権威あるノーベル賞にケチがついたと思ったのはボブ・ディランの文学賞の連絡をスェーデン・アカデミーが何度も試みるも連絡がとれないことを知った時だった。このニュースでボブ・ディランの雲隠れ的な反応に『ちょっと失礼なんじゃない?』と言う気持ちになったけど、松本人志が2001年にRe:Japanで紅白歌合戦の初出場者の記者会見でNHKが「おめでとうございます!」と言った言葉に違和感があったということを思い出した。
ノーベル賞と紅白歌合戦は全く違うものだが『権威』という言葉は共通すると思う。要するに上から目線とも言える。松本人志にしてみれば権威ある紅白歌合戦に選ばれたんだから嬉しいだろうとNHKは決めつけてその「おめでとうございます!」と言ったことにちょっとカチンときたのかもしれない。ノーベル賞に関してもボブ・ディランはもしかしたら松本人志的な気持ちになったのかなぁ…とも思った。
ボブ・ディランが最初そのノーベル賞受賞を知った時は素直に嬉しいと思ったはずだ。だからこそ歌集の宣伝文に『ノーベル文学賞受賞者』を書き加えたことだろうし、これはボブ・ディランの許可なくしては書き加えはしないと思う。しかし、もしかしたら歌集の宣伝文を担当した人が勇み足をした可能性もある。
いずれにしてもその『ノーベル文学賞受賞者』は後日削除されたから、ノーベル賞選考委員がボブ・ディランに対して「無礼で傲慢」と言い始めたのだろう。
ボブ・ディランは有難迷惑だったのかもしれない。もしかしたら興味もなかったのかもしれない。勝手に選びやがってふざけるなと思っているのかもしれない。好意的でないのはこの沈黙の行動で明らかである。もし、村上春樹氏が受賞したらこんな対応をとるはずはない。
今年のノーベル文学賞は波乱すぎる。先ず、文学賞が歌手に対し授与することで物議をかもしだした。そして、その受賞者本人がその連絡を受けていないというか、完全に避けている状態である。これはノーベル賞もボブ・ディランも双方にとり株を下げる。本当は村上春樹氏が受賞していれば一番丸く収まっていたのかもしれないけど、ノーベル賞が肩透かしをアメリカの歌手に食わされた。ノーベル賞を与ようとしているのに連絡もとれないことに「無礼で傲慢」と言ってしまえばノーベル賞自体に傷がつく。
相性が悪すぎた。
本当はボブ・ディランは受賞を知った時、嬉しかったと思う。ただ、授賞式に出席して堅苦しい時間を過ごすことを考えるとそれを避けたかったのかもしれない。受賞は嬉しいが、それに付き物の形式ばった行事は避けたいの両てんびんにかけている間が沈黙だったのかもしれない。勝手に推測しているのだが・・・
まぁ、ノーベル賞選考委員の「無礼で傲慢」と言われてしまえば、さらに沈黙を続けたくなるボブ・ディランの気持ちもわかるし、ノーベル賞側の気持ちも十分理解する。
プロポーズで完全にYESをヨンデいたのに、曖昧にかわされて激怒して急に相手を責めはじめたみたいな印象を今年のノーベル文学賞に受けてしまう。
奇をてらわずに歌手のボブ・ディランなどに与えるのでなく作家の村上春樹氏が受賞していれば丸くおさまっていたのに…なんて思ってしまうけど、今年のノーベル文学賞は冒険しすぎた。冒険に失敗は付き物だから今回は残念な結果になったのかもしれない。
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