自然にかえる鉄道記念公園
鹿児島県大隅半島にはかつて2つの路線が走っていたのをご存知でしょうか。
日豊本線の国分駅から大隅線が、西都城駅から志布志線が日南線と接続する志布志駅まで結んでいました。
残念ながら大隅線は昭和62年3月14日、志布志線はその数日後の3月28日に沿線の過疎化やマイカーの普及の影響を受けて廃線になってしまっています。
ちなみに国鉄が民営化してJR各社が誕生したのは廃止になった同じ年の4月1日のこと。JR化直前で消えてしまった路線でもありました。
現在では、ところどころで橋脚やトンネルをはじめとする廃線跡も見ることができます。
今回は大隅線・吾平駅の跡に整備された吾平鉄道記念公園をご紹介します。
吾平オリジナル色?なぞの帯をまとったキハ22
吾平鉄道記念公園には2両の車両が保存されています。
1両は貨物列車の最後尾に連結されて貨物輸送を支えたヨ8000形、そしてもう1両は大隅線でも活躍したキハ20形ディーゼルカーです。
この2両は連結された状態で保存されており、車内への立ち入りはできませんが、ヨ8000形はデッキ部分には立ち入ることができます。
屋根つきのプラットホームに保存されていますが、自然の力には勝てないのでしょう。
特にキハ20形は退色が進んでライトの電球なども割れており、再整備を期待したいところです。
このキハ20形、車体になにやら謎の帯のあとがあります。
現役時代は通称“首都圏色”と呼ばれるオレンジ1色の塗装で活躍していましたが、この謎の帯のあとは不明です。
おそらく保存時に何かしらの別塗装が施されたものと思われますが、詳細は不明です(資料探しに尽力してみましたが、保存当時の情報を得ることができませんでした)。
ある意味、現役時代に見ることができなかった“吾平オリジナル塗装”を見ることができる貴重な存在といえるかもしれません。
自然にかえるポイント部分
一方、レールは比較的長めに残っており、分岐器(ポイント)もこのとおり。
ある意味、おとぎの国の鉄道のように緑の多い自然にかえるような光景を見れますね。
レールが好きな人にもじっくり楽しむことができます。
この美しい曲線もかつての鉄道を支えた縁の下の力持ちです。
公園に併設して鉄道記念館がありましたが、残念ながら2015年9月で閉館となり、展示物は鹿屋鉄道記念館にまとめられました。
現在は鹿屋市地域包括支援センターに生まれ変わっていますが、ちょっとだけ鉄道記念館の名残がこちら。
キハ20形の車輪が1つ入り口付近に残されています。こうやってここに鉄道記念館があったことを伝えてくれるのもうれしいですね。
ここから鹿屋鉄道記念館へは車で約15分ほどで行くことができますので、廃線巡りをしてみるのも楽しいかもしれません。
鉄道がこうしてココにあったことをいつまでも語り継いでいきたいですね。
吾平鉄道記念公園
鹿屋市吾平町麓51番地1