ムンクの代表作『叫び』が5月2日、ニューヨークのサザビーズで競売にかけられることになりました。サザビーズは世界最古の国際競売会社。1744年にロンドンで設立されましたが、現在はアメリカの会社になっています。
ムンクの『叫び』は4作品あり、うち3作品はノルウェイの美術館に所蔵されています。今回の競売にかけられるものは個人所有のものなので、一般公開はほぼなしであったと言われ、そのため『幻の一枚』と呼ばれているようです。
※上記の『叫び』は今回の競売にかけられる作品とは異なりますが、ほぼ同じような構図の作品が競売にかけられます
4月27日付けUS Newsの記事によりますと
カタールやアブダビ、または中国政府が北京に”世界規模”の美術館設立を切望しているのであれば、代表的な作品獲得を考えるでしょう。カタールなどは『叫び』買収の最有力候補です。カタールは今年の前半で既にセザンヌの『カードプレイヤー』を過去の最高額250万ドルで落札しています。
……とあり、また記事には「『中国人の”億万長者富裕層”の増加により、中国人が芸術作品を落札していくのを見ています』とロングアイランド大学の准教授がメールで情報提供しています」ともあります。
バブルの時代には日本企業や、日本人の会社経営者などがゴッホ、ルノアールを落札していったものですが、時代は変わりました。中東には石油がありますから潤うのはわかりますが、中国人が美術品を買収するようになるとは改めて驚きです。
サザビーズによりますと、この『叫び』の落札価格は8000万ドルで、日本円にして60億円を超えるのではないかと予想しているそうです。確かに有名な作品ではありますが、どうも見ていて精神が落ち着かないですね。近代美術館(The Museum of Modern Art)にはムンク作品が一点展示されていますが、その一点だけで私などは「もう結構です」と言いたくなります。ノルウェイのムンク美術館に行った友人の話によりますと、あの画風の絵をずっと見ていて、美術館を出るときはめまいがしそうだったそうです。
ノルウェイと言えば最近思い出すのが昨年の7月に連続テロ事件が起こったことですが、あの猟奇的殺人と『叫び』の精神的な不安定さに共通点を見出してしまうのですが、このノルウェイ人画家ムンクの『叫び』を一体だれが、いくらで落札するか、絵自体には興味はないのですが、絵の行く先には興味があるのです。
画像:frickr from YAHOO!
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