Googleが、検索能力などの向上に、量子コンピュータのパワーを利用する。

  by iikura  Tags :  

 Googleが、検索能力などの向上に、量子コンピュータのコンピューティング・パワーを利用することに取り組んでいると紹介した。 2015年12月10日

 By Alistair Barr、WSJ

 Googleは、2015年の12月8日に、検索能力などを改善するために、NASAのAmes Research Centerにある、D-Wave Systemsの「D-Wave 2X」量子コンピュータを利用することに取り組んでいると紹介した。

 D-Wave Systemsは、量子コンピュータを開発している、カナダのスタートアップである。

 今日、利用できる、最も強力なマシンよりも、数百万倍も高速な、量子コンピュータは、あらゆるYouTubeのビデオのコンテンツを理解したり、気候や病気について研究したり、あらゆる分野のコンピューティング処理を改善できるようになるだろう。

 Googleの野心的で、希望に満ちた、長期プロジェクトには、10年間以上かかるだろう、月ロケットを発射する計画もあるという。

 Googleで人口知能(AI)を担当する、John Giannandrea氏は、量子コンピューティングの基礎研究に投資することは、さまざまな処理に、コンピューティング・パワーを利用する技術も向上させ、あらゆる分野の進歩に貢献するだろうと述べた。

 John Giannandrea氏は、量子コンピューティングで、従来のコンピュータでは解決できなかった、さまざまな問題を解決できるようになると期待している。

 Googleによると、よりパワフルな量子コンピューティングは、検索エンジンが学習するのを助けたり、ユーザの問合せに対する応答時間を短縮したり、静止画像だけでなく、ビデオやオーディオの似た特徴を持つコンテンツを検索したりできるようにしたりすることができるようになるという。

 Googleには、ユーザの振舞いを分析したり、検索アルゴリズムを考えたりする、何千人もの技術者がいる。

 Googleの技術者は、検索エンジンの学習能力や認識能力などの向上も取り組んでいる。

 Googleは、カリフォルニア州Mountain Viewの同社の本社の近くにある、NASAのAmes Research Centerのスーパー・コンピューティング研究所に設置された、カナダのスタートアップ、D-Wave Systemsにより作成された、量子コンピュータ「D-Wave 2X」のコンピューティング能力を利用している。

 「D-Wave 2X」は、従来のデジタル・コンピュータとは、極めて異なった技術を使用した、量子コンピュータのプリミティブなタイプである。

 従来のデジタル・コンピュータは、計算を行うために、0と1で表現されたビットを処理している。

 これに対し、量子ビット(qubit)は、0と1を同時に表現することにより、物理学の限界を後押ししている。

 原理的に、同時に、一緒に動作する、多くの量子ビットを処理できれば、同じ計算を指数関数的に速く処理できる、コンピュータを作成できるようになるという。

 Googleが、量子コンピュータ、「D-Wave 2X」を使用して実施した、テストによると、問題を解くために、従来のデジタル・コンピュータよりも、1億倍も高速に、問題を解決できたという結果を発表した。

 Googleは、このテストの問題を、現在の量子コンピュータよりも速く解決できた、従来ののデジタル・コンピューティング技術が、いくつかあったことも認めている。

 Googleは、「D-Wave 2X」には、単一の特定な作業を処理するよう設計されている、動作実装には、ほぼ絶対零度の温度を維持する必要がある、爆発する危険性があることが判明したといった、いくつかの欠点もあると説明した。

 しかし、Googleの研究者によると、このタイプの量子コンピュータは、従来のデジタル・コンピュータでは処理できなかった、多くの変数を持つ、複雑な問題を解くことができると考えている。

 Googleは、このタイプの量子コンピュータは、コンピュータが、より賢くなるよう教育するために、データを使用する、人工知能(AI)の分野である、マシン学習において有用になるだろうと考えている。

 従来のデジタル・コンピュータは、学習するために、よく編成され、ラベルが付けられた情報の多くが示されている必要があり、学習にも多くの時間がかかる。

 Googleの研究者、Hartmut Neven氏によると、より強力な量子コンピュータは、大量の乱雑なデータや、ラベルが付いていないデータを使用して、より速くマシン学習できるようになるという。

 IBMやGoogleなどのITベンダには、より複雑で、実現も難しい、多くの異なったタスクを処理できる、ユニバーサルな量子コンピュータを研究しているグループもあるが、実現には、さらに、15~20年かかるようだ。

 「D-Wave Systemsの「D-Wave 2X」量子コンピュータの紹介ビデオ」

IT関連のプレスリリースや記事を抄訳し、ブログで提供しています。

ウェブサイト: http://iikurakoichi.cocolog-nifty.com/blog/