ネットサーフィンをしていて建築家の安藤忠雄と作詞家の秋元康の対談にたどり着いた。安藤忠雄には敬意を抱いている、しかし秋元康はとりたてなんてことなかった、いやどちらかというと『あこぎな商売をして….』と冷ややかに見ていた。しかし、対談を読むにつけ売れるには理由があることがわかった。安藤忠雄も秋元康もそれぞれの本職のスタート地点にそれぞれ遅れがあったのだ。
私は賢者の意見を参考にする。ことわざも大好きだ。偉人の名言にも心打たれる。それらにより思い悩む時、どうにか力を頂いてその苦境を乗り越えてきた。
人の心を打つものは、苦労をした人の言葉が一番しっくりくる。
メディアやマスコミは旬の人が好きだから、そういう人を常に追いかけている。比較的新しい過去ではホリエモンなどがそうだった。時代の寵児と持てはやされ、選挙戦にも担がれた。しかし、上げ底のいいとこ取りだけの若い経営者の転落は早かった。経済界における新星が落ちていくのは堅実な修羅場をくぐってきた年配経営者には予想がついたであろう。私ですら『いつか足元をすくわれるだろう….』とは思っていた。しかし、まさか臭い飯を食わされる立場になるとまでは思わなかった。
今の時代は混迷の時代だと思う。だからいきなり無名だった企業にスポットがあたり、それが大きく化け始める。目先の利益を追う人間が多くなったのだ。
「旬」の人や「エリート」の意見や考え方を知るのもいいだろう。もし、自分が「エリート」の区分に入るのなら参考になると思う。しかし、その区分に入る人は限られている。だから平均的な人間にとりこれらの人々の意見や考えはあまり参考にならないのではないだろうか。
逆に、人一倍苦労をした人の生き方を学ぶといい。メディアのトレンドに流される必要は全くない。
建築の世界は東京大学や早稲田大学等を卒業した人たちが主流。建築はまさにエリートの世界だ。そこに工業高校卒で世界放浪をし、ボクサー経験もある比較的アウトローの安藤忠雄が、この建築の世界を志した。エリートの予め舗装されていた道を進むのでなく、荒れ野の道を切り開いてきた。そこにはエリートにはない反骨精神があったからだ。
安藤忠雄の顔は世界レベルの顔をしている。
秋元康との対談で知ったのだが、U2のボノの自宅を設計したのは安藤忠雄であることだ。U2のボノは反骨精神のある力強い生き方をしている人物である。やはり、言葉は違えども惹き合うのだ。
今の世の中不景気だ。新卒者も仕事にあぶれ、社会のスタート地点から挫折を味わう人も少なくないだろう。何も嘆くことはない。挫折が何かを生み出す原動力にもなるのだ。挫折を知るからこそ、挫折から立ち上がった苦労人の成功者の意見や考えを参考にすればいい。
綺麗な切花的なものに憧れを抱くより、道端の名も知らぬ花から生命力を感じよう。
エリートの生き方にも学ぶところはたくさんある。しかし、特別区のエリートより、苦労人の話ほど人生の養分になる。それが何も著名人でなくても構わない。おじいちゃん、おばあちゃんの苦労話も聞かせてもらおう。きっと、何かを掴むはずだ。
画像:frickr from YAHOO!
http://www.flickr.com/photos/krss/3166875352/sizes/m/in/photostream/