前回の記事を書いていて、「今まで地デジのために投入された国費の総額はどのくらいになるだろうか」ということが気になったので調べてみました。
まずは「アナアナ変換」という地デジ放送を行う周波数を確保するために、一部地域のアナログ放送の周波数を別の周波数でのアナログ放送に切り替えるための予算として1800億円が投入されました。この時点ですでに1800億円もかかることが信じられません。
次に本来の地デジ対策(低所得者への地デジチューナー配布、地デジコールセンターやデジサポなどのコールセンター運営、地デジ難視対策衛星放送、地デジに ついての広報、難視地区の調査や中継局の設置など)には2014年度までに2000億円が投入されることになっています。
予算の額についての公式な資料はネット上を探しても見つかりませんでしたので、総務省の情報流通行政局地上放送課 デジタル放送受信推進室に電話して確認してみました。
さらに家電エコポイントも地デジ対策のための政策です。エコポイントの政策の目的は「地球温暖化対策の推進」、「経済活性化」と並んでなぜか「地上デジタル放送対応テレビの普及」となっています。エコポイントの予算は総額6930億円ですが、環境省のエコポイントのページを見ると個人と法人で合わせて80%以上がテレビ(地上デジタル放送対応テレビ)の購入によるエコポイント発行になっています。つまりエコポイント予算の80%の約5544億円が地デジ普及のために使われたと言えるわけです。
上記の3つを合計すると地デジ対策に総額9344億円もの国費が投入されることになります。
私が地デジ対策にいくら予算がかかったか電話で問い合わせた時、総務省の担当者が「周波数の有効活用」を壊れたレコードのように何回も強調していたのが印象的でした。電波オークションを断固拒否して、密室談合で周波数の割当てを決める総務省が「周波数の有効活用」を言うなど片腹痛いと言わざるを得ません。おそらく(総務省が予算をたくさん使って天下り先を潤すために)周波数を有効活用するという意味でしょう。