。
一部のパソコンマニアだけの趣味という範疇を超えてごく普通の一般人にも便利な情報・コミュニケーションツールとして広まり、今ではインターネットは生活に欠かせないインフラにまでなりました。

今回、筆者がインターネットを始めた約20年近く前偶然知り合ったそーた(草太)さんと日本のインターネット黎明期から現在までを雑談しつつ語ってみようと思います。

「草太と草介、出会いのきっかけ」

マツダ草介(以下、草)ガジェット通信ウェブライター歴3年くらい、マツダ草介です
そーた(以下、そ) そーたですシクヨロ

草 そもそも、そうたさんと知り合ったのはどこだっけ?
そ ファザーレスかなあ
草 オフ会前に面識あったよね?そうたさんのHPにおれがいったんだっけ
そ んー。そうなのかな、書き込みからかな?
草 よくおぼえてないけど広大なネット世界で偶然知り合って、ファザーレス上映会で実際に会った、と
そ そうな、ファザーレス観てないけど

ファザーレス――日本映画学校で制作されたドキュメント映画。茂野吉弥監督、村石雅也主演。少年時代虐待を受けた自傷癖を持つ主人公が葛藤の末、父との和解に至るまでを描いた作品。諸々の事情によりビデオ、DVDとして販売はしていない

草 ファザーレスのあとのお茶会から参加?
そ あっちゃんつながり、か?中学生でもできる哲学的思考
草 自分がインターネットはじめたばかりのころ、たまたま報道番組であちさんみてどんなひとだろうってHPみつけて……じゃあ出会いのきっかけはあちさんか

中学生でもできる哲学的思考――哲学についての話をわかりやすい文章で綴ったメールマガジン。発行者あち

「当時のオフ会模様」

草 インターネットで知り合った人と実際オフ会で会う感じってどうでした?
そ オフ会は出まくったからねぇ 当初はODしてラリラリで臨んだ。
  (注・そーたさんは当時うつ病で心療内科に通院していました。ODといっても違法薬物ではありません)
  なのでほとんど覚えてないよ、無茶したなぁ。
  日記サイトが黎明期でね、いろんなサイトのプチオフに行ってた

草 自分はオフ会目的ではじめて1人で東京旅行だったから緊張したなあ
そ ほほぅ
草 ブログの出る前のテキストサイト時代ですか
そ だねー。日記サイトでしのぎを削ってたよ
草 パソコンがまだ音楽や動画流せない時代に文章でしのぎを削ってた時代か
  そのときはおもしろいホームページ捜しってどうやってましたか?
そ だねー。最初に犬嫁にはまって日記渡り歩いてあとはおクスリ関係かなー

テキストサイト――ブログやSNSが登場する前、日本のインターネットで多く存在した個人のウェブサイト。回線も今のように音楽や動画を流せるほど早さはなく文章の面白さで競っていた。ウェブサイト制作に使用したのはホームページビルダーやhtml手打ち

「今でいうメンヘラの走り、ココロ系」

そ 南条あやの保護室とかすごかったな
草 あったあった、当時はココロ系とかいってたか
そ 死ぬことを美化してたよね。悲劇のヒロインにしたてて
  後追いとかもあったのかなぁ、裏でいざこざあったっぽい
  いかに自分が絶望してるかのアピールだったよね。
  まぁ、今でいう承認欲求てやつ?
草 病み自慢
そ そそ
草 承認欲求ですかね
そ まぁでもインスタも承認欲求と言えるか
草 ネット世界は変わっても承認欲求は基本的にかわってないと
そ 訴えたい人はツイッターはいいメディアだよね
草 個人のホームページ繁栄の時代が終わって、ブログが広まって、
  芸能人や有名な人もブログからネット世界にはいってきた
そ あーそうね、ネットが普及したのはいいことだと思う
草 アングラ、サブカルっぽい空気から一般化した感じ

ココロ系――いわゆる精神病、神経症などの心の病気を抱えた人たちをネット上ではこう呼んでいた。その後メンタルヘルスを縮めてメンヘル、メンヘラと呼び名が変わっていった

「MIXIによるSNS時代」

草 そうたさんMIXIやってましたか?
そ うん断酒日記書いてた
草 MIXI全盛期はどうでした?
  出会い酎と呼ばれる人たちには新しい遊び場だったでしょ?
そ テキストサイトのつながりでやってたから新しい出会いはあんまなかったな
  まぁでもmixiで知り合った人もいる
草 漫☆画太郎コミュが異様にカオスだった。誰一人画太郎の話してなかった
そ コミュはいいよね
草 好きなものや好きな趣味が共通すると話題のネタになりますからね
そ 「カエルが好きなの」ってコミュやって結構知り合い増えた
草 ほほう!MIXIで知り合って結婚って話もきいたな
そ あるよね
草 もうインターネットが仮想的な世界から現実と地続きになっていったなあ

MIXI(ミクシィ)――日本で最初に開始して広まったとされるSNS(ソーシャルネットワークサービス)ウェブサイト。初期は招待制で誰かに招待メールをもらわないと参加できない仕組みだった。ここで知り合った人たちでオフ会等が盛んにおこなわれ親しい人を作り、交際や結婚に発展した人たちもいるとのこと

「動画配信について」

そ 先端はどうなってんだろね
草 しばらくはツイッター、インスタ?
そ 動画配信だよね
草 ああ、youtuberか
そ 動画になってからネットから離れたな
草 ネット黎明期の人たちはもうネットから離れてるのかな
そ や、インスタで発信してるよ
草 一般化して濃い人が減った感じ
そ 人口が増えればね、薄まる
草 実生活では絶対知り合えないようなおかしな人が黎明期にはデフォだった

動画配信サイト――Youtubeやニコニコ動画といったユーザーが動画を投稿して他のユーザーが動画を視聴するウェブサイト。著作権違反の問題もあるが、過去の動画をアレンジしてMADと呼ばれる動画が人気になったり過去の名曲を演奏して再生数を多く稼いだりしていた。ニコニコ動画では初音ミクをはじめとしたボーカロイド音楽や歌ってみた、踊ってみた等独自の文化が発展していった。現在はhuluやNETFLIXなどが過去の映画やドラマ、アニメを有料で配信している

「日本ネット社会の今後予想と幸福論」

草 今後はどうなっていくでしょうね。そろそろ国による情報規制が入りそう
そ あーもはや後進国だからねぇ
草 今までのように政府や総理を批判するのは消されそう
そ メディアでは日本マンセー言ってるけど、安倍じゃん?
  ネトウヨとか、昔は少数派だったのにね
草 自民党批判するとサヨクだなんだって
そ 貧乏で不幸だから差別がおこるんだろね。幸せの定義言っていい?
草 はいどうぞ
そ 1.共感できること 2.それが否定的共感でないということ
  ネトウヨはこの1止まりなのな
草 なるほど
そ 排他的共感。操りやすい
草 肯定的な共感こそが本当の幸福?
そ その考えに至った
草 自分としての幸せの定義は他人から不幸と思われようと自分が楽しければそれでいい
  幸不幸ってだれかに決められるものじゃないし
そ ほむ
草 年齢とともに趣味は増えたり減ったり、興味のないもの、つまらないと思ってたものでもいざやってみたら楽しくてはまるってこともある
  なんでも否定的になってたら不幸になるばかり
そ だねー
草 さっきの否定的共感てのはまさに不幸の共有のようで気味が悪い
そ 差別とか、共感を得るのにたやすいんだよ。弱者を見下してね
  みんな寂しいから共感したがってる。でも、否定の共感は不毛なんだ
草 次に否定するものをさがさなきゃならない。最終的にすべてを否定までいきつく
そ そう、満たされない。対等でないと、理解はしあえない
  嫌いな人でも、その生き方を肯定できれば素敵
草 今の人嫌いなもの増やしすぎだなあ。なんでもつまらなそう、とかクソとか否定からはいる
  ネット上であのゲームはくそげーだうんぬんいわれてても、本人が楽しめればそれは良作だし幸せなのに制作者が時間と苦労して作ったものをなんでも否定したがる
そ 理解不能なものを肯定するのは勇気がいるんだよ
草 インターネット黎明期から現代までをかたろうとして幸福論までいっちゃった……

「未来予想とアインシュタイン」

そ コミュから個人へ移行してきてるんだろか。個人発信の時代?
草 更に分散するのか。今の時代にマジョリティを得られるにはどうするんだろう
そ マジョリティ自体がかっこ悪いとしか思えないんで考えたことないや
草 かっこ悪くても稼ぐとなるとマジョリティめざさなきゃならない
そ ニッチでも需要が出てくるんじゃないの?個別化って、そういうことなんじゃないかな
草 その人はその人の幸せをもとめて生きる、でいいか
そ みんなちがってみんないい。って、理想だけれどもそれを目指して生きていきたい
草 そこにすこし寂しさがある。同じ話題を語れる相手の不在
そ うーん。話題は同じでなくてもいいんじゃないかな
草 世間話がむずかしいんですよ今って誰でも知ってる話題がない
そ それって、いいことなんじゃ?生みの苦しみであってほしい。今の日本
草 新しい価値を生むまでのくるしみか
そ アインシュタインの愛の手紙って知ってる?
草 しらないです
そ http://clover48.com/trend/impressed/post-13922/

そ アインシュタインは知っていた、証明できなかっただけ
草 個人個人でみつけていくべきじゃないかな愛は
そ 絶対的なものだと言っているね
草 愛は相対的ではないのか
そ 源だと思う
草 ……ワガランナァー

インターネットのこれまでと今後

以上、旧友と過去20年程の日本におけるインターネットの変遷を簡単に語ってみました。最終的に幸福とは何かという定義についての話になっていきましたが、脱線というほどではないでしょう。インターネットも人の幸福に大きく関わる時代。

いつでも誰とでも知り合えて、その出会いが幸福だったか不幸だったかは後にならなければわからない。
個人的にツイッターが流行りだしてから見ず知らずの人にいきなり暴言や意見の否定をすることを多く目にするようになった気がします。

芸能人や有名人が失敗をおかしてそれをツイッターで集団で責めるのはそーたさんがいうところの「否定的共感」でしょう。
共感を味わえるものの、やはり不毛なことに変わりありません。
スマートフォンで簡単にネット世界につながれる時代だからこそ、肯定的共感を得られる人との出会いを大事にしたいものです。

僕は草太さんというぶっきらぼうでアナーキーぽさがありながら自己の哲学を持ち人生を探求する人物に出会えたことを幸せに思っています。

(文責 マツダ草介 協力 そーた)

糖尿病など厄介な病気を抱える新米WEBライター。静岡在住。 本業の労働のかたわら、ネットのあちこちに文章を書き散らす日々。 サブカルチャー、オタクカルチャー界隈のゲームや同人音楽を研究中。 「つまらない時代に面白い人が面白いことをやっているので取材して記事にする」がモットー。

Twitter: soosuke_m