日本人なら当たり前ですが・・
日本人ならば、大半の人間が掛け算九九が出来ます。逆に出来ないという人は、ごく少数でしょう。
2×2=4(ににんがし)
4×5=20(しごにじゅう)
7×9=63(しちくろくじゅうさん)
このような計算が出来るのは、日本語教育を受けてきた子供ならば「当たり前」です。
一方、海外ではどうでしょうか?
2×2=4(ににんがし)はどう計算する?
実は、海外だとこのような計算方法、存在しないそうです。
例えば、2×2=4(ににんがし)という計算の場合、
“Two times two equals four”
そのまんまです。簡単な言い回しでは存在しない。
ちなみに英国の場合、若干省略した言い回しがあるそうで、
“Two twos are four”
最初のよりは簡単、覚えやすい感じかもしれません。
とはいえ、これは一桁だからいいものの、
4×5=20(しごにじゅう)
7×9=63(しちくろくじゅうさん)
二桁を求める場合、どうなるでしょうか?
“Four times five equals twenty”
“Seven times nine equals sixty three”
英国式に簡略化したとして、
“Four fives are twenty”
“Seven nines are sixty three”
ちなみに私自身、英語(英会話)は苦手ですので、いずれも非常に不便な覚え方に感じられます(英語がネイティブの方にとっては、これでリズミカルに話せるものなのでしょうか?)。
とりわけ、20(twenty)や50(fifyt)以降の二桁の数字は、リズミカルに発音するのを非常に妨げているような気がします。
なぜ掛け算九九はリズミカルなのか?
別に日本語が優れた言語とか、そういう話をするつもりはありません。しかし、
「数字を違う言葉で表現する」
これは掛け算九九を語る上で欠かせないキーワードです。例えば、
2×2=4(ににんがし)
これを「ににんがよん」あるいは「ににがよん」といった言い方はりません。あるいは、
8×5=40(はちごしじゅう)
9×9=81(くくはちじゅういち)
これを「はちごよんじゅう」とか「きゅうきゅうはちじゅういち」といった言い方はしません。そうなるとリズム感を欠く。その結果「覚えにくくなってしまう」ことになります。
・9(きゅう)を「く」。
・40(よんじゅう)を「しじゅう」。
このような日本語の表現を活かし、計算に取り入れているのが「掛け算九九」です。
ちなみに、海外では掛け算九九を「そのまま日本語で」学習している国も存在しているそうで。これは日本人が日本語の機能を最大限に活用した、優れた発明ともいえるのかもしれません。
日本語以外で掛け算九九は「絶対無理」なのか?
では、日本語以外で掛け算九九をするのは絶対無理なのでしょうか?日本語以外の言語、例えば英語で掛け算九九は言語の構造上、絶対無理なのでしょうか?
実は必ずしもそうではありません。というのも、
・フレーズの長い数字を短く表現できればOK
例えば「1868(せんはっぴゃくろくじゅうはち)年」というのを英語で表現する場合、英語では、
Eighteen sixty eight
です。日本語風に言った場合「18 + 60 + 8」です。日本語と全く同じ感覚で「One Thousand eight hundreds sixty eight」という表現を使うでしょうか?基本的には使いません。
一方、村上春樹氏の小説に「1Q84(いちきゅーはちよん)」というのがあります(※「Q」を「9」にした場合「1984」です)。
では、これを日本語の感覚で英語に直す、即ち、
One nine eight four(1 9 8 4)
可能でしょうか?実は可能です。
数字の言い方を変えれば・・・
前述の表現「1984(One nine eight four)」は、数字を1桁ずつ言う方法です。実はこの表現を用いることで、
・フレーズの長い2桁の数字を短く表現できる
例えば81「eighty one(エイティーワン」は「eight one(えいわん)」と表現できる。
そしてもう一つ重要なのが、
「0(ゼロ)はO「オー」と発音する)
映画「007シリーズ」の「007」は日本語の場合「ゼロゼロセブン」ですが、英語では「ダブルオーセブン」と表現します。
即ち、
30 → × Thirty(サーティー)
30 → × Three zero(スリーゼロ)
30 → 〇 Three o(スリーオー)
日本語の「が」は使わない
2×2=4(ににんがし)の「が」にあたるのが「are(is)」です。
“Two twos are four”
日本語の掛け算九九とほぼ同じ表現ですし、フレーズも非常にリズミカルです。
一方、
7×9=63“Seven nines are sixty three”
これを日本語に訳した場合、
7×9=63(しちくはろくじゅうさん)
当然ですが「7×9=63(しちくろくじゅうさん)」であって「しちくはろくじゅうさん」ではありません。リズミカルに表現しようとするならば、です。
だとすれば、
×7×9=63“Seven nines are sixty three”
〇7×9=63“Seven nine sixty three”
こちらの方がリズミカルではないでしょうか?また、複数形「s」を敢えて付けない方がさらにスムースです。
日本語の掛け算九九とほぼ同じ
このような感じで、極力無駄を省く。即ち、
・2桁表現「twenty , seventy等」を極力使わない。
・1桁表現「12(one two)、36(three six)等」を代わりに使う。
・0は「ゼロ」ではなく「オー」で。
このような感じでやってみます。
いかがでしょうか?
英語の基本、「シンプル表現」なのですが・・・
多くの日本人は「英作文」を書こうとした場合、基本的に「日本語の感覚」で書こうとします。
映画の邦題とかで、よくあるのですが、例えば「世界一美しい女性」みたいなタイトルがあった場合、多くの日本人はこのような原題をイメージするのではないでしょうか?
The woman who is the most beautiful all over the world.
文法的には間違っていないでしょう。というより、
(文法的な知識を問う)受験英語ではここまで書かないと点数がもらえない。
ところがこういった映画の原題が実際、どういったものかといいますと、
A beautiful woman.
こんな感じ。日本人の感覚だと「シンプル過ぎてストーリーが伝わってこない」と思う方も多いのではないでしょうか?
しかし実際はこういうケースが非常に多いです。当たり前ですが「受験英語とは何の関係もない」ので。
映画会社が「日本人に分かりやすく」キャッチコピーを後から付け足しているようなケースが少なくないのです。
ならば掛け算九九だって、本来は日本語よりも遙かにシンプルなフレーズで「合理的に覚える」のが英語圏の人間らしい発想だと思うのですが・・・
何故か掛け算は非合理的過ぎる。
英語の授業でもこういうの、もっと入れて欲しいですよね。そうすれば少しは英語に興味を持つ生徒も増えるのではないでしょうか?