現在、中学を卒業した約97%(文部科学省)が進学をしている。高校を中退する人も約1.5%(総務省統計局)だ。高校を卒業しない人は、非常にマイノリティなのである。各年代の約4%が中学卒業を最終学歴とし、これは人数でいうと約5万人になる。
次に、中学卒業時、就職を選択肢し求職した生徒の内定率は約35%であり、男性39%、女性20%である。これは高校卒業時の内定率約94%と比べて低いことが分かる(平成27年厚生労働省データ)。また高校卒業時、正社員での就業率は男性約50%女性45%であるが、高校中退時の正社員での就業率は男性約10%、女性約2%である(JILPT2015)。
これらの数値概算から、
「中学卒業が最終学歴の人は各年代約5万人」
「その大半が非正社員」
「女性の就業は男性よりもより厳しい」
ということがいえるだろう。
そして、中卒女性の就業先の一例として性風俗産業がある。『夜の経済学』(2013)を参照すると性風俗産業で働く女性は全国で30万人だという。そして年間に3万人が入れ替わっており、各学年2.5万~3.75万人が人生のどこかで性風俗産業で働くと推計している。性風俗産業で働く女性と最終学歴に関するデータを見つけることはできなかったが、2つのデータを参照する。
まず前掲書の中に、個人売春をする300人へのアンケート調査の結果が掲載されている。それによると最終学歴は中卒(高校中退含まない)と答えたのが54人(18%)、高校卒業・中退と答えたのが209人(70%)となっている。209人の中にどれぐらい中退者が含まれているか分からないが、ひとまずこのデータから
「個人売春をする人の約20%が中卒(最終学歴が)」
といえるだろう。余談だが、このデータでは中卒高卒が88%にのぼっており、総数で50%を超える高校卒業時の大学進学率とかなり差があることが見て取れる。
次に『風俗嬢の見えない孤立』(2017)を参照する。同書では「性風俗産業の仕事を始めた年齢」を風俗で働く女性377人に伺っている。このデータの中から母数が多く、現在性風俗産業の中心世代になっていると思われる18歳~32歳の213人を抽出し参照したい。15歳未満から始めた人(援助交際など含むのでしょうか)は7人の約3%、16歳~17歳は41人の約20%、18歳~19歳は95人の約45%である。この中で15歳未満~18歳に仕事を始めた人の割合は推論すると約50%になる。つまり、性風俗産業に従事する女性の50%が18歳までに仕事を始めていることになる(※32歳以上を含めるとこの割合は下がる傾向にある)。このデータから学歴は不明であるが、相当数の中卒、高校中退者を含むだろう。
この2つのデータから(少なめに見積もって)
「性風俗産業で働く人の20%~30%程度が中卒者で各学年約1万人程度に上る。単純に各学年に中卒女性が2.5万人いると考えると、中卒女性の約40%が性風俗産業に関わる」
ということになる。
これは推計に推計を重ねた数字なのであるが、突出した数字であり、実態調査が待たれる
。
一般的に中卒だと雇ってくれる企業がないと、言われる。その結果中卒女性が性風俗産業に従事しているのかもしれない。
しかし、中卒の若年者を企業の中で育てていくことで企業のメリットを最大化することは(現代では)本当にありえないことなのか。経済環境が激変する現代だからこそ、原点にたって考える必要があるのかもしれない。
【写真:自主撮影】