2014年時のメモを加筆更新します。この日は大手総合代理店A氏、ウェブ系大手広告代理店B氏の話を聞いた。
広告プロセスの自動化と広告代理業
この日はDSPなどの話を中心に伺いました。データ処理量の進化があり、以前より多くのデータを収集し、分析する時代に入ってきた。ここでいう収集や分析には自動化されていて、以前はマーケティングデータを集め、ターゲットの選定を行ってきた広告代理店の業務の一部がウェブの世界では自動化されていることを意味する。さらに、DSPは配信プロセスの最適化も実現するものなので、その業務の一部も自動化されている。
さらにいうとおそらく今後、リアルな社会のインターネット化が進んでいくことが見込まれ、自動化の対象は広がるだろう。ここでいうリアルな社会のインターネット化とは、リアルな社会にある様々な情報をデータ化し、最終的には検索可能なものに配置することを意味する。
そのような社会の中で広告代理店の役割は広告から離れ、ビジネスモデルの創造などに移っていく必要があるのではないかということが示唆された。当時、アクセンチュアの広告業界への進出拡大などもあり、広告、マーケティング、コンサルティングなどの協会があいまいになっているというのが共通認識だっただろう。広告代理店の強みは広告に関するノウハウにあるのではなく、培われた創造性にあるのだということ、そしてその創造性は広告以外の分野にアクセス可能だということが話された。
2013年の電通のイージス買収をベンチマークに日本の広告業界という約6兆円の市場のパイの奪い合い競争ではなく、海外広告マーケットや広告以外の市場への参入を広告代理店は図ってきた。その動きはその後加速しているといえるだろう。
プロデューサーやマネジャーになること
先に見た通り、彼らと当時議論した1つのポイントは広告代理店の役割についてだった。そして、もう1つのポイントは企業における個人の役割についてだ。
DSPのように自動化する社会で、個人は様々な情報を整理し、管理するプロデューサーやマネジャーにならなければならないということが確認された。この指摘はAIやIoTなどが議論される今日、ますます現実味を帯びている。様々な日常の処理をAIやIoTが担う中で私たちに求められるスキルはプロデューサースキルやマネジャースキルだろう。
今後ますます、広告代理店の役割は大きく変わり、そこで働く人々の役割も大きく変わるだろう。
【写真:自主撮影】