1943年に刊行されたフランス人作家、サン・テグジュペリの『星の王子さま』のなかで星の王子さまは賢いキツネに会い、賢いキツネから
『人間たちはもう時間がなくなりすぎて、ほんとうには、なにも知ることができないでいる。なにもかもできあがった品を、店で買う。でも友だちを売ってる店なんてないから、人間たちにはもう友だちがいない….』
と教えられます。日本のイメージだとキツネが教えることはウソではないか?などと思ってしまいがちですが、所変わればでフランスでは賢いキツネから星の王子さまは学びます。
大人になると雑念や邪念や、嫌らしい念が知らない間にまとわりついています。一枚の真っ白なふきんも使っていくうちに黄ばんだり、黒ずんだり、よれよれになったりします。ふきんを漂白したりしてきれいな状態に保つこともできます。あまりにもくたびれたらゴミ箱にポイでしょうし、賢い人は雑巾として一回使ってポイもありでしょう。
さて、では人間の心はどうするか?
私は『星の王子さま』を読んでみることをお薦めします。子供時代に読んでいた方は懐かしく思い出すでしょうし、大人になって初めて読む方は心が洗われるような新しい発見があるでしょう。
宇宙に飛び出した星の王子さまは、いろんな星に出かけます。いろんな星が宇宙に点在します。機械的な仕事に追われている人の星や、お金の計算ばかりしている実業家の星。これらはまるで派遣で働いている労働者と、その派遣労働者から吸い上げる人材派遣業の星のようにも思えますし、王様が威張っている星は、政治家にこういう人もいそうだし、童話でありながら大人として読んでも大人視線で勉強になります。
★砂漠が美しいのは、どこかに井戸をひとつ隠しているからだね
★なに、なんでもないことだよ。心でみなくちゃ、物事はよく見えないってことさ
★この子が綺麗なのは、心の中に薔薇を一輪持ってるからだ
★さあ、いつまでもぐずぐずしないで。いらいらするから。行くって決めたのなら、もう行って。
何気ない言葉なのですが、童話を読みながらみつける言葉に浄化作用があるのです。風薫る五月、新緑が芽を吹き、花が咲き誇ります。しかし、この美しき季節に反して心が重くなる五月病もあります。
心を若く美しく保つのには童心に戻ることも大切です。難しい本はさておいて『星の王子さま』にもう一度出会ってみませんか?
画像:frickr from YAHOO!
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